戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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隠海

深海棲艦、その上位に位置する艦

分類『姫級』

 

その中では比較的低位ではあるが、それでも圧倒的な性能を持つ軽巡棲姫

 

一般的な深海棲艦である

分類『イロハ級』でありながら

鬼や姫に肉薄するほどの性能を持ち、下級の深海棲艦を統率する戦艦

 

戦艦レ級

 

空母として最初に現れた、艦娘と酷似した外観を持つ深海棲艦として有名であり

そして膨大な数の艦載機を使役する空の女王として君臨した分類『鬼級』

 

空母棲鬼

 

そして戦闘中に拿捕した軽巡へ級

 

これが現状、鎮守府に存在する深海の勢力

 

なのだが、

やはり

 

 

「これ、艦隊じゃん?」

 

上位深海棲艦による直接侵攻での制圧…にでも来ているのかと思うほどのメンバー

 

「艦隊…トハ呼べナクモナイ…カシラ」

「もうこの際どっかから平和的な深海棲艦連れてきて数揃えたら?

一個艦隊枠埋まるけど、それはそれで有効活用になりそうだし」

 

俺の提案に、軽巡棲姫は笑った

 

「無理デス、私達ハ裏切リ者ノ集団

同ジ穴ノ狢ヲ束ネテモ、ソレヲ積極的ニ拡充出来ル訳デハナイシ、裏切リ者トシテ深海棲艦(古巣)側カラモ狙ワレル関係上、強者シカ生キ残ラナイ」

 

「結局、我が強い連中同士で不和を起こすって事か?それはたしかに無理か…」

 

我の強い連中、といえば

腕っ節で従えるのが基本なのだが、そもそも腕が立たねば生き残らない関係上、

皆生粋の強者揃い、それでは統率も何もない、結果として個々に戦いから逃れ

生き延び、そして散っていくのだろう

 

「それも問題かぁ…」

結局、ヘ級が生き残ってるのは

俺が保護したからだし、ほかのイロハ級が捕獲された、なんてニュースは知らない

 

(例のヲ級は除く)

 

それに弱い個体は自我も薄い、かといって姫級鬼級を集めれば喧嘩をする

よくできた闘争システムだこと

 

「提督、無理ハ無理トシテ諦メテ

新シイ艦娘ノ子ノ相手デモシテアゲテクダサイ、私ハ暇ナ時ハ寝テイルノデ」

「寝てるんだったら話に付き合ってくれ、仕事もあるし、協力してくれよ?」

 

フラフラと手を振って

俺を追い出そうとする軽巡棲姫は

しかし、俺の言葉で動きを止める

 

「狡イ人…断レナイノヲ知ッタ上デ言ッテイルノデショウ?」

「そうだよ?断らせはしない

 

断ったら書類が滞るぞ?」

 

「今迄受ケタ中デ最低ノ脅シ文句ネ」

 

ちょっと引いている軽巡棲姫

 

「提督、それはひどいクマー」

「仕事しないお前が言うな」

「仕事はしてるクマ!ちゃんと敵の艦は沈めてるクマ!」

 

「たしかに艦娘の仕事としてはそれが本分なんだけどな…秘書艦としての

書類仕事とか時報とか、秘書艦日報とかしっかりやってくれよ…?」

 

一部艦娘は秘書艦日報が非常に雑であるため、一応の義務、とはされているものの

役に立つ事はない形骸

程度の扱いになっているのだが

 

それでもまじめにやってもらいたいとは思うもので

 

「…頼むよ?」

「クマ」

 

念押しくらいはする

 

「肯定ナノカ否定ナノカ、

マルデワカラナイワ…」

 

「多分肯定、俺はそう受け取ったから肯定」

「クマっ!?」

 

案の定誤魔化そうとしていたらしい球磨を取っ捕まえて、癖毛を手のひらに乗せる

 

「この髪…ほんと謎だな」

 

俺の手の上でうねうねと蠢く癖毛

 

「クマ…?」

 

やや角張った『?』字に変化する癖毛

「撫でてみていいか?」

「やめるクマ!」

 

ピシッ!と伸びる癖毛

 

「球磨かわいいよ球磨、大好きだよ」

「くまぁぁっ!?」

 

「大胆……」

 

伸びていた癖毛がぴょんぴょんと跳ね回り、球磨本人は慌てて…軽巡棲姫は微笑む

 

からかっているだけなのがバレバレである

 

「てーとく、からかってるクマ?」

「からかってるよ?」

「クマーッ!」

 

一声とともに、癖毛が跳ね上がり、俺の首にドスッ!と突き刺さる…わけでもなく

しかし首に当たった

 

「痛いよ、ごめんね球磨…軽巡棲姫?」

「……何カシラ?」

 

「じっと見つめてどうしたんだい?」

「ナッ!私ハソンナ事ハ!」

 

途端に慌て始める軽巡棲姫

そして、

 

「慌ててるのが怪しいクマー」

ビシッ!とツッコミに入った癖毛が

軽巡棲姫に刺さり

 

ガクッと軽巡棲姫が首を落とす

 

「とりあえずする事終わったなら帰るクマ、提督の良いところは優しくて配慮できるところだけど、その辺どっかズレてるクマ」

「最近話してなかったから話しに来た、どこが間違っているんだろうか?」

 

「間違ってないから間違いクマ!

それを乙女心満載の少女脳で見たらどんなフィルターが掛かるか分かってないクマ!」

 

「それは俺もわからん…し、どうだっていい、それより、気絶しちゃった軽巡棲姫起こすぞ」

「クマー」

 

「…………」

[…………]

 

「りょ、了解クマ」

 

 

軽巡棲姫を抱き起こして

意識を確認する

 

首叩くって結構危険なんだが

ただの気絶の様だ

 

「よかった」

とりあえず、寝かせておけば勝手に起きる…というか、回復法はないので

とりあえず放置する

 

「よし、起きるまで待つか」

「提督、結局何がしたかったクマ?」

「…最近話してなかった深海組との会話だよ、話もせずに戦力カウントなんて

味気ないだろ?それに

俺は割と深海のみんな好きだから」

 

「クマ」

 

語尾で返答するのやめようぜ?

ぽいとかもそうだけど、

否定肯定わからんからさ

 

[ニン!]

[違うそうじゃない]

 

擬態語で答えろとは言っていないし、そもそもお前はニンジャではなく艦娘だ

 

「ドーモ、提督=サン、ヤセンニンジャ、デス]

[ドーモ、ヤセンニンジャ=サン、提督デス]

 

突然挨拶された俺は

しかし全く動じずに挨拶を返して

 

[もう!そこは動揺してよ!つまんないじゃん]

[詰まる何もないだろう…]

 

結局、頭の中で話していた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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