戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

287 / 649
サーティフィケイト

妖精機関(フェアリードライブ)とは、艦娘の艤装同様、機械的手段に依らず

妖精が動力となる機関なのだが

 

工廠妖精主導のもと、

機関管理の妖精何人かによって

沖津丸に実装されていた機能である

 

…が、なんらかの手段によって

姫に介入を受け、掌握されてしまったようで、進路異常を羅針盤妖精が伝えてきたときには既に手遅れだった

 

「…クッソ…」

 

通常の艦娘には、本来

妖精との直結回線があるのだが

意思無き艇には流石にそんなものは付かない、ということで解放回線による

やり取りで俺が操作していたのだが

 

直結回線のような強力な回線に比べると、解放回線はどうしても縁として弱く

敵方の妖精にそこを突かれてしまったのでは無いか、と秘書妖精に言われている

 

(…提督、機関管理妖精達の救出及び機関機能の奪還のため、妖精部隊を出したいと思います!)

「わかった、だが、妖精だけでは無謀だ、直掩のために操艇訓練も受けている夕張をつける、秘書妖精、やってくれ」

 

(了解しました!)

 

秘書妖精は俺の直結回線を持っている、この仮説が正しいのなら、秘書妖精は乗っ取られない筈だ

 

(行ってきます!)

(我ら扶桑付きの応急修理要員!)

(必ず機関管理妖精(馬鹿ども)を連れ戻します!)

 

数人の妖精達はさっきまで居た艇に戻り、抗戦する構えを見せる

 

「突入後は、艤装も使用不能になる可能性を鑑みて、湾岸部を速やかに制圧するために

金剛、長門、あきつ丸、大淀の四人が先行する、その間残りは全員で隠れることになる

 

いいな?」

「了解デース」「あぁ」「もちろんであります」「はい」

 

四人が返事をするのと、

爆弾が落下してくるのは同時だった

 

「…っ!」

制圧組み4人と俺含めた待機組11人の間に落ちてきた爆弾は、その信管が起動する寸前に、明石に依って分解され、結局起爆することはなかったが、それを俺たち全員を認識しているという証拠として

 

全員を警戒状態に移行する

 

「速やかに行け!」

「デース!」(小声)

 

金剛の一言とともに走り出す四人

そして、

 

「連続して攻撃してこない…?」

「こちらの位置を正確に掴んでいるわけじゃ無い…のか?」

 

明石と顔を見合わせて…

次の瞬間、現状を思い出して

掩蔽体を探しに戻る

 

「島の地形の全土を正確に把握してるんじゃなく、島全体として、大まかな感覚でつかんでいる…のでしょうか?」

「沖津丸が近いからそこに居ると仮定して、って感じか」

 

明石と意見を交換しつつ

二人で隠れる

 

単純な岩陰だが、深海棲艦の艤装と化しているのなら、その身に触れているも同然なのに、攻撃してこない

つまり、正確に隊の位置をつかんでいるのではなく、この辺り、とばかりに

地ならししているに過ぎない

という意見は合致した

 

「少なくともここの地面は普通に岩、つまり、ナマの物じゃない

深海棲艦としての皮膚感覚にも引っかかって居ない、金剛達が施設を制圧したときに

どう反応するかを観察する必要があるか…」

 

「そうですね…それを待ちましょう」

 

明石に相槌をうたれながら

俺は決断した

 

「待機組、集合だ」

再び先ほどの、沖津丸の側…から少し離れた、地面がえぐれていないあたりに

戻り、ほかの9人を呼ぶ

 

「っぽい!?平気っぽい?」(小声)

「大丈夫、奴さん、俺たちの位置をつかんでないんだ」

 

「…ぽーい…」

そっと藪から出てくる夕立

 

それを皮切りに、全員が集まる

「みんな、落ち着いてくれ

さっきの爆撃は単なる地ならし、盲撃ちだ」

「大丈夫ですよ」

 

まずは最初に、安全であると示すために出てきたのが効いたのか、皆もバリバリの警戒状態から、準警戒くらいに移行する

 

「…よし、落ち着いたか

まず、これを見てくれ」

 

俺は皆を待ってから、一枚の写真を提示する

「これは…?」

 

「一昨日の時点で撮影を敢行した彩雲が持ち帰った写真のうち、一枚だ

これは大本営にも送っていない

 

…よく見てくれ、これだ」

 

俺は写真の左隅を指差す

 

そこには、黒焦げのなにかが写っているのだが、その影は、

 

「…もしかして…」

 

空母棲鬼は気づいたようだが

ほかの面々は『?』を浮かべている

 

「俺、鳳翔、明石の見立てでは

これは鎮守府の建屋だ」

 

《!?》

 

「この深海棲艦、離島鬼姫は、もともと鎮守府のあった場所そのもの

そして、離島鬼姫は妖精の通信回線に介入した、ここから鑑みるに

深海棲艦・離島鬼姫は

鎮守府全体にいた全ての妖精が合力した『群体型の深海棲艦』であり、その核は

ここだけ唯一手が加えられていない

鎮守府本棟にあると思われる」

 

そして、ここに、

おそらく姫の意志総体の中枢個体がいるはずだ

 

「じゃあ、それを攻撃するのか?」

 

「いや、それは無理だ、まず火力の問題があるし、そこまで近づけばまず間違いなく滑走路周辺の見晴らしのいい場所を突っ切ることになるし、後ろの高射砲のあたりにも妖精の目があると考えると、爆撃機による高高度からの飽和攻撃が有効だろうな」

 

今回の突入は偶発的…というか

罠に嵌められたようなものだし、そこまでさせてくれるような自殺志願者なら

まず深海棲艦になどなっていない

 

「やっぱり難しいっぽい?」

「スニーキングスキル持ちの、妖精に混じっても違和感のない、深海で疑われない奴

……いないだろ?」

「ここにいるだろ?」

 

手を挙げたのは、牙を出しながら笑うレ級

 

確かに深海で疑われない奴ではある

だが、妖精に混じっても違和感がない

とはお世辞にも言えない

 

湧き上がる絶望感と威圧感(プレッシャー)が妖精のそれではないのだ

 

「…その体で妖精は無理でしょ」

「むぅ……」

 

「私が行くわ、クズ」

「…根拠は?」

 

次に歩みでたのは、霞

 

「私は小柄だし、皮肉だけど耳目もいい、速力も高速だから回避も効くわ

妖精にも私に似た個体がいるから

ある程度ごまかせると思うし」

「それでも厳しいというかそもそも妖精の外観は似てる程度であって根本的にサイズが」

 

「何か代案があるの?クズ」

「もう提督すら言わなくなったよこの子」

 

仕方がないので、潜入要員として

霞に単独で向かわせる事にした

 

あくまで攻撃ではなく偵察のつもりで

決して深追いせずに、少しでも危険を感じたらすぐに撤退する事、

どれだけチャンスでも

施設への破壊工作以外は行わず、

姫への直接攻撃等は試みないこと

 

これだけの条件で行かせてやった俺は寛大だとおもわんかね?

 

 

「過保護な父親のような念の押し様でしたが…」

「アレを寛容…?」

「窓枠の桟の隅どころか奥の網戸の縁まで擦るような細かい言い方だったっぽい」

「お味噌汁の味に文句をつける姑だってもう少し易しいと思うが…」

 

 

「そ、そんなひどく無いと思うんだけど…」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。