戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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プレデター

「…そうか…こっちの問題もあるのか…」

 

あらかた全部…生還できそうな状態で沈んでいる艦娘は回収した

残りは…身体に欠損があったり

どう見てももうダメな状態の艦娘だけだ

 

なので救助活動 (サルベージ)は終了として、活動終了の宣言とともに鎮守府前の浜辺に戻ってきたのだが

 

食事のことをさっぱり忘れていた

…そもそも開戦前、つまり未明に炊き出しのおにぎりと豚汁を食べたっきりであるからして、腹も空くのだが…今の今まで全く意識していなかった空腹感が沸き立ってくる

 

「昼、夜、と二回抜かした食事は大きく響いているし、鎮守府の設備やら食料やら、まるごとなくなっちゃったから満足に用意できていない

…いやよ?わずかな食料を争っての生存者同士の紛争なんて」

 

「俺もそれは嫌だな…というか

何故いる、如月」

 

「私だって輸送員として艇に乗ってたでしょ?それに…こんな状況だから

『一輸送員なのでなにもしません』

なんて言えるわけ無いじゃない」

 

「そりゃそうだな…沖津丸の方の食料は?」

「もう放出済み、それでも十分とは言い難いわ、そもそも資材を重点的に積んでたし…16人三日間分ってくらいだもの

 

単純に一挙放出しても16×9=144

実際には私たち自身も行き道で消費しちゃってるから100くらい、深海棲艦含めたら全然足りないわ」

 

…やはりそう都合よくは行かないか

 

「…で、どうするんだ

あの理性をなくしかけている飢えた獣(赤城)は」

 

「赤城さんは…いえ、結構みんなもそんな感じよ?あきつ丸さん達も働き詰めだったし、提督だって二食抜きは厳しいんじゃないかしら?」

 

チラッとこちらを見てくる如月に

安定した視線で返す

 

「俺は獣連中とは違う、それに三日三晩不眠不休て修理する機会もあったんだし

他の艦娘やら人間やらよりは真っ当な働きが出来るはずだ…従って俺の飯は最後でいい、なんなら大本営から輸送してもらうのを待てばいい」

 

「そうは行かないわよ?

五十鈴さんが手配してくれてはいるけど、まだ少しかかるし、それに提督抜きで食事

なんてできるわけ無いじゃない

…知ってるんだから、提督がコアを鈍らせてたお陰で、あのモンスターは真っ当に実力を発揮出来ていなかった、提督がいなかったらもっとひどい事になってたわ」

 

そっと、となりに立ち

俺の左手を取る如月

 

「提督も一緒に行きましょ

みんな待ってるわ」

 

「そうだといいがな…まぁいっか

如月、お前は先に行ってろ」

 

如月の手を離してそっと浜を進み

「…ユカナ、アレフ、お前ら妖精と深海棲艦の指揮できるな?」

「もちろんです!」

「ピマッギギィ!」

 

「威勢いい返事ありがとう…それじゃユカナ、焼け残りの鎮守府から鋼材持ってきたから、それ使っちゃって…そうだな…露天式だけど、バーベキュー用の炉を作ろう、煉瓦式のやつだ

配置はそっちで頼む」

「はい!行ってきます!」

 

ユカナは精神体になって飛翔し

妖精達に指揮を飛ばし始め

 

それと同時に、俺は白タコヤキに

「深海棲艦のみんなは海に潜れる、ちょっと遺体とか残っているかもしれないが仕方ないし…食える魚とか採って来てもらえ」

「びっ!」

 

強い返事とともにカッ飛んでいく白タコヤキ、実際に食うのは俺の肉なんだがな…

 

「…さぁ、俺も料理できる勢だし、 そっちに加えてもらうとするか」

 

妙にテキパキと指示を飛ばし始めたソロルの提督が、一部艦娘に素晴らしい視線を向けられながら…いろんなものを焼いていく

アジ、秋刀魚、豚肉、ソーセージ、シイタケ、シシャモとバラバラだが、まぁ鎮守府からかろうじて捻出された食材なのだろう

 

大きなカニを抱えてきたワ級には驚いたが…まぁ補給艦であるワ級なら

他より目は利くか、と納得した

 

そして、()()を始めてしばらく

火が通った食材の芳ばしい香りが辺りに流れ…それを感知した深海棲艦や艦娘が

飢えた狼の目で集まってくる

 

まだ列をなしている分マシかもしれないが

 

「皿と箸を持て!」

 

ザザッ!

 

「目標!二番網のアジ!」

ザッ!

 

「よし!右から順番に取れっ!」

ササササササッ!

 

一糸乱れぬコンビネーションでの集団行動の如く、すぐさまに網は空になり

 

鳳翔達は空いた網に手早く次のタネを置いていく

 

「多摩!それはまだ生!こっち食え」

「イ級!肉あるぞ!持ってけ!」

 

各員に適切な対応を手早く返せるソロルの提督、さすがだなぁ

 

そして皿に十分なモノが乗った連中は皆、辺りに三々五々と散らばって適当に座り

…いただきますの一言もなく、ひたすらに無言で飢えを満たしていく

 

「…これはひどい…」

 

人間性の発露などない

ただ獣の捕食のように咀嚼し、嚥下する

 

それは食事ではなく補給と形容すべきモノだと思うのだが…鳳翔さんたちも

とりあえず限られた食材で皆の空腹を満たすことを最優先としているのか

それを気にした様子はない

 

単純に、自分たちも空腹のまま働いているから、気にしている余裕がない

という可能性もあるが

鳳翔さんは許容してるんだろうなぁ

 

「…お疲れさまです」

 

おっと、無意識に呟いていたようだ

 

「俺も交代しますよ、ほらあきつ丸代われ」

「提督殿?自分よりも間宮さん」「大丈夫ですよ」

 

「だそうだが?」

「よろしくお願いします」

 

秒で屈する程に疲れていたのか

…俺も気合入れなきゃな

 

「よし!交代だ!」

わざと大きな声で宣言して、周囲の意識を集め…先ほどまでのあきつ丸に

勝るとも劣らないスピードでタネを焼いていく

 

「不知火、それまだ火通ってないから、こっちのサザエにしな

醤油がオススメだ」

「はい」

 

「深雪、サンマ持ってけほら」

「はいいっ」

 

先ほどの提督のようにはいかないが

それでもしっかりと指揮を取れるというあたりは見せておく

 

こうでもしないと人気が奪われかねないからだ

 

「難儀な話だよまったく」

 

…ぼやきながらも表情は変えず

指示を飛ばしながら、到着予定の将官を待った

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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