「提督、神巫提督!」
里見君の激声で起きると、そこは医務室、
「…提督、里見さんのお話は寝てしまうほど退屈でしたか?」
優しい声の鳳翔さんだが、
やはり目は笑っていない
「あの、鳳翔さん、説教で2時間半かかると提督としては執務が滞るんじゃないかなと」
「大丈夫です、ここ四日間ずっと艦娘だけで執務を回していますし、まだ印鑑も執務室にあるので、万事滞りなく流れてます」
「…なん…だと…」
鳳翔さんってもう解体終わったから普通の女の人だよね…?なんでこんな威圧感があるんだろう
「…さぁ提督、自分をないがしろにするいけない提督はちゃぁんと反省しましょうねぇ」
甘ったるい声の鳳翔さん怖い…怖い…
「さて、提督も僕のつまらない話には辟易しているでしょうから、次は鳳翔さんからのお言葉ですよ喜んで受け取れ」
思わず謎の声が出そうになるが
里見君にとりあえず弁明を試みる
「一応だけど俺だって貢献はしてるしちゃんとサルベージだって成功してる艦娘もいるし俺の行動全てが無駄とは言わせないぞ」
「その弁解が既に言い訳レベルだと自覚していますか?」
「グヌ…」
「そもそもの論ですが、まず提督の身の安全を確保せずに前線に出て
それで提督が死んでいたらどうするつもりだったんですか?心柱の特性が消滅して練度もステータスも急減少してら弱体化した艦娘が攻撃を受けたらどうなるか、考えずにただ突入作戦なんてやっていたわけじゃないでしょう?それに提督がコアに干渉するなんて、まずもっておかしい、コアに接触はまだ許しますよ、それが艦娘のなら!良いですか提督、相手は深海棲艦、それも姫級の個体なんですよ?」
凄まじい勢いで下が回る
まさにマシンガントークである
なんて、ジョークも言いたいところだが、それが俺に向けられた説教なんだからなんとも言えない
「はいすいませんでした」
「ぴぎぃ…」
「あ」
何度目かもわからない辞儀で頭を下げた瞬間、帽子の中から白タコヤキが転がり落ちる
そろそろ疲れてきてしまったのか
「…ぴっびぎぎぃ」
俺の膝に登ってきた白タコヤキは
そのままビチビチとヒレ?を動かして、なにかの講義をして来る
「…帽子に戻ってろ」
「戻させませんよ」
スパッと言いながら里見君が白タコヤキを攫っていく
「あ、ちょっとタコヤキ…」
「タコヤキですか、これが?」
「ぴぃ……ぴぃ…」
里見君の手のひらでコロコロしている白タコヤキ、疲れたんだな
「…なぜ帽子に?」
「あ、鳳翔さんこれは違うんです」
「なぜ帽子に?」
必死の抗弁もにべもなく躱されてしまう
「…拾ってずっと俺と空母棲鬼が連れてました」
「ほう、発着場がわりに帽子の中を?」
「その通りであります」
俺がはっきりと言い切ると、しばし間が空き…
「この子の食事等は?」
里見君が聞いてきた
白タコヤキの食事?
「…俺の血肉…かな?」
「以降はボーキです」
「え?」「びっ!?」
「ボーキです」
「ぴっぎみぃぎゅうぎぴっぎぃ!」
気にすんなよみみっちい!って言ってる…っぽい白タコヤキを確保したまま
里見君が笑う
「こいつのエサのために定期的に提督は自傷行為でもしていたと?」
「基本毎日だけど、活動してなければその分リミットは伸びるから、普段は控えてもらって、余裕あるときは指とか」
「「…」」
俺の答えにドン引きの二人は
取り敢えず白タコヤキの扱いをどうするかを相談し始めた
「どうするんですかコレ」
「レ級ちゃんとか空母棲鬼さんなら扱いも知っていると思いますけど…」
「人肉食性とは恐れ入った…」
割と前から白タコヤキに指噛まれたりしてたんだけどなぁ…気づいてなかったのか
「結構前からいたよ、白タコヤキ…少なくとも大本営に行くより前から
…技師時代から?そんなに長くいてもなんか問題を起こした事は無いのに
ただ普段通りの食事をしてただけで放棄とかはさせないで欲しい」
取り敢えず立ち上がりつつ(正座)
脚全体に走る痛みを堪えつつ
白タコヤキに手を伸ばす
「ぴっ」「あっ」
白タコヤキ、一言と共に指を噛む
皮を噛み破り、肉を引きちぎり、骨から肉を引き抜いて食う
「ぎぎぎびいぴぎぃ」
ごそうさまじゃないよ!今のこのタイミングで食うんじゃないよ!
まぁ、左手が幸いして
指先は治るんだけどさ
「…やはり危険ですね処分しましょう」
「ぁあああっ!」
「噛みつくような
「大丈夫だよコレが普段の食事なんだよ!どうせすぐ治るんだし捨てないでよ!」
里見君と俺の間に割り込んできた鳳翔さんを躱そうとして、突然立ち上がったが為に襲いかかって来る足の痛みに堪えつつ抗議する
「ダメです、危害を加えないならともかく、突然指を噛みちぎるようなものは鎮守府に置いておけません!」
「極めて正論だけどそれは抗議させてくれよ!」
「コレは持ち込み禁止にします!」
里見君が医務室の扉側の方に向かい、それを反射的に追おうとするが
二時間半もの説教中ずっと正座していた俺の脚はろくに言う事を聞かず
鳳翔さんの完璧なブロックも相俟って、あわや脱出を許してしまうというところで
「…提督?帰って来てからずっと見なかったから探しに来たんだけど…どうかしたの?」
そう、俺とレ級以外では唯一の深海艦載機の使用者、空母棲鬼である
「空母棲鬼!助けてくれ!アレフが!白タコヤキが持っていかれてしまう!」
「っ!?」
それを聞いた空母棲鬼の行動は迅速だった
「里見さん、それは私が管理しますので」
ぱっと里見君から白タコヤキを取り上げて、自分の格納庫に放り込んで隠したのだ、この間2.7秒
まさに神速である
「それではっ!」
「危険なのでちゃんと管理をっ!」
「私が行きます」
追おうとした里見君を制したのは
鳳翔さん
「鳳翔さん!?」
「里見さんはここで提督の足止めをお願いします、」
素晴らしいコンビネーションとともに、一言で互いに役割を入れ替えた二人そして
…里見君が俺の道を塞ぎ
鳳翔さんが走り去って行く
「…まぁ、殺処分にならないだけマシか」
俺は、遠い目をしながら諦めることにした
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