「お待たせいたしました、こちら…」
待たせたという割には妙に早い料理が届いた…やっぱり目に見えて多いよな
子供サイズの駆逐艦二人にはどうあがいても収まらなそうな量なんだが…俺?俺はほら、二、三人分だって食えるし
そんなに大量に食うことがないだけであって、食える事には食える
具体的には大盛り牛丼二杯は行けるのだが
「いただきます」「いただきます」
「いただきますっ」
粛々と手を合わせる神風と目を輝かせる雷との対比がまた面白い
「ん…司令官、フライドポテト食べる?」
「俺はいいよ、俺のピザ、結構量あるし」
雷や神風ははくはくと食べているが、俺はゆっくりと少しずつ食べていく
カフェにでも行けばサンドイッチとかパンケーキとか、洒落たものもあるのだが
敢えてガッツリ系のもので腹を埋めているのだから、時間かけて味わいつつ
少しでも食事時間の水増しを試みているのである
ピザを重点的に食べ進め、合間にサラダをつつく程度だが、やはりというかなんというか、体格差がモロにでる
彼女達は一口が小さいぶん
見かけ上は早く食べていても
実際に時間当たりの食事量が多いわけではないのだ
一歩俺はいくらゆっくり食べていても一口を小さくしていれば違和感も出てしまう
雷は観察力が高いから
そう言ったわずかな違和感でも気づかれてしまうかもしれない
内心としては
ショッピングモールに来ているのだから買い物に!と連れ回されるのが最悪の事態として想定され、同時にそれを避けるために時間を稼ぐ考えが浮かんでいた
「…金がやばい…」
いや、資金は十分ではあるのだが、ちょっとATMに行かねば資金の拡充ができない
「最低限の70000で頑張るか」
一階のエスカレーター前にATMはあったから、そこに行こう…よし
これで全て、良い
「食べ終わったか?」
考えているうちに俺もピザを食べ終えていたので、二人とほぼ同じタイミングになった
「…コーラ旨い」
実は炭酸飲料なら頻繁に飲んでいたのだが、ここまで暴力的な甘味を持つコーラは飲まなくなって久しい
「失礼します」
ぼーっと考えながら対面の雷と神風を眺めていると、ちょうどそこにデザートが運ばれて来た
「…こちら、プリンアンドティラミスです」
「はい、こっちです」
通路側の神風が手を上げて
回された片方の皿を雷に渡す
「コーヒーゼリーとなります」
「はい」
こちらは消去法である
「空いたお皿は下げさせていただきます」
さっさと事務的に皿を回収して
そのまま去っていく店員
「…ねぇ司令官」
「なんだ?」
「私達、デザートとか全然考えてなかったんだけど、もらっちゃって良いの?」
「良いんだよ、それくらいで気にするな」
神風の額を指先でつつきながら笑う、財布の中の現在の内容とて流石に戦艦や空母連中のように食べるならともかく、小柄少食な駆逐艦に食費の心配をされるほど切羽詰まった額ではないし
神風に心配を強いるような要素はない
「大丈夫だよ、デザート食べ終えたら出るぞ…3階の東側食事店系統と違って、西側は衣類関係が充実しているんだ」
1階が雑貨や小物、土産屋のエリア、帰り掛けに寄りやすくしているのだろう
地下1階が食品店、二階がゲームショップや学童用のもの、子供衣服系
3階がレディース、メンズの衣類関係が集中したエリアと食事店が集中したエリア
4階がフィットネスクラブや玩具屋、本屋となっているので
ストレートに目的の階に行かないとそこらじゅうをぐるぐると彷徨う羽目になる
一応調べはつけているのだが
駆逐艦二人には説明がされていないので、一応注意だけはしておこう
「変なとこ行くと迷っちまうから、先に目的地を決めよう、二人はどこに行きたい?」
幸い、二人に出されているのはプリンアンドティラミス、アイスのような早急な処理を要するものではない…俺もコーヒーゼリーだ
コーヒーの一杯で粘るような貧乏学生とは違って大量に皿も取っている以上、デザートを食べながら少々話していても邪険な視線を向けられるようなことはないはずだ
「雑貨エリア、土産屋、ゲームショップ、玩具店、本屋、色々あるけど」
「…その中なら…雷?」
「神風さん?ゲームショップって行ったことある?」
雷はツンツンと神風の二の腕を突っついて質問しているが、その答えは当然
「行ったことはないわね…知識的に知ってはいるけど…私の
「…は?」「え?」
途中まではあっていた
だがその最後、結末の着地点が壊滅的なまでに違う、ゲムオタ?は?
「えっと、私自身は知らないけど
いっぱい古いゲームの話とか、小ネタとかが頭の中にあるの、『影牢』とか『青鬼』とか『mist』とか『女神転生』とか」
「お前それダーク系ばっかじゃん」
っていうか後ろ二つについては都市伝説の絶えない1990年代のゲームだ、pcとファミコンのゲームだが、どちらも何やら噂が続いている
「私も怖いのは嫌よ?でも私のベースはそういうのが好きだったみたいで…」
「司令かぁん…」
怖い話が根源的に苦手なのか
その雰囲気を察したらしい雷が腕を取ってくる
「雷、大丈夫だよ、神風もそんな話を好き好んでやりはしないさ…」
そっと頭を撫でながら神風に視線を送る、もちろん、それ以上語るなの意味を込めて
「私だって怖いのは嫌なのよ!でも言わざるを得ないし…中途半端に知るとより怖いわよ」
「カービィの人類滅亡の使者説とか、マリオ大量殺人説とか色々あるけど、そんなに怖いならとりあえず忘れれば良いじゃないか」
「むりよ、怖いものを忘れようとするとむしろ頭の中に浮かんでくるわ」
「…なら、時で霞ませてしまえ
時は全てを希釈する、忘却の川に沈めることはできなくても、その膨大な水で薄めてしまえ」
「………」
なおも俯く神風の頭に、雷にとられている右手の代わりに左手を乗せて…
ゆっくりと撫でる
右利きだからあまり上手くはいかないが、丁寧に撫でる
「落ち着け、無理に忘れようとしなくていいから、怖いなら俺に言え
俺は一緒にいてやる…そもそも、なんでこんな話になっちまったんだ?
ゲームショップ行くんだろ?」
「でも」「曰く付きのゲームなんて今更売っちゃいないよ、さっさと行こうぜ」
テーブルの上の伝票を雷から抜いた右手で取り、同時にひときわ強く左手で神風の頭を撫でる
「俺はこんな鬱展開しに来たわけじゃないんだ、ほら行くぞ…の前にもう一杯メロンソーダ飲ませてくれ」
俺につられて神風と雷も席を立ったその直後、ガタッ!とばかりに崩れ落ちるのだった
600話記念番外編は
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