「ここは…」
「1981年開園のアミューズメントパーク、東武動物公園、遊園地と動物園が併設されている総合施設だ、長い間有名だった木造コースターは無くなってしまっているが、40年前からある施設のほとんどが入れ替わりながらも現在も稼働中、とあるドラマの撮影場所にもなっている」
「すごーい!」
年相応にテンションを跳ねあげた雷と感嘆の声を上げる神風、二人の反応は対照的だが、かなり明るい
「もうちょっと早く来たらショーも見れたが、まぁそれは諦めてもらって
遊園地側のナイターで楽しんでもらおう」
笑いながら二人の後をついていき、アミュートパークに興味津々の二人の財布として振る舞う、実際あまり使い道もないし、無駄に溜め込むより使ってしまったほうがいい
「経済は回るものだからな…」
おっと、姫さまがわたあめをご所望だ
「400円になります」「はい」
裾の中からさっと百円玉を取り出して屋台のバイト青年に渡す
コミケでも使われる、あらかじめ財布から額分の金を出しておいて
すぐに出せるように手元に置く
『握り』というテクニックである
実は二人の視界にわたあめの屋台が入った瞬間から額を見て財布から取り出していたのだった
「一応言うけど、わたあめの棒は燃えるゴミだからな?食べ終わり次第
その辺のゴミ箱に捨てとけよ」
「「分かってるわ!」」
甘いものを目にすれば、年上の神風や母性の目立つ雷とて他の
「…次はどこに行く?」
「あのギャラクシーウォーカーっていうやつ、乗って見たいわ!」
「カルーセルウォータリリーっていうのには興味あるわね」
「ええっと、待ち時間は…意外と短いな…」
やっぱり日曜でも時間が時間か?
短い待ち時間で乗れると分かったので
「じゃあ近い方から次々に回っていこう」
「賛成!」「了解よ」
二人から了承を取って
まずはギャラクシーウォーカーの方に向かう
若い体力か、それとも艦娘だからなのか、無尽蔵にすら思えるような体力で横行闊歩する駆逐艦二人に完全に振り回されクッタクタになりながらも
遊園地から引き上げの時間になる
その寸前に
「最後なんだし、アレに乗りましょ」
「3人で一緒にね」
「え?アレってなんだよ?」
二人に両手を取られて歩いた先にあったのは、やはりというかなんというか
遊園地最大級に目立つ
遊園地の象徴とも言えるだろう巨大なオブジェクト
そう、それこそは『観覧車』
「…参ったなぁ…」
ちょうど夕日も落ちようというタイミング、景色は良好だろうけど
そのタイミングで頭の中によぎったのは…
[幼女二人連れてショッピング、遊園地、写真撮影、夜景を背にしてキス、派手なホテルに消えて行く…]
[復唱するんじゃないよ!]
そう、つい今川内が復唱してくれやがった蒼龍の言葉、ほとんどその通りになってしまっている事への危惧であった
「…いや、大丈夫なはずだ
流石に泊まるのはそういう…いわゆるアレなホテルじゃなく、真っ当なビジネスホテル、営業成績も優秀な普通のホテルだ」
だから大丈夫だ、そんなことにはならないはずだ…そもそも部屋を分けるし
雷が酔っていなければ
ショッピングモールをスキップして先に動物園側に行っていたし、観覧車は完全に予測の外であった
「…はぁ…」
思わずため息をついた俺に
心なしか強い視線を向けた神風が対席の俺に近づいて来る
「…司令官?私たちとじゃ不満かしら?」
「いやそんなことはないぞ」
俺はロリコンでこそないが
客観的な評価として神風も雷も可愛いし、将来に期待できる容姿を持っていると思う
…将来であって、現在ではないのがポイントだ
「白露型の何人かとか浜風とかみたいにおっきいほうが良いのかしら?」
「……それについては黙秘する」
「隠されると余計に気になるわね、大丈夫よ司令官!どんな好みだろうと
人それぞれだと思うわ!」
「その一般世論的な母親じみたコメントが一番心に刺さるんだよ!めり込んだよ!」
俺の悲痛な声と共に立ち上がったその途端に、ゴンドラが揺れる
「…っ!」「おっと」「きゃっ」
「悪い、急に立ったせいだ」
一言で謝りつつ、席に戻り
ちょうど最後の残光が消えて行くところの空を眺める
「…高いな……」
「司令官、もうちょっとロマンチックな事は言えないの?」
神風が笑いながら言ってくるが
「俺にそんなセンスはない」
一言で切り捨てる
「夕日が綺麗だね、くらいは言えると思うわ、ただ言わないだけで」
そっと俺の隣に移る雷
その横顔は残光に照らされてか、少し赤く見えた
「…ねぇ、司令官」
「なんだ?」
日が落ちる、完全に太陽光が消失し
急激に暗くなるゴンドラの中で
神風が微笑む
「二対一だけど、ステキなデートだったわ…司令官、休暇なのに私たちを連れ回して終わりになっちゃったけど、それで良かったの?」
「…それでいいよ、別段
何かするわけでないし、生家ももうないから」
「…そう、それじゃ、わざわざ休日を潰してまで付き合ってくれた司令官に
私たちからプレゼントがあります、雷!」
え?と反射的に雷の方を見れば
雷は笑顔で囁いてくる
「目をつぶってね」
「…はぁ……」
その意図は全く掴めないが
とりあえず目を瞑り
「「はい!」」
手に摑まされたものは
「…なぜ、神風の髪留めと雷のスカーフ?そもそも買い物してたんだから
土産物でいいんじゃないの?」
「そんなんじゃダメよ!いい?司令官、愛着ある自分のものを渡すっていうのは
それだけ大切に想っているという事の証拠、私たちは司令官をそれだけ大切に想っているのよ、土産物と一緒になんてしないでよね」
「ほかの艦娘には内緒よ?
二人でこっそり相談したんだから」
[金剛のリボンと初春の扇は伝えなくて良いのだろうか…]
[野暮な事はしない!全く!]
川内に叩かれながら粛々と受け取り
「ありがとう、二人とも」
笑顔を見せる
「…返礼に出来るようなものは持ってないんだよなぁ…」
「言うと思ったわ」
「司令官、もう一回、目をつぶってね」
言われるがままに再び目を閉じると
「え?」
「「ふふっ♪」」
衝撃…いや、物理的な意味じゃない
[おやおや…提督〜?
[俺はロリコンじゃねえ!
…落ち着け、俺、落ち着かんと…]
「初めてなんだから、高くつくわよ?]
「私だって初めてよ?」
いや、嬉しいんですがね…すまん
「年齢差が激しすぎて事案にしか見えない…」
「なんですってぇ!?」
観覧車を降りた後もしばらく、神風に説教されるのだった
600話記念番外編は
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……