「…で、結局ホテルなのよね…」
「蒼龍さんの予言通りになったわね」
「予言とかいうな、俺の計画ではショッピングモールはスルーする予定だったんだ…遊園地側のアトラクションと動物園側のショーを梯子しつつ露天の軽食で腹を埋めてさっさとホテル入りする予定だったんだよ!」
「………」
「…………」
「二人がいなければどちらもスキップして完璧に一日中寝ているところだ
…別に鎮守府の部屋にある布団で一日中寝ているというのも良いんだが…それじゃあ休暇という形にできないしなぁ」
「そんなんじゃダメよ!」
俺の述懐に雷がインターセプトしてくる
その気配りはありがたいのだが
グダグダしている時には耳に痛い
「言っとくが、お前らは二人部屋、俺は単独でシングル、階が違うから来るなよ?」
修学旅行に浮かれた学生に釘を刺す教師のような事を言いながらチェックイン
先に予約は入れてあるため
『予約がいっぱいで一室しか空いていないんです…』なんてお約束な流れにはならない
「…計画通り」
呟きながら鍵を受け取って
神風に渡す
「お前らは二人部屋だけど、オートロックだから鍵をどっちかが持っていないと、部屋を出た時に鍵が閉まって開けられなくなるぞ」
「え?何それ、どういう事?」
「ドアを開閉するたびに自動的に鍵が閉まるシステムだ、お陰で鍵を持って出ていないと自分の部屋から締め出されてしまう」
「面倒なことになってるわね…」
「マンションとかでは普通のシステムではあるんだけどな?」
笑いながらエレベーターに乗り
6階で一階上の二人と別れる
「それじゃあ、レストランが空いてる時間、風呂が使える時間はそれぞれあるから
そのタイミングで連絡するよ」
「うん、それじゃ」
「さよなら、神巫さん」
エレベーターを降りて二人を見送り
部屋に入る
「………寝よう」
腕時計のタイマーをセットして
さっさと時間直前まで眠ることにした
「あ、もう6時か…」
レストランが開く時間になる
…神風と雷の部屋は712号室、
迎えに行かなくては
「ああぁ〜…頭痛い…」
こうして俺は頭を抑えながら二人の元へと向かうのだった
「…」
とりあえず部屋の番号を見て
間違いなく神風と雷の部屋である事を確認してから、扉をノックする
「…二人ともいるか?」
「はーい!」
「いるわよ」
ガチャッと開いた扉に顔面強打する事故を起こしかけながらもなんとか回避する
「二人とも、レストランが使える時間だからディナーと行こう」
「わかったわ!」
「何があるかしら…楽しみね」
雷は元気に頷き、神風は
何か…
「別に変わったようなものなんてないだろ、間宮さんとあきつ丸と鳳翔さんの飯を食ってられる俺たちに比べればって話だが」
「もう!そういうことは言っちゃダメよ!仮にもホテルなんだから、楽しみましょうよ」
「そうよ司令官、風情のないことばかり言っていては楽しめないわ」
駆逐艦二人に窘められながら
俺は三階のレストランに足を踏み入れるのだった
「…なるほど、バイキング形式か」
「バイキング?」
「あぁ、神風は知らないか?こうやって料理をテーブルごとに配置して
各々で好きなものを好きに取って行く形式なんだ、一般店ではほぼ使われないが
ホテルや…それこそ船では一般的な形だ、好きなものを好きに取る形式上栄養は偏るが、定量的に食べることになる膳ものよりは
食べる量そのものを調整できるから便利だよ」
「へぇ…」
感心したような表情の神風と雷を微笑ましつ思いながら、バイキング形式にまつわる豆知識や小ネタを次々に聞かせていく
「もともと、この方式は海賊部族『バイキング』が提案、形成したものであるとされている、名前がその名残だ…その便利さから今でも残っているが、当時とは環境も違うし、品や礼だってある
…元々は大切な食料を
「食べ物は…長旅になるなら貴重品だものね、残さないように、という配慮は必要よね」
「保存技術が進歩している現代では、あんまり気にされないような事だけど
それでも当時出身の私達からすれば考えさせられる話ねぇ」
自分にも縁遠からぬ話だからか、食いつきの良かった二人にこういう場での作法を簡単に教えて、『あとは自由に楽しめ』と一言だけ言ってから送り出した
「…俺はどれにしようかなぁ」
生姜焼きは確定として
あえて普段食べられない麺系(間宮さんにカップ麺禁止令が出されてしまっている)に手を出すのもいいだろうし…
よし、
「まずは少しずつ、色々巡る」
全体の方針としてはこれに限るだろう
『楽しめ』と言ったからには
自分だけ辛気臭い顔をしているわけにはいかない
俺もせいぜい楽しもう
ある意味タイトル通りの話ですな
600話記念番外編は
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しぐ……しぐ……