戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

319 / 649
見届けるもの

「…チエックアウトすっから時間に気をつけて部屋片付けろ〜?」

 

現在の時刻は午前8:00、ホテルのチェックアウト前ごろになったので、子供二人(神風と雷)を呼びにいく

 

「片付け手伝って〜?」

「ここぞとばかりに甘えるんじゃないよ雷君…」

 

ポムポムと雷の頭で手を弾ませながら部屋に入って…

「私物は一箇所にまとめておくんだよ、後でまとめて取れるようにね

あとシーツは外しておくように

こっちのは俺がやるから、二人でそっちの布団のシーツを外してくれ」

 

結局手伝うことにした俺は

テキパキと指示を出し始めた

 

…工場就職以前には外資系に多少のチェックを入れていた俺は友人とのホテル泊まりもあり

大学前でドロップアウトこそすれど、こう言う経験(部屋の片付け)には慣れがある

 

というわけでさっさと片付け終わり

夜にこっそり外出して買っておいたお菓子を二人に渡す

 

「チエックアウト手続き中には暇だろうからな…ロビーのソファーで食ってろ」

 

「「はーい!」」

やはり女子は女子、甘いものさえ吊るせばいくらでも走るというものだ…!

 

「…はぁ、」

 

俺は突然襲ってきた嫌な予感を背にしながらチェックアウトの手続きを終わらせて

「神風、雷、出るぞ」

 

二人に声をかけてロビーから出る

無論ながらに手荷物は有るが、我慢して肩がけにまとめて、両手は二人とつなぐ

 

「結局この形にも慣れちまったな…」

 

身長差の激しい三人(なお2:1)であるが、割とその手を繋ぎ合う姿勢にも慣れてきて

あまり姿勢維持に負荷を感じなくなってきた

 

「…昼はどこで食べるの?」

「またファミレスってのもいいけど、今回はお前らに粗雑な味を知ってもらうためにラーメン屋に行きたい」

 

「粗雑な味?」

「保存料とか着色料とか、そういうケミカルな方面での味だ、無論素材の味もあるし、合成調味料だけじゃないが、ラーメンの調味料要素は大きいからな…個人的にもラーメンは好きだし」

 

そこまでいうと、神風が笑いながら指摘してくる

 

「それ、結局自分が好きなだけじゃ無い?」

「そうとも言うな」

 

笑って誤魔化しつつ、バスを捕まえる

一応時間も調べているし、昼の少し前あたりにラーメンを食べて、そこからしばらく観光と土産漁りして、いよいよ鎮守府に帰る

 

といった形になるだろうことは分かっている

「よし」

 

予定を頭の中で再確認しつつ

二人を見ながらバス停を待つのだった

 

「ちょっと時間あるから、昼前にまず、土産物をゲットしようか、海沿い側に出れば、俺たちが守ってきたものが見られると思うぞ」

 

「…!」「!」

 

二人して目がキラキラしているので、同意と見なして海側へと向かった…といっても急峻な地形がら、海沿いといっても崖上などである

 

「…わぁぁぁ…」

「普段は海上からだけど、高いところからみるとまた違うのね…」

 

昼前の高い陽に照らされながら輝く海に、その縁となる海岸線、そしてやや内側から始まる街並み…実を言うと海沿いは深海棲艦出現当初に廃棄され、区画ごと廃墟となっているので

海沿いの街並みはすでに人のない終わった街なのだが、そんなことは告げなければ良いだけの話、

 

[言っちゃダメだよ?][流石にそれは言わないよ]

 

なんか君たち感動してるっぽいけどその街って君たちが守りきれなかった廃墟だぜ!だなんてそんなこと言われたら目が曇るだろ、ソウルジェム濁りきっちゃうだろ!

 

[魔女化したらどんなになるんだろうね?雷は多分母性の魔女だけど、神風はどうだろ?][しらん、あと雷に問答無用で母性当てはめるのは止めてあげろ]

 

[母性の魔女、その性質は愛護、母親になれない小娘の羨望の形、よその子供を連れ込んでは魂を抜き、自分の子供にしてしまう、子供にされた者たちは幸福な夢を見ながら死んでゆくだろう]

[本格的なのやめてくれ!]

 

「司令官?ねぇ司令官?」

思わず頭の中で悲鳴を上げた時

雷が背後から服を引っ張ってきたので、一旦話を打ち切って振り向く

 

「どうした?」

「そろそろお昼前よ?ラーメン食べに行くんでしょ?」

「ラーメンはカロリーとコレステロール量が高いって聞いたんだけど…」

 

「一食くらいじゃさして変わらんよ、大事なのは習慣、体に悪いモノだって定期的に大量に食ってるわけじゃないし、そこまで影響を気にしなきゃいけないようなものならとっくに危険物質に指定されてるよ」

 

神風を説得しながら笑って

近くのラーメン屋を調べる

 

「よし!あったあった…」

 

狐狗家、という名前のラーメン屋である、…豚骨醤油系なのかな?

 

「ちわーっす」

営業中だったので、容赦なく入ると

 

ガラガラだな

「空いてるのね」

「誰もいないなんてラッキーね」

 

「お前らそんなことを言ってやるんじゃないよ」

 

割とハートを抉りに行くようなことを平然と述べていたので、きっちりと黙らせる

 

「ラッシャセー」

 

どうにも機械的な声で迎えられ、一般的なおしぼりとガラスコップが置かれて

 

「オ品書キハコチラトナリマス」

メニューを手渡される

 

「…黙っておこうと思ったが…」

「よく持った方じゃない?」

「まぁ、まぁ、司令官…」

 

神風に制止されるが、

俺はもう止まらないと誓った!

 

「…何故ここにいる?タ級、ヲ級」

 

「…バイトデスガ?」

「店主の手伝いヲシテルだけデスね」

 

どうやら、この店は

深海棲艦がバイトしているらしい

 

「帰ろうか」「 「そうね」」

「お客サン?」

 

しかし回り込ませてしまった!

 

「お客さンガ海軍か何処カのひとで、私達の事ヲ知っていたとシテモ、店主さんニハ内緒でお願いシマス」

「私達ガ深海棲艦デアルコトト、ココノラーメンノ味トハ関係イ無イ話、マズハ冷静ニ考エ直シテ下サイ」

 

見た目単なる肌白美少女であるタ級はともかく、ヲ級は言い逃れできないと思うのだが…

 

「頭ノコレヲ外セバ何トカ…」

「そもそも店サンは目が見えナイノヨ…」

 

タ級にこっそりと耳打ちされて、なるほど、と納得する

「バイトであっさり通っているのは、そういうことか」

「本当ハヲ級は裏方デスけど、今日は表に出てイルんです、店主さんガ倒レテシマッテ…」

 

「そうか、で、周りの人とか客はどうなんだ?」「見た目的にはタ級は問題ないと思うけど…」

 

艤装無しとはいえ、戦艦のタ級相手に戦うには荷が重いと考えているのか

若干腰が引けている神風の言葉が続く

 

「エエ、私がフロント側に出て、主に注文取りとか、テーブル掃除とかをやっテルわ、ヲ級は後カラ来て、サスガニ出られナイから裏方をヤッテいるの」

「そっか、戦闘しない隠海棲艦ならそれでいいや、店主さんと仲良く、ね?」

 

 

「…ソレハ将来的ニモ考えテルわ…薬指が寂しイって、アピールはしてルンダけど」

「イッツモ躱サレテシマウノヨ…ンンッ!マズハ注文ドウゾ」

 

あ、そうだった

「まず、醤油ラーメンと…小ガーリックライス一つ、餃子を10個で」

「私は…塩ラーメンのスープ増しで」

「ええっと……どれがいいかな…」

 

雷は決めあぐねてしまったようだ

 

「ココノオススメハ豚骨ト醤油、サブメニューデハ炒飯ヨ」

 

笑顔でヲ級が囁く

「じゃあ醤油ラーメン一つ、半チャーハン一つで!」

「お子様サイズにシナクテいいの?」

 

反対側からタ級はにこやかに聞いて来た、「いいのよ、私だって普通の量食べられるわ」

 

「そう、わかっタワ、ヲ級」

「ハイヨロコンデー」

 

ヲ級は厨房へと消えていった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。