戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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会議室にて

「思いもよらないレベルの急展開だったんだが、何があったんだ?…無理やりに話を畳もうと言わんばかりの伏線回収だが」

 

[提督、メタフィールド展開しないで?]

[体力だけじゃなく肉体そのものを削るようなフィールドなんか展開しません]

 

「うむ、六重の連謡については我々も急な動きだとは思う、だが逆に

こうは考えられないか?

『最近になって戦力の補充が完了した組織が古い看板を作り直すために

活動を再開し、情報が行き渡らないうちに周辺を圧倒しようとしている』と」

 

長門と共に会議室へ到着し

ほかの戦闘経験豊富な艦娘達と共に六重の連謡対策会議を始めたところだが

 

唐突な疑問にもしっかりと答えてくれた

 

[敵の戦力、外見でもわかればなんとかなると思うんだけど…]

[そうだよなぁ…異世界転移者(スリッパー)とはいえそろそろ情報の精度も落ちてくる、システムそのものが基本的に同じだとしても情報が丸々違う事だってあるし、一次情報は重要だよなぁ]

 

どうしても活動そのものは抑えられない、また旧来の姫達がいるので説得などの穏便な方向は使えないと言っていいだろう

 

残るは強硬な方向、つまり武力による撃退なのだが…まず持って難しい

艦娘達も薄々は察しているだろうが

俺がピンポイントで戦場に艦娘を配置して、常に有利に立ち向かえるようにしてきたのは事前に『誰がどこに来るか』を把握しているからだ

 

それが使えない以上

俺の作戦指揮能力は事実上失われているわけだ、敵の戦力が掴めない以上は対策とて立てようがない

 

「…せめて轟沈を出さないように振る舞わなくては…」

 

事実上の轟沈とすら言える艤装完全破壊、それが暁に起こってしまった以上は

『絶対に轟沈させない』なんて言えないだろうが、それでもやはり

俺の管轄する創海鎮守府の艦娘達には死んでほしくはないのだ

 

何が出来るわけでもない、侵食率も限界ギリギリの俺が役に立つような事と言えば

極めて真っ当な指揮と艤装のメンテナンスくらいだろう

 

「出来る事は限られているが、それら全てをやり切る、話はそこからだ」

 

「うむ、その通りだ」

「それでこそ提督だよ」

「僕もそれには賛成するよ」

 

単なるつぶやきは、普段の喧騒の中ならいざ知らず、静かすぎる会議室では皆に届いてしまったらしい

 

「…提督、まずは具体的な作戦を立てましょう、敵の出現位置は概ね5通りにまで絞れましたから」

 

「あ、あぁ」

 

赤城さんが提示したホワイトボードには、鎮守府の周辺地形と大まかな海域図、そして五つの赤いマグネット

 

「潮流、波高、地形、視認性からこの五つの点が最も侵入経路にされやすいだろう地点と認定されました、よって、定石通りに攻めてきた場合

この点甲、乙、丙、丁、戊のいずれかを通ると思われます」

 

「なるほど…じゃあ6点目、陸上から回り込んで来る可能性がある」

 

ひょいっと端についていた黄色のマグネットを動かして、地形上の陸側に置く

「陸上から…?」

「流石に戦艦の主砲は反動が強すぎて陸じゃ使えないかも知れんけど、空母の艦載機発艦能力は陸でも問題なく使用可能だ、

 

俺が指揮するのであれば…空母型、潜水艦型、戦艦型なら、戦艦を海側の鎮守府真っ正面から突っ込ませて、潜水艦型が戦列の後ろを取り、戦力を囲い込んだところで

 

手薄になった鎮守府本棟を陸側から直接焼夷爆撃して提督ごと残存艦娘を焼いて、工廠機能を破壊、補給も修理も出来なくなったところを数の暴力で潰す」

 

[エグ……]

[え?至極当然な発想じゃない?

前のソロル鎮守府での戦いで工廠壊されて大迷惑したから、それを戦略に組み込んで来る事を想定しないとね?]

 

ちゃんと以前の反省を活かさなくてはいけないだろう?人間なんだから

 

「というわけでだ、陸上側にも警備を残さなきゃならない、格闘型の艦なら陸上でも十分強いし、警戒するに越した事はない

もちろん、来ないなら来ないで良いんだけど、きた時に防備がないと何も出来ないからね」

 

念のため念のため、と笑いながら

周囲のドン引きを無視して

マグネットを指さす

 

「ともかく陸戦への備えは取るべきだ、陸戦に長ける艦娘がどれだけいるかは分からないが、最低限六人必要だと思うよ」

 

「私、球磨、あきつ丸、電、赤城、大和で六人だが…」

「大和と長門を同時配置はできない、二人と重要戦力だから、できれば全箇所一人づつ戦艦が欲しい

 

大和、長門、金剛、扶桑、ビスマルクで五人だから、どこか一箇所は重巡に頑張ってもらうことになりそうだ」

 

鈴谷と愛宕の火力なら十分だとは思うのだが…やはり戦艦の火力は決戦級

重巡と比すれば一段高い

金剛のみ旧型+高速戦艦であるため、火力は控えめだが、それも金剛自身の精密射撃があればクリティカルヒット連発で埋められる

 

「扶桑は散布角が広いから、丙地点で確定だけど、金剛は?」

「私は戊と丁を両方担当しマース!」

 

「私は陸上に回ろう」

「コウは私が担当してあげるわ」

「では乙地点は私ですね」

 

各々の特性を生かしてか、特に取り合うこともなく分散して終了、重巡二人は結局戊と丁に分散配置してその間を金剛が行き来するらしい

 

「よし、艦娘達の配置については決まったね…次は具体的な作戦の構想を練ろうか

 

特殊な陣形だからまず、この陣形を暫定的に『ヘキサグラム』と呼称を設定させてもらう、対案は?」

 

「…まぁ、わかりやすくて良いんじゃないですか?」

「いちいち『対六重の連謡陣形』と呼ぶやら、『第4種戦闘隊形』に押し込むよりはマシだろう」

 

…風当たりは微妙ながらに

一応認められたっぽい

 

格好良さ重点じゃなく、6点配置で鎮守府を囲う形だから六芒星(ヘキサグラム)ってわかりやすい意味付けなんだけどなぁ…

 

[ダメかなぁ…]

[良いんじゃない?私は別に否定しないよ?]

 

[ならありがたい]

 

川内に慰められつつ、作戦の構想を出し合って練っていくのだった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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