戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

324 / 649
内心の吐露

視界に火花が散った

 

「ま…間宮さん…一体何を…」

 

「何をいきなり言いだすんですか!ここは食堂ですよ?!提督はデリカシーが足りません!」

 

「いやだからその」

「問答無用です!」

 

その声が終わるより前にアームロックが首に決まり、そのままズリズリと引きずられて退場するのだった

 

「…全くカッコよくない退場だ…」

 

呆れ声の天龍は一人

このようにつぶやいたという

 

「…うぉぉ…頭がぁぁ…」

 

脳が痺れている俺は間宮さんに抱えられながら廊下を行き…

「その、当たってるんですけど」

「当ててますけどなにか?」

 

食堂から引き離され

 

「俺個人的には凄く幸せだけど社会的には大問題だと思うんだよ」

「私が騒がなければ問題になりませんから大丈夫ですよ」

 

脅迫とも取れるようなことを囁かれながら提督私室にまで連れて行かれるのだった

 

 

「…で、真意について、聴かせてもらいますよ?提督」

「俺の真意は先ほど話した通りなんだが?」

 

みんなに轟沈(死亡)して欲しくないというのは嘘偽りも紛れもなく本心なのだが

どうも間宮さんには信じられて居ないらしい

 

「提督があんな意味不明なことを言い出すのは何かの不安要素がある時です

それくらい私にだってわかります

…教えては、くれませんか?」

 

「……-はぁ………」

 

わざと長くため息をついて

何もいうつもりは無いとアピールする…それでもやっぱり視線は変わらずに俺を捉え続けている

 

「最初に言いますよ、間宮さん

まず俺は全ての作戦において『全員生還』を最低限目標とします、それが危ぶまれる様な作戦においては特段の旨としてそれを改めて説明します

それだけの事です、他意はありません」

 

とりあえず、いつもの行動を根拠に出して間宮さんの追求を遮断するための

最低限のバリケード(論理防壁)を構築する

 

「だとすればなぜあのタイミングで言ったんですか?タイミングを誤れば

混乱や精神的な圧力(ストレス)だって掛かるでしょう、食堂で衆人環視の中に言う様なこととは思えません」

 

 

参ったなぁ…間宮さんもまた

長いキャリアを持つ艦、それを侮っていたと思わざるを得ないだろう

 

これは重大な問題だ

 

「…」

だが、それはさておき

ここまで問い詰められれば

答えざるを得ないだろう

 

「…俺自身のメンタルの安定の為ですよ、まさか遺書を用意しておけ

なんて言えるわけでもない、

顔を合わせるのが最後になる可能性だってあるんだ…それだけ強大な相手です

だから最後に、自己満足だとしてもこう言う『死ぬな』と…『また会おう』じゃないんです、『死ぬな』この一言」

 

たとえ会えなくても良い

互いに生存を確信できるのなら

手を取り合うことができるのなら

それまでは敵同士だって構わない

 

『深海棲艦になってでも生き延びろ』

つまりは、そういうことだ

 

艦娘には、到底言えた事ではない

だから真意を隠して、オブラートに包み

たった一言『死ぬな』と告げる

 

「そう言っておけば、死んだら命令違反ですから、生き残ろうとしてくれる

生きてさえいればまた出会える

ひと時の別れがあったとしても」

 

「………」

 

間宮さんは沈黙している

…まぁ、そうだろうな

深海棲艦と戦っているはずなのに

いきなり深海棲艦に成り果てでも生き延びろなどと口走り始めたのだから

話についていけなくなるのも自明

 

「そう…ですか」

 

「…そうですよ?」

 

道化のような問答の後、俺は

私室にあるほぼ唯一の私物、

安物の椅子に座って笑う

「心配のしすぎ、とよく言われるような心配性なので、大切な確認事項は言っておくに限る…そもそも、いつ敵が来るかも分からないんですけど、それでもとりあえず言っておくんです」

 

机から取り上げたデジカメといくらかの写真、明石がくれたものだが

何枚かの写真程度しか撮っていない

 

こんなピリピリした状況で

『集合写真撮ろうぜ!』なんて言い出したら怪しすぎるし、まず遺影がわりと捉えるだろう

 

「…決戦がいつになるか

それはまだわからないけど、六重の連謡の活動が活発になったという話も来ている

六重の連謡は夢葛鎮守府を滅ぼして怪物級の深海棲艦、離島鬼姫を作り出した

それが撃滅されたとなれば

次はその相手に興味を持つでしょう」

 

間宮さんが息を飲む、

それに畳み掛けるようにノンストップで続ける

 

「その目標はやはりソロルとここです、微速ながらにこちら側に寄って来ている深海連中の生息域の変化と照らし合わせると、ほぼ確実にこっち側に来ているんですから、いつか接触して来る

 

…活動が沈静化する以前、旧、六重の連謡は艦娘側と決戦までやっている

穏便な接触にはならないでしょう

最悪、轟沈多数を覚悟しなきゃならない、俺には艦娘達の上司としての責任がある

だからこそ、俺は死ぬなと言うんです…分かってくれましたか?」

 

「…はい、差しでがましい事をしました」

 

間宮さんの表情は徐々に暗くなり、最後には声も細く立ち消えていく

「失礼しました」

 

それだけははっきりと言って

間宮さんは去って行った

 

「…間宮さんにはあぁ言ったが…」

[提督、深海棲艦の大規模な侵攻が確認された地域のリストアップ終わったよ]

 

[データを精査するぞ]

 

頭の中から声をかけて来た川内とともに侵攻ルートの絞り込みを続ける、

深海棲艦のデータは鮮度が命だが

どんな情報でも必要なのだから

古臭いものだって調べる必要がある

 

奴らの侵入経路の癖や傾向は確実に情報として残っているはずだ…

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。