「で、まだあるか?」
「もうないね…大本営の
「そんな危ないことしてたのかよ」
書類の束をまとめていた川内の言葉に驚愕すると、川内はこっちに顔を向けて
「提督?私だって使えるものは使うし、基本的に『川内』っていえば私の端末だもん
大本営の川内だって私が使おうとすれば使えるよ?」
「んなおっそろしい事を平然と…」
「まぁまぁ、時間延ばしに
苦笑しながら手を振る川内
たしかに川内の魂界を使ってはいるが…まぁ、基本的に一般人や提督がアクセスするような場所ではないが、そんなに言うことか?
「言うことです、ねえ提督?魂界に来るのは良いけど、そもそもそれって、侵食率上げるのと同義なんだよ?放っといたら侵食率上がって来ちゃうよ?」
「必要だからな、必要なら躊躇はない、25%を超えなければ良いだけだ」
「…ギリギリを行き来するスリルを楽しんでるわけじゃないんだよ?」
いつのまにか隣に移動していた川内の頬をつつきながら手手を動かす
やれることはやる、そのために俺は直接戦力にならないだろうから、裏方として
情報を集める、それが当然の役割分担というものだろう
「…出来ることをすれば良いんだよ?無理して倒れちゃったりしたらそれこそ危険なのに」
「倒れたなら倒れたでかまわん、どうせ俺の指揮は『現場判断』の一言で済む
それだけ言えればそれで良いからな」
「それは放任主義って言うんじゃないのかな…」
呆れたような声が飛んで来るが
「いちいち戦場の前線で、指示待ちなんてしてたら的だぞ?それはお前たちこそよく知っているだろう」
「それは分かるけど…でも心配だよ、提督が倒れたなんて聞いちゃったら
絶対普段通りになんて戦えないよ」
ギュッ、と俺の制服の裾を掴む川内
「提督、私は提督に生きていてほしい、私は…っていうか艦娘はみんな、『もう死んじゃった』存在の影だから、変わることはないけど
それでも提督は生きている、だから提督には生きて、その『変化のある』人生を生きて欲しいの」
いくら時間が無限に近いからと
無駄にして良い訳ではないだろうに、川内は俺を押し倒さんばかりの勢いを見せる
「蒼羅さんのこと、大好きだから」
「…はぁ………」
俺は溜息をつきながら
抱きついてくる川内を躱して
「その言葉はありがたいけど、俺はやっぱり別の世界線の出身であって」
「そんなの関係ないよ!」
川内は責めるような視線でこちらを上目遣いに睨みながら、大きく声を出す
「私はこの世界の蒼羅さんじゃなく、貴方の事が好きなの!
「…はぁ…」
もうこの言い訳も通じないとは…
「世界線を移動したって、蒼羅さんは何も変わってないままなんでしょ?だったら私の魂と融合してる状態も何も変わらないはずだもん、
提督が元の世界に帰ってもずっと一緒にいられるんだから!」
「…そう言われれば、そうなるんだが…」
艦娘が別の世界で上手に生きられるかどうか…大和や鳳翔、一般的に良い子達ならまだしも、明らかに世渡りのうまくない天龍や叢雲達は…謎の発光部位まで待っているし、迫害される可能性だってある
「私には関係ないもん!」
「たしかに川内はそういう発光部とかは持ってないし、一般的に良い子だけどさ」
「私はたしかに小柄だけど、戦果だって上げてるし!夜戦の参加数多いし!」
「そこですら夜戦をアピールして来るのか…」
川内の必死なアピールにも出てくる夜戦、いや、川内といえば夜戦なのだから
ある意味間違っていないのだが
「とにかく一緒にいたいの!提督が死んじゃったら怒るんだからね!」
「そうそう簡単に死ねるような体ではない筈なんだが…」
「だからそういうのじゃなく!もっと危険から遠ざかって欲しいんだよ!
提督が死んじゃったら嫌だよ!」
「……はぁ…」
「そんな微妙な顔するんだったら鎮守府のみんなに聞いてみれば良いじゃん!
『俺が死んだらどう思う?』って聞けば?金剛さんあたりに殴り殺されるけど」
「…つまり『今から殺してやるよ』ってこと?」
「違うっての!『そんな不吉な質問するテートクにはグーパンでーす!』だよ!」
「…どちらにせよ俺は金剛に殴殺されるのか…」
不吉な先行きをイメージしながら
それでも、必要ならば躊躇はしない、と覚悟して…
「それじゃ、行ってくるよ、戦闘中はサポートよろしく」
「あちょっと!…はぁ、行ってらっしゃい、蒼羅さん」
川内の呆れたような声を背に
俺は現実側へと帰った
今回はずっと川内と一対一でしたね
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