戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

326 / 649
光を受けて

「…で、金剛、突然だけど

俺が死んだらどう思う?」

 

「は?……テートク、

何を言ってるんデスカ?」

 

近くにたまたまいたので、金剛に声をかけ、先程言われた質問を出してみる

殴殺されるのは…この状況なら

多分ないだろうから、

おそらくは大丈夫だと思うし

 

「…テートク、頭に長門の右ストレートでも入ったんデスカ?テートクが死ぬなんて考えられないデース」

 

「…本当は?」

「考えたくないです…提督が死ぬ?そんなバカな話を考える暇があったらお茶会でも開いてるデース…」

 

そこまで暇じゃないと考えないのか…

 

「………テートク…」

 

弱々しい声とは裏腹に、素早く金剛の左手が閃き、俺の制服の裾を掴む

…なんでみんな俺の軍服の裾を伸ばすの?

 

「テートクはバカです…なんでこんなtimingで不吉な事を言うんデスカ…」

 

言いながら俺を戦艦パワーで引っ張るのはやめてくれないかな?

 

「お詫びにしばらく動かないでクダサイ」

「…はぁ…」

 

殴殺はされなかったけど、

別の意味でこれは辛いな…

「ホントは自覚してマース…私たち艦娘ハ、提督に依存する生物デース…

それが仕組まれた物だとも知ってマス…でもテートクから離れたくない、離れられないデース…」

 

「…困らせてしまったか…」

 

金剛の頭を少し伸ばした手で撫でる

髪質いいな…

 

戦艦(おとな)だから、しっかりしなきゃいけないのに…」

「はいはい、今はゆっくりしなさい

今だけだよ?」

 

そっと頭を撫でながら移動する

狙いは食堂だが、ほぼ常に他の艦娘がいる場所でもあるので、危険すぎる

仕方ないので、どこかの空室でひとしきり慰めておこう

 

「テートクー…」

「はいはい」

 

少し手を止めると、催促してくる金剛

普段は姉として気を張っているのか

元気の良い…というかうるさい、金剛だが、精神的に揺さぶればここまで弱るのか

 

一言でこれとは逆に心配になってしまうのだが…本当に大丈夫なんだろうかこれ

 

「ふふっ…もう良いデース…

完全復帰、金剛ちゃん復活デース!」

 

十分ほど撫でているとようやく復活してきた金剛、やっぱり金剛といえば有り余るバイタリティと闘争心、笑顔が素敵な艦娘ベストナントカの上位に常に出てくるような金剛型の一人である

 

「金剛の笑顔って、見てると元気になれるよな…」

「テートク!?」

 

「はいはい、照れるな照れるな

……もうじき、決戦になる可能性が極めて高い、それを踏まえて金剛に聞いたんだが…どうもダメみたいだな

 

理想的には俺が居なくなっても

以前のように鎮守府を回せる方だったんだが、どうも鎮守府を空ける訳には行かなくなった」

 

空を睨みながら、告げる

「というわけで、

俺も前線に出る必要があるようだ」

「テートク!それは反対です!」

「金剛?」

 

いきなりの強い反対に、つい訊き返す俺に、金剛は掴みかからんばかりの勢いで叫んだ

「テートクの侵食率の話は知ってマス!テートクの力がそこに由来するとも、それがテートクの命を蝕んでいるコトも」

「もう知っている…まて、それは誰から聞いた?」

「ビスマルクデース!」

 

「…奴は知らないと思っていたよ」

「ビスマルクは頭が良いデース!

たとえ直接的に情報が伝わらなくても探って外郭を描き出すくらいは出来マース!」

 

「随分奴を推すんだな…」

 

俺の声に金剛は一瞬キョトンとしてから笑い出した

 

「何故笑う…そろそろ行くぞ」

「あ、テートク ついて行くデース」

 

俺は笑い出した金剛を置いて

六重の連謡の位置を捕捉するために通信棟へ向かおうとすると、金剛が付いてきた

 

「別に来ても良い事はないぞ?」

「テートクと一緒に居る、これだけで充分幸せデース」

 

なんかその台詞、

新婚夫婦のように思えるんだが…

 

[じー………]

[なんだ川内]

 

[じーーーー………]

[……はいはい]

 

金剛を一旦置いて、川内のほうに集中して、川内の頭をそっと撫でる

[これで良いか?]

[今のところは、ね]

 

上機嫌な答えを受けて、

今度こそ現実側の世界に戻る

 

「さて…何日時間があるのやら…

微速前進、ずっと続けてるわけでもなし、いつか急加速する筈だ、そのタイミングで捉えられればなんとか…」

 

全員フル戦力でのカウンターが可能なはずだ、今のままの速度なら

ナニカが至近に到着するまで

100時間ほど、つまり5日分ほどあるのだが、それは考えないものとして

せいぜいが残り三日だろう

 

その前に出来るだけなんとかしなくては

 

「金剛」

「はい」

 

打てば響く、素晴らしい返事だ

「出来るだけ多くの鎮守府に支援要請を送ってくれ、思い当たる全てに

戦力が足りないから、どこにだって良い」

 

「了解デース」

「想定される戦闘時間は三日後から5日後までの二日間、相手は未だかつてない強力な姫集団

あらゆる戦況を想定して最高のメンバーで挑んで欲しい、それだけで十分だ」

 

金剛はそれを聴くと、

強く拳を握って応じた

 

「わかったでーす!提督のために

戦力を集めてみせます、ご期待下さい」

「もうルー語が消えてるのにはツッコマないでおくよ」

「あっ…気にしちゃダメデース!」

 

「そうまでして誤魔化したいか」

「てーとくー?」

「ははっ…よし、聞かなかった事にしよう」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。