戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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酷い仇名

「で、金剛に連絡は頼んだが

どうせ来るとは考えていない、現状の戦力でどうにかするには単体戦力の引き上げが必要だ」

「それで私のところに?」

 

「その通りだ、長門」

「…たしかに私は未だ改二を実装していない、だがまずは練度のほうを気にするべきではないか?私たちはまだしも、軽巡や重巡に多い新参の艦娘達は練度も低いだろうし、せっかく強力な武装を与えても使いこなせずに倒れるのでは意味がない」

 

「それはそうなんだけど

長門改二って、圧倒的な気迫というか、勝利感があるし…戦場を席巻する絶対強者としての戦いを見せてくれるというかさ」

「…子供達が安心して戦えるように、雰囲気で上位に立てと?なるほど

たしかにそれは子供達(小型艦)の底上げよりも早いかもしらん」

 

全力を出せずに倒れるなんて事がないように、圧倒的な戦力を見せつけてくれれば

姫級六体の絶望感も少しは薄れるだろう、そうなれば雰囲気に呑まれて萎縮する、なんて事もなくなるだろう

 

あわよくばそのまま

撃破でもしてくれれば最高だ

 

一体でも減れば連携も薄れるだろうし

弾幕密度や制空値、

弾着観測射撃などにも影響してくる

 

北上、大井のハイパーズによるフィニッシュ魚雷の精度を上げるためにも

戦場の混乱を少しは鎮めてくれるとありがたい

 

という狙いを込めての

長門改二願いなのだが、

 

「…私は未だ、切っ掛けを掴めていないのだと思う、それが戦場にしか無いとも

闘いながら得る、目覚めこそが

改二への階になるのだろう

 

残念ながら、今更演習などしている余裕もなし、私の早急な改二実装は望めないだろう」

 

「そうか…まぁ仕方ないな」

本人が出来そうもないというのなら

まぁ、諦めるしかないだろう

 

「無論さっぱりできないと切り捨てるわけではないぞ?あくまでも『なんらかの目覚め』を得られるように努力はする、ただそれが

日常の中で得られるとは思えないだけだ」

「それは俺もわかるんだけどさ…」

 

仕方ない、出撃予定と艦娘達の練度引き上げを急ぐが…

 

「というわけで、お邪魔してすまなかったな、無理に急かすつもりは無いんだ

そんなものでは掴める可能性だって焦って見失ってしまうからね」

 

最後に一言だけ残して

軽く頭を下げてから去る、

本来目下の艦娘に対して頭を下げるのは良く無いのだが、今回は事態が事態

『改二』という目標に対して邁進している長門に、それを助長しかねない言葉をかけてしまったのである、角を矯めて牛を殺すとも言うし

長門には謝意を示して置いた

 

「さて、次は…」

「僕のところですか?」

 

「もちろんさ」

「…全く!少しは悪びれるくらいしてください」

 

里見君の元に行こうとしたのだが

いつも彼がいる医務室を目指す前に彼の方からこっちに来ていたようで、

廊下で出くわした

 

「侵食率のことを、ビスマルクに話したな?」

「何のことですか?ビスマルクが自分で気づいたのでは?このままでは提督が危ないと」

「俺が危ない?そんな事は百も承知だよ、その上で戦っているんだ」

 

「以前も言った筈ですよね?

艦娘のことを考えろと」

「考えた上での話だと答えた筈だが?」

 

ビシビシと互いの意見がぶつかり合い、イメージ上では火花すら散り始める

 

「では提督が居なくなったショックで艦娘は全員戦闘不能、全員轟沈しても良いと?」

「んなわけ無いだろ

まずそれは前提がおかしい、

大井とかは俺が死んだら喜ぶ筈だぞ

それに長門や大和の先は俺より的確だから戦力が落ちる事もないだろう」

 

「これが現実ですよ、神巫提督…それに貴方は『提督』なんですよ?前線に出るような真似は謹んでいただきたい」

「いちいち謹んでいたら前線が回らんだろうが」

 

「そのための戦力が艦娘だと言ってるんですよ、貴方の戦い方は自分をすり減らしている、それは艦娘の戦闘領域まで侵食して、それを奪っているんです

 

わかりますか?貴方は根源的に、艦娘を信用していないんですよ」

「なん…だと…?」

 

「提督は艦娘との精神的な距離が近すぎる、それでは必要な最低限の犠牲を容認できない、作戦上必要な捨て石を捨てられない、わかりますか?」

「捨て石など使えるか!非人道的な作戦に頼る気は無い!」

 

激昂する俺に対して笑った里見君は

新たな一言を紡いだ

 

「では、思考実験としましょう

まず……貴方の右側の道に大和、左側の道に白露がいます、二人とも大破している、このままでは轟沈も時間の問題です

この状況で貴方が助けられるのはどちらか一人、どうしますか?」

「大和を助けに行って主砲を借りて弾着観測で白露の方を援護射撃するな」

 

「な、なんとも合理的ですね…

ではどちらも丸腰だったら?」

「その時は大和に撫子を投げ渡して白露の方に向かうさ、大和の刀捌きは凄いぞ?なにせ使い手のはずの俺より遥かに使いこなしている

多分飛んできたテニスボールだって斬れるぞ、砲弾だって斬れるんだからな」

 

「なんと…これでは問題が成立しない」

 

呆れたようにつぶやく里見君を笑いながら見ていると、里見君は問題を変えてきた

「ではこうしましょう、電と雷が全く異なる地点で触雷しました、貴方も遠い地点にいるので、触手に絡みつかれて轟沈するまでに間に合わせるにはどちらかを切り捨てて片方を助けるしかありません、さて、どちらを助けますか?」

 

「…その問題は不成立だな」

「なぜ?」

 

「俺は常にその二人を同じ艦隊に編成しているからだ、全く別の地点において

同時に触雷などあり得ない」

 

「嵐で逸れたことにしてください」

「同艦隊の艦娘に二人の地点を伝えて近い方に救助に行かせる」

「深海棲艦に足止めされています」

「輝那TXでヘッドショット、これなら2秒で終わる」

「その二秒間で二人とも沈んでしまいました」

 

「ちょっと強引すぎないか?」

「…いささか強引な点は認めましょう」

 

「じゃあやり直そうか…よし、艦隊の中には誰がいる?」

「……(適当に…)雷、電、時雨、初春、天龍、龍田です」

 

「天龍の改二で戦場の視界を潰し、同時に時雨が改二で突撃、改二使用者二人のゴリ押しで敵艦隊を押し、初春と龍田が近い方のどちらかを救助、俺がもう片方を救助」

「もうなんなんですかねぇ…敵艦隊は戦艦レ級エリート三体、空母ヲ級後期型二体、重巡リ級フラグシップです」

 

「じゃあヲ級片方狙ってNX狙撃、失敗しても成功しても艦隊全員は退避して龍田と初春が二人を救助に、時雨と天龍は俺と一緒に戦ってもらう」

「足止めの艦隊を逆に足止めするとは一体…」

 

「足止めに決戦級の戦力持ってくんな!」

 

そのあと結局

どんな状況になっても必ず艦娘を助けるマジカル提督呼ばわりされるまで問答は続いた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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