戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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ブリリアントカット

「ダメージは今ので消えた

…殺すわ」

 

「ギガァァッ!」

「残念」

 

そっと呟く、そして

 

龍田さんに飛びかかったイ級が空中で爆死した

何が起こったのか

私には、分からなかった

 

きっとイ級自身にも

理解できなかったのだろう

 

真相はこう…龍田さんが一瞬のうちに薙刀でコアを破壊して、主砲を叩き込んだ

 

………私でもできない

高速戦艦とは言われても、基本的には『戦艦としての水準では高速』であって

某駆逐艦のような速度自慢相手に競り勝てるかというと…正直に言えば負けると思う

 

「死ネ!ポンコツ!」

「旧式ニ用ハ無インダヨ!」

 

たしかに私は古い、実艦としても数年以上戦っていたし、艦隊に艦娘として所属してからもかなり長い、新しいもの(若い子)には私より性能の高い子達ばかりが並んでいるだろう

 

「でも…それは沈むかどうかに影響しまセン!私は…私は勝って

提督に勝利を、私の(love)を…届けて見せマース!」

 

改ニの性能向上に任せて無理に動かしていた主砲が軋み、同時に轟音が響く

 

発砲はあと何度できる?

あと何度回避できる?

私の体は、あとどれだけ保つ?

 

それら全ての疑問を無視して

迫ってくる限界から目を背けて

それでも戦い続ける

 

たとえ血を吐いて倒れても

提督のため、その一言で

 

「私達は…無限に強くなるのデース!」

 

身体が軽い、

(生命)を捨てているからか

死を覚悟しているからかはわからないけど、走る足は止まらない

 

提督のために、この一言が私を突き動かす、私たちの艦隊は全員

提督のためにこの身命を捧げる覚悟を決めている

 

私は轟沈も経験したことがあるけれど…その時のような恐怖はない。死にに行っているような戦力差であっても、私たちはたしかに勝利のために戦っているからだ

 

そう、思った瞬間

私自身の中に光が満ちる

戦闘エリアの境界のような非物理的な光でありながら、私には明確に

その光が見えている

 

そう、それは可能性の光

私の光、私のありえた可能性

 

「金剛改ニ…丙!」

 

極めて数少ない特殊な改造形態を持つ艦娘は、特殊な段階を踏んだ改造や

『出世魚』と俗称される多段階的な艦種や名称の変更を行う場合がある

私に本来その性能はないはずで

 

改ニが限界のはずだった

 

それでも、私にはいま

『改ニ丙』が発現した

 

きっとこれは提督が、

私に見せてくれた力

 

「それなら私は、古い限界を超えてみせます!…提督!

 

New Kongo classのFire powerを見るデース!」

 

抱えていた試製51センチ単装砲は旧艤装とともに消滅、私が疲労なく使える35.6センチ連装砲改が両手に出現した

 


 

 

「提督、日本から連絡が来たというのは本当かい?」

「…そうだ」

「ならばなぜ、私に教えてくれなかったんだい?」

 

「戦力は貴重だ、安易に送り出すわけにはいかない、なにより戦場は遠すぎる

ここから駆逐艦一隻ニ隻を送った程度でどうにもなるようか戦場なら向こうの戦力でどうにかできる、そもそも君たちが行ったら我々の防備が」

 

「それが本音か、底が読めたよ提督…いや、私は行かなきゃならない、

そんな気がするんだ…頼む、行かせてくれないか?」

 

「しかし駆逐艦一隻では道中の自衛も怪しいだろう、それで道中で轟沈などあっては」

「なら、私が行こう」

 

提督、と呼ばれた中年の男に

厳しい声音がぶつけられる

 

「私は戦艦だぞ?道中がどうこうなど言わせはしない、それとも

私は信用できないのか?」

 

「ぐっ…そう言われると困る…

しかし、君は例の件には関係ないだろう、お門違いな君が出るなんて容認できない」

 

反撃の糸口を掴むやいなや

一旦攻勢に出た男は、

袈裟に掛かって強引にまくし立てるが

 

「残念ながらそれは容認されるぞ木場氏、ソイツは俺の艦娘だからな」

「な!指揮系統の一本化とやらはどこに行ったと言うんですか!

安易な艦隊運用への干渉は人員の混乱を招くからこそ自分は提督としての業務は止めると!自分から言ったじゃないですか!大佐!」

 

「それとこれは話が違う

独自裁量権を使わせてもらう

アイツにはちょっとした約束もあるんだ」

 

サッと出て行った技師装の男に

文句をブツブツ言っている提督を無視して、少女と女性は執務室を出て行った

 


 

「…提督、見てマシタ?」

 

〈あぁ、見せてもらったよ、金剛〉

 

龍田、大井も土壇場で見せてくれた改ニ、そして金剛は改二をも超えた改ニ丙の発現

まさしく奇跡である

 

「バカニスルナヨ…?」

 

感動の会話を、

底冷えのする声が遮った

 

「私ハ沈メド深海ハ堕チズ!

キット仇ハ姫ガ晴ラスダロウ!」

 

叫ぶタ級の艤装はすでに剥落し

限界を迎えていたというのに

それでもなお、タ級は止まらず

震える主砲を無理矢理に金剛に向けて

 

「バカハ死ンデイロ」

後ろから撃たれて爆沈した

 

「…!」

 

 

「…ハァ…面白イ作戦ガアルトカ言ウカラ聞イテミレバコレカ?聞クダケ無駄ダッタナ」

 

「戦艦…棲姫…!」

 

その後方にいたのは

戦艦棲姫

 

強力な装甲と火力を併せ持つ、まさに『戦艦』の性能を体現した敵

 

「…………を、……から……た?」

「ハ?何ヲ言ッテイル?」

 

「なぜ味方を、後ろから撃った?」

 

「当然ダロウ、アイツハ沈ムベキダッタ、ソレダケダ」

 

戦艦棲姫が傲岸に言い放つ

その一言は、

私達全員の逆鱗に触れた

 

「どいつもこいつも…」

 

「ドウシタ?カカッテハ来ナイノカ?」

「お望み通りに…」

 

「沈めて差し上げます」

 

精鋭兵として前線に出ている龍田と私は戦艦棲姫に攻撃を集中、前線の影響で押し込まれてくる対空には全力で翔鶴が対応する

 

ちょっと地点変更は無理そうデース…

 

「sorry空母棲姫、そっちはそっちで頑張って下サイ」

 

地点戊の方に無線を飛ばして

一言謝ったあと、

 

私は新たな改ニの力を存分に生かして砲戦を開始した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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