「…ビスマルク、帰還したわ」
「おかえりなさい」
蒼龍と五十鈴、漣、木曾に迎えられて
海域に復帰するビスマルク
そしてそのまま無慈悲な砲撃
潜水棲姫には当たらなかったものの
それは凄まじい衝撃を伴い
爆発した水面から弾けた飛沫に紛れた突進で、ビスマルク自身が戦艦ル級に急接近
そのまま至近距離砲撃で爆沈せしめた
「…よし」
その目に迷いはなく、
その足取りに揺らぎはない
「行くわよ、みんな」
《応!》
決意は固い
「主砲!一斉射!撃てっ!」
「ナメルナ!」「応戦スル!」
駆逐や軽巡が主体となる水雷戦隊の構造上、昼戦における火力という一面においては重量級の艦には劣るのは事実である
しかし、それを傘にして
手を抜いていたのもまた事実
ビスマルクという決戦級の砲撃能力を持つ艦の出現に際して慌てて
攻撃姿勢を整える深海棲艦達は
完全にその機を逸していた
「ガァァァッ!」
応戦を選んだ棲艦達は次々に重傷を負い、大破が相次いだ
しかし、その程度で力尽きる
生易しい連中ではない
「…マダマダ…」
「我々ハ…終ワラナイ…」
「チッ…面倒ナ」
「これはまた…長々とした戦いになりそうね…」
「ビスマルクさん、弾薬は十分ですか?」
「え、えぇさっき補充したわ」
五十鈴達はビスマルクを迎えて戦意を高揚させているが、それでも火力は不足気味
しかし、このタイミングを潜水棲姫の撃滅を機と見ているのか、五十鈴は対潜の注意を切らしていない
「…やれる?」
「やります、絶対に」
ビスマルクの問いに、強い語調で答える五十鈴、その目は確かに自信という
輝きを放っていた
「よし、潜水棲姫は五十鈴に任せるわ」
「了解」
「木曾達は火力を集中、根本的に火力が足りないんだから、分散より集中よ
一体ずつ、確実に沈めなさい」
《了解》
「…いいわねみんな、戦闘再開!」
《了解!》
「オシャベリハ終ワッタ?」
潜水棲姫の魚雷を五十鈴の警告で回避する
「よし!行けます行けます!」
回避動作と同時に艦載機を上げた蒼龍の言葉は全員の総意でもあった
「第二次攻撃隊!発艦!」
「撃チ落トセ!」
突如始まった全力の攻撃に
慌てて対処を始める敵艦達を嘲笑うように、蒼龍の爆撃機隊が空を駆ける
「…シズメェェっ!」
「このっ!」
漣と軽巡が撃ち合い
互いに動きが止まった瞬間
互いに攻撃が集中、
「…うっっくぅ〜いたたた……」
中破の漣も大きく性能が低下したため、ビスマルクが撤退の判断を下した
「早く行きなさい、場所は私たちが保たせるから」
「了解しました!」
「維持する努力はするが…そろそろ弾が限界だぞ!」
「じゃあ木曾は漣から弾もらって!」
「んな無茶言うなよ!」
洋上補給できるような設備もなしに、そもそも戦闘中に補給など望むべくもない
そんな無茶振りを言われても困ろうと言うところだが、漣にとっては違った
「木曾さん!パースっ!」
「なにぃ?!うぉっ!」
一瞬だけ主機を完全停止させた漣が一瞬で背部艤装に搭載された弾薬を抜き取り
主砲の数発分だけを残して残りの薬莢を投げたのである
「おまえなぁっ!危ないだろうが!」
これには流石に木曾も抗議するが
「大丈夫ですよ!木曾さんなら受け止めてくれるって、信じてましたから!」
笑顔で返されてしまった
「それじゃあ撤退します!」
「サセルカッ!此処デ沈メェ!」
鎮守府へ向かう漣の退路に、強引に割り込んできた軽巡が主砲を抜き
漣へと突きつけ
「まっずっ!」「ヤベぇっ!」
「私に今できることは…ないのよ」
艤装が完全破壊され、もう海に出られない不完全な艦娘になってしまった私には
この戦場でできることなんてない
そう思って、塞ぎ込んでいた
その時だった
「暁ちゃん、担ぎ込まれてきた
不知火からの伝言がある」
里見さんが、私の元を訪れてきた
「暁ちゃん、よく聞いてくれ
不知火は装甲破損による身体損傷で現在戦闘不能、艤装は無事だが、本人が戦えない」
「…どうしろってのよ」
「『私の艤装を、使ってください』
こう言われたよ、しかし僕はそれに反対だ、規格が違いすぎる艤装を無理に使うなんて、それこそ危険すぎる」
里見さんはどこまでも冷徹に、正確に、現状を見据える目をしていて、
反対に私は、何も見ていないと
責め立てられるようだった
「そんなの!どうしようもないじゃない!」
「そうだね、どうしようもないとも」
否定して欲しかった、
君ならできると言って欲しかった
それでも、里見さんからの答えはやはり肯定、正確にすぎる目は、現状に嘘を許さなかった
「…どうしようもない…」
「里見さん、それは言い過ぎですよ」
そこに、一筋の光明が差した
割り込んできたのは、時津風
「わたしは艦娘としての艤装をもうつけられない足になってしまいましたけど
それでも戦える力はあります
暁ちゃんが艤装完全破壊状態でも改二を維持しているのなら、それだけでも
希望はあるはずです!」
「…しかし、僕は医務を請け負う職にある以上」「では、暁ちゃんはいま
どうしたいですか?
全てを忘れて目を閉ざして、部屋に引きこもって勝利を祈りますか?それとも
激痛と取り返しのつかない損壊を代償にして、最後の一度、出撃しますか?」
「…っ!」
「その言い方は卑怯だぞ!」
時津風の言葉には
明確な意思が感じられた
そして、規格の合わない艤装の強引な使用、それが私の体を致命的に壊すこともわかった
それでも、私は…
「暁ちゃん!考え直すんだ!
危険どころの話じゃない!
適合率の低い艤装を無理やりに使うなんて自殺行為だ!」
「やります、不知火ちゃんの艤装
私が使ってみせます!」
「…!……」
「暁ちゃん、これを」
時津風から渡されたのは
艤装の
「それは不知火の艤装のイグニッションキーです、これなら暁ちゃんでも
艤装を起動できます」
「…っ!暁ちゃん!やめるんだ!」
「やめない!私はやめない!
だって私は!何もできないのは嫌だから!」
その言葉だけを残して、私は走り出した
「暁!不知火装備!出撃するわ!」
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