「那珂!何故分カラないノ!?」
「分カラナイヨ、提督ナンテ要ラナイ!提督ナンテ!ミンナ死ンジャエバ良イノヨ!」
「那珂!」
「ヤメナイヨ、神通!」
初めは穏やかに、話し合いから始まっていた、はずだった…のだが、気づけばこれだ
「…良い提督ダッテ居ルのよ」
「提督ナンテミンナ同ジヨ…ドウセミンナ嘘ツキノ屑デ!ミンナ欲シイノハ身体ト名誉ダケ!」
「提督はソンナ人では無かッタ
確かに私も疑イマシタ、デモ後に、ソレハ確実に違ウトワカッタ」
「ソウヤッテ巧ニ自分ノ本性ヲ隠シテ、機ヲ待ッテイル!イツカ裏切ッテ
艦娘ニ攻撃サセルンダ!」
「ソンナ事を提督ガする訳」
「ソウヤッテ騙サレテ泣イタ事ガ何回モアッタ!チョットハ学ンデヨ!」
「…学んではイルわ、それでソノ上で、騙サレテでも良いと判断シタノ
私ハ、あの提督ニナラ騙されてイテモ構わない、手を出シテクル可能性ハ無イシ
無理に解体スルヨウナ真似も、今まで一度も見られない
それなら、十分に信じラレルワ」
「…ソウ…今度ハ…神通チャンガ裏切ルンダ…」
暗い煙のようなオーラが
那珂の装甲から滲み始めて
空中へと漂う
「ソウヤッテ…マタ私ハ…裏切ラレル…モウ…誰モ信ジラレナイ…ミンナ…死ンジャエ!」
「那珂っ!?」
その言葉は、深海棲艦共通の濁ったフィルター越しの声ではなく
それよりももっと歪んだ
気色の良くない代物だった
「ミンナ…殺セバ…誰モ私ヲ…裏切…ラナイ…誰モ離レテ 行カナイ
ソウダヨ…ソウスレバ良カッタ
最初カラ!」
「那珂…馬鹿ナ真似ヲ…」
那珂は精神の手綱を手放して
力を強制的に解放、艤装の力を強引に目覚めさせた
身体を半ば艤装に喰われた那珂は、肉に食い込んで来ている歯の痛みを無視しているかのような無表情で立ち上がる
そう、今の那珂は
艤装に暴走させられている
深海棲艦にも、改二相当のフラグシップという状態が存在する
改二相当ということはつまり
暴走の危険性があるということ
それは姫級には存在しないものだけど、鬼級には未確認であり、そして
それが今、確認された
-軽巡棲鬼flagship-
那珂・暴走形態
「…那珂…そんな…」
「妹サンなの!?今のガ!」
遥か遠くから聞こえる空母棲姫の声に、私自身も多きく声を張って応じた
「その通りです!アレは私ノ妹ノ那珂!軽巡棲鬼が暴走しました!」
「そう…援護は必要?」
「…不要です、アレは私が…沈めます」
寄ってきた空母棲鬼は
その一言を聞くと、ゆっくりと再度反転して
「そう、なら、早くしなさいな
あの子があの子でいるうちに
…獣に堕ちてしまう前に」
呟くような言葉を残した
「………はい」
一言だけ応じて、私は砲を構えて
同時に吹き飛ばされる
水面から引き剥がされるほどの速度で突撃された、そう気づくより早く
反撃の砲撃を繰り出して
その砲が弾を吐き出すより前に爆発したことで中断される
「…死ネ…裏切リ者ォ!」
「そう…裏切リ者…ね、深海を捨てて、艦娘に寝返った深海棲艦
そう罵ラレてもオカシクはナイわ」
恨みと憎しみが作り出す弾の雨を
ただひたすらに回避、回避、回避
海面を走り抜ける神通の、その挙動はまさに神速
「アタラナイ…!」
「那珂…目を覚ましナサイ」
声は虚しく、空へ散って
互いの間に流れる殺気は何ら変わることもなく
「デモ!殺シテヤルッ!」
「…クッ……」
海面を爆発させる一撃は
確かに神通の速度を奪い
同時に隙を作って
「甘い」
カウンターの一撃が叩き込まれた
「ガァァァッ!」
「吠えるナ!」
那珂…いや、軽巡棲鬼flag shipに叩き込まれる連撃は装甲の表面を砕くにとどまり
中身の那珂にダメージを与えられていない
しかしそれでも
誰にとって無価値でも、軽巡棲姫にとってだけは、それは続ける価値はある
攻撃だった
「那珂!自分の力に呑まレテハイケない!」
「ガァァ…死ネェェエ!」
絶叫は変わらない
それを誰があげるか、それだけの違いだ
那珂の元に集った力は
未だに攻撃を躊躇する神通を許すほど甘くは無かった
何の予備動作もなく
ただ、空中に浮いていた砲が神通へと砲撃、予測などできるわけもなく
暴走形態の攻撃力に耐えられるわけでもなく、那珂の攻撃であっさりと
神通は大破してしまう
「コレが…暴走の力…」
「シネシネシネシネシネシネシネシネ」
何かに…いや、艤装に取り憑かれた那珂は、もはや理解不可能な何事かを呟きながら、さらに増した速度と威力で攻撃を繰り返してくる
醜い艤装はもう体の大半を覆い
その体を蝕んでいる
那珂が那珂に戻れなくなってしまうその前に、決着をつけなくてはならない
「…お願い…提督…私ニ
力を貸して!」
たとえ姫級であっても
もはや神通一人では倒せないその怪物を倒すために、神通は願う
その言葉に
「提督じゃなくて悪かったな」
レ級と速吸、そして空母棲姫と
赤い腕章をつけた明石が応じた
「皆…」
「さぁ、アイツの目ヲ覚まサセるんだろ?手伝っテヤルよ」「…全く…頑固なノハ悪いと言い切る訳ジャないケド、此処マデトハね」
深海の二人が先に答えて
戦闘に突入して
「さぁ、艤装の修理と補給、済ませちゃいましょうか!」
「補給は任せてください!」
艦娘の二人が艤装の修理を開始する
「大丈夫ですか?軽巡棲姫さん」
腕章をつけた明石が話しかけてくる
「私、ソロルで拾われた
さぁ、艤装直しちゃいますから
チョット待っててくださいね」
「ソンナ手早く済む筈ガ」
「大丈夫です…私、
微笑みと共に、明石の取り出したレンチが空を舞った
たいへんだけーどー
600話記念番外編は
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……