戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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我ながら複雑な書き方してる気がするけど
これ、時系列説明とか要りますかね…


地点己

「姉さんには真正面からじゃ勝てない、それは分かりきっている、だから」

 

「私の方に引きずり込んだ」

「気は進まないけど、手伝ってあげるわ」

 

俺の魂界、モノクロの世界に川内と神巫羽美(姉さん)が現れる

 

「コレガ秘策ネ…蒼羅!」

「その通りだよ、深海棲艦でも、艦娘でもない俺が、深海棲艦の姫である空母棲姫(姉さん)に勝つには、これしかないと思ってね」

 

今度は俺が笑う番だった

 

「俺の最大の秘策に、かかってくれてありがとう、姉さん」

 

「バカニシテ!」

「おっと危ない」

 

バチン、と指を鳴らす

その瞬間、空母棲姫の艤装から出現した艦載機が消滅した

 

「この空間は俺の世界、俺の自由になるんだ…んで、悪いけど今、艦載機およびそれに纏わる物の使用を禁止した」

 

そう、魂の中でだけ通用する自分ルール、魂の中ではそれこそが現実

絶対の法則として成立したそれを

相手に押し付けることができる

 

「…勝たせてもらう」

「…ハァ…イツマデタッテモ、変ワラナイワネ…イイワ、相手ヲシテアゲル」

 

空母棲姫が取り出したのは

短刀か

「コレダケデ十分ヨ」

「そうかい!?」

 

刃の付いたナイフを形成して、投擲

同時に跳躍して壁を形成、

それを足場に再跳躍して急接近

 

人外の機動だが、

気にしていては仕方がない

 

「ぜやぁぁっ!」

空中から大和撫子で切り掛かり

大上段から幹竹割を繰り出す

 

「パワー不足ネ」

 

片手で受け止められるが

同時に飛び退がって着地した俺は、刀を振って軌跡を描き、その()()()()()()()

 

「ファンタスティック」

「アンタが言うな」

 

同じように斬撃の軌跡を描いてガードしてみせた空母棲姫が微笑うが

特級の皮肉にしか聞こえない

 

「飛閃!」

「早速技名カシラ?」

 

「適当に今!考えた!」

 

複数の斬撃『飛閃』を飛ばして

牽制するが、空母棲姫は

手持ちの短刀を分裂させて飛ばしてくる

 

「『影裏剣』」

 

「姉さんも技考えてるじゃないか!」

「昔取ッタ杵柄ヨ…チョット恥ズカシイワ…」

 

恐らくは影と手裏剣、それから『鋭利』に絡めて無理やり付けた名前なのだろう

姉さんは恥ずかしそうだが

俺としてはいいネーミングだと思う、少なくとも飛閃より遥かに良い

 

「艦載機ハ使エナクテモ、短刀ハ使エルノネ」

「チッ!」

 

早くも気づかれた

やっぱり頭の回りが早い!

 

「ルールノ制定コソ出来テモ

穴ガナイ訳ジャナイ」

「それはどうかな?」

 

体を光に変えて瞬間移動

背後を取り…一閃

 

を艤装で弾かれる

 

「ナンデソンナニ慣レテイルノカハ気二ナルケド、聞カナイデ置クワ」

「教えもしないよ!!」

 

もう目が追いついているらしい

 

「捕マエタ」「まだだよ」

 

大きく跳躍して砲撃から逃れつつ

冷静に艤装のコアを探す

 

「何が姉さんを操っているんだ…」

 


 

私は今、蒼羅の魂の中で

蒼羅と向き合っている

 

なにかと細かい動き方で幻惑して

確実に砲撃を躱していく上に、実に的確な対策として、根本的に艦載機を封じてきた

 

私の真価を出させずに封殺するために考えてきた策なのだろう

 

「可愛イナァ…」

 

聞こえないように呟いつつ

過熱する攻撃本能を抑えて

 

ある程度避けられるレベルに控えておく、そしてゆっくりと軌道を誘導して

止めの一撃を狙う

 

そう、あの子は優しすぎる

本来なら私に届くはずの一撃も

ほとんどは狙いが甘く、たやすく回避できる

 

戦いに向いた性格なんてとても言えない、優しい子

 

「蒼羅ガ戦ウナンテ間違ッテル…戦イカラ解放シテアゲナイト…」

 

動けなくすれば、戦いに駆り出されることもなくなるだろう…少し不自由を強いることにはなるけど、それは私が介護してあげれば良いだけの話

 

「待ッテテネ…蒼羅」

 


 

「見つけた!」

 

姉さんの艤装はすでに姫級とすら認識ができないほどの変異を果たした異常な変異個体と化しており、それは姉さんの全身を蝕んでいる

その中でも一際強く輝く

左側頭部をコアと見て

 

俺は大きく跳躍する

 

「姉さんを…離せ!」

「何ヲ言ッテイルノカシラ?」

 

加速に追いついてきた姉さんは、その速度のまま俺を蹴り飛ばし…胴体が粉砕されて消滅した俺の幻像に目を奪われた隙を突いて

その背後へと移動して

 

「このまま艤装コアを!」

「分解ハ死二直結スルワネ」

「…なん、だと…?」

 

装甲に接触した瞬間、

その言葉で止められる

 

「聞イテ、イナイノ?私ハ加賀ノ過剰適合者(オーバーアダプター)ダモノ、分解ヤ解体ハ死二直結スル…私ヲ殺スノ?蒼羅」

 

「…………」

[やりなさい、蒼羅]

[姉さん!でも][貴方が殺されるより、私が死んだほうがいい、お姉ちゃんっていうのはそういうものよ]

 

「ヤメテ蒼羅!殺サナイデ!」

 

その言葉は奇妙に重なり

同じ声が違う主張を始める

 

「私ハ死ニタクナイノ!]

[私を殺しなさい蒼羅!]

 

「くそぉっ!」

 

俺の刀はその首の真横を貫き通し

「ヤッパリ貴方ハ優シスギルワ…」

その声はあまりにも致命的に響いた

 

[蒼羅!][提督っ!]

声とともに放たれた一閃は

俺の腹を貫き、同時に

 

姉さんの艤装コアを貫いていた

「エ……」

[蒼羅にできなくても…私は出来る]

 

そう、空母棲姫の艤装を

実体化した羽美が破壊したのだった

 

「コレデ…貴女モ死ヌノヨ…?

死ヌノガ怖クナイノ?」

「蒼羅が傷つくのを容認するほうがずっと怖いわ、ごめんね蒼羅、ダメなお姉ちゃんで」

 

その一言と共に

川内が叫ぶ

「羽美さん!」

 

ピシ…パキ…

コアに生じたひび割れは

徐々に広がってゆく

 

「…ア…ァア……私ガ…消エル…」

「そうね、『加賀』ここで終わりよ

貴女も、私も」

 

ヒビは止まることなく広がり

そしてついに

 

「蒼羅…愛シテルワ…」

 

深海棲艦 空母棲姫は

その呪いを解き、ついに

その身を消滅させた

 

「姉さん!」

 

二人は光になって消え

同時に、その力で維持されていた世界が崩壊する

 

明転

 

「提督!…提督!」

「っ!」

 

世界が崩壊して、戻ってきたのは

やはり海辺

鎮守府の裏側、艦娘たちを見送っていた出撃ドックにほど近い岸であった

 

[提督、元気出してよ!]

「これで元気出せるはずないだろ」

 

姉さんの消滅を

この目で見たというのに

今更気力など出ない

再開を求め続けた人物が

目の前で死んだというのに

 

「何しろってんだよ…」

 

[現実を見なさい提督!]

[クソッ!失意に浸らせてもくれないのかよ!」

 

反転

 

陸奥に反抗しながら

現実側の視界に戻り

そこにいた深海棲艦を射殺する

 

「まだ終わっていない…まだ

 

殺すべき奴等が、いる」

 

失意は憎悪に変わり

ただそれだけを燃やして

俺は走り始めた




カッタトオモッテイルノカ?

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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