戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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地点乙

大和艦隊の内、春雨と時雨が鎮守府へ撤退、支援に来るはずの駆逐艦二隻も敵の数が多すぎて行方知れず、大和、天龍とゴーヤ、初春は現在も戦闘継続中

 

なのだが、そもそも消費燃料が厳しい天龍はそろそろガス欠が心配になってくる頃合いであり…同時に、初春の戦闘継続限界が近づいてくる頃でもある

 

「キヒヒ…」

 

「ヤレルゾ…グペッ!」

 

異様な数の敵に取り囲まれた天龍と初春はゴーヤを先に逃して戦闘を継続していたのだが

 

「もう弾が切れるぞ!」

「オレもガス欠だな…チッ…」

 

いよいよ弾も燃料の残量も心許なくなってきたというところで、舌打ちを一つ繰り出した天龍は

信号弾を打ち上げて、遠隔の大和たちに伝える…内容は『我、任務継続困難也、これより撤退する』

 

古めかしい話だが

天龍は信号弾による通信法を完全に習得している

 

電波通信が主流として用いられている環境において実際には実用性の低い技能として

あまり習得されることのない信号弾通信だが、古き艦娘たちは全員習得している

とはいえ、現代はやはり電波通信の時代、艦娘とて通信機程度は標準装備している

 

習得している人員を具体的に言えば艦魂の陸奥や過剰適合の天龍、最初期の艦娘として戦ってきた鳳翔さん、基礎技能として一応座学で学ぶ初期艦の吹雪、電達5人

 

…そう、提督の魂中の陸奥も含めて鎮守府にたったの8人だけである、その習得率の低さが知名度や有用性の低さを物語っていると言えるだろう

 

だが、現場にいたのは大和と吹雪+白露の二人、大和には信号弾の彩光から位置情報が、吹雪にはその意図までが伝わる

 

あとはもうお分かりだろう

 

「支援に向かいます!」

「了解っ!」

 

「近いですね…天龍さん?」

 

深海棲艦達はジャミングで通信機を封じ、それが万全の通信妨害として完成したと思い込んでしまった、それが問題だった

 

もともと古き艦娘たちしか知らないような通信方法なので、深海にそれをも妨害するという発想が出てこないのは当然だが、それでも番狂わせである

 

「ナンダト…ッ!」

「発光確認…コレハ信号弾ッ!?」

 

番狂わせは動揺を生み

動揺は陣形の綻びを許し

 

そして、できた綻びを強引に突破できる奴が、一人だけそこにいた

 

「そこをどきなさい!」

 

大和の火力は昼戦における最高峰

そのパワーに晒されれば

もとが雑魚の集団である深海棲艦達などひとたまりもない

 

「グガァァァァッ!」

「ウギャァァ」

 

「助ケテ…ァァァァ…」

「ヤメテェ…死ニタクナイノォ…」

「ウガァァッ!」

 

ただ屯するだけの深海棲艦達は

尽く爆散し、撃沈していく

悲鳴だけは海域中に鳴り渡るが、やはりそれが何を成すこともなく、ただ薄れて消えてゆくだけだった

 

「やっと見つけました!」

「うぉっ!?…なんだ大和か…どうした?」

「どうしたもこうしたもありませんよ、さっきの光は天龍さんの位置信号でしょう?」

 

「厳密には信号弾通信だが…

まぁ、分からなくてもいいけどよ」

 

天龍はつまらないと言わんげな表情で呟き、初春はわかっていなかったのか

ゲンナリとした表情になる

 

「もう意味不明な暗号の解読は嫌じゃ…」

 

初春にも色々ありそうだ

 

「…どうにもならない事は諦めろ、お前は信号弾も暗号通信も覚えなさすぎだ」

「嫌じゃぁ……」

 

若干震えている初春に疑念の目を向けた大和に、天龍が告げる

 

「扶桑さんの宿題、暗号の解読書き取りスクロールの5メートル分だとよ

スクロール用紙の紙幅いっぱいにギッチリ詰めて書き込まれた文章を受信したものとして、それの解読版を同じ長さのスクロールに書き写して

かつ、さらにその中に含まれる問題文に対する回答を別紙に記述するんだ

それの信号弾バージョンでも出してもらうことにしよう」

 

「嫌なのじゃ!何故そんなことをせねばならんのじゃ!?」「お前が暗号を覚えないのが悪いんだよ、全部自業自得だっての、自覚しろ」

 

「…えっと…それはまぁ

ご愁傷様としか…」

 

大和も困惑している

当然のことだ、今の今まで

扶桑さんが駆逐艦の勉強を見ているなんて知りもしなかったのだから

 

「まぁ、半分趣味らしいし

前の体制じゃ出来なかったから

勉強ができる環境であるうちにできるだけするのがいちばんの得策ってのは

誰にでもわかることだしなぁ」

 

半分は自分に言い聞かせるように

天龍自身も若干嫌そうな表情をしながら呟く天龍、なんというか

普段や戦闘では格好いい天龍なのに、こう言ったところでだけ急にかわいい天龍に

一瞬困惑する大和

 

「…んぁぁ!この話終わり!

オレは一旦初春と一緒に撤退するから、あとは頼んだぞ!」

「それでは、のちことを頼むぞ」

 

大和が初春と天龍を見送った直後、入れ違いとなるタイミングで勢いよく

艦娘が入ってくる

 

「大和さん!こちら吹雪です!」

「いっちばーん!」

 

後ろのはもはや挨拶とも言えないなにかなのだけれど…と困惑する大和だった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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