戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

351 / 649
地点丁ではないです


地点丙 地点提

ひゃぁっはぁー!

 

…嘘です、飛鷹型航空母艦二番艦、商船改装空母の隼鷹です

 

え?語り口が冷静すぎる?

それはきっと…

私がお酒を抜いているからでしょう

 

「…珍しい事だと思うけど」

 

呟きながら、口調を修正する

提督と違って『私』のことを知らない艦娘たちが、『隼鷹』の一般基準と違う私のことを知ったら、多分一般的な隼鷹と違いすぎて混乱してしまうから

 

「『提督が危ないから、指定地点に来て』なんて、金剛さんの連絡様々ですね全く…」

 

いつものヒャッハーはどこにもない隼鷹改二が、口先だけでヒャッハーしながら

正確に艦載機を操っていく

 

「義によって助太刀するぜ!」

 

叫ぶ言葉は修正済み

こう見えて事務官の適正も高い(隼鷹)になら、この程度のごまかしは簡単な事

 

「第一次攻撃隊!攻撃開始!」

 

「ナメルナ…対空攻撃用意!

水偵隊!全機弾着観測ヲ続行セヨ!」

 

対応しに来た海峡夜棲姫が叫び

水偵隊は撤退を踏みとどまり

再度の攻撃に備え始める

 

「今のうちに水偵を出来るだけ落として!」

 

扶桑さんの叫び声と同時に

ほぼ棒立ちだった赤城さんが走る

 

「隼鷹さん!艦載機は残ってますか?!」

「え?…一応持って来てるのがあるけど」

 

赤城さんに渡した艦載機は流星

一応の武装としては十分すぎる代物だけど、赤城さんが持って来ていたのは

烈風の熟練機

 

全く使用感の違う機体を使っていた直後に万全に使うのは難しい

 

「問題ありません、借りさせてもらいますよ」

 

なはずなのに、

全く躊躇なく流星を持って、艤装に装備登録するや否や一気に発艦させる

 

「私のことなら気にしないでください!私は一航戦、たとえ初めて使う機体でも

万全に扱いこなして見せます」

 

私に肩から上だけで振り返った赤城さんは、そう言って飛ばした流星で

次々に敵機を落としていく

 

その言葉には虚言は無さそうね

 

「でも、それだけじゃあダメ

せっかくの援軍なのに

赤城さんに艦載機渡しただけじゃ()()()()()わ」

 

一言呟くと同時に

烈風隊が急降下突撃戦法

による攻撃を開始した

 

「…ヒャッハー!」

 

開始された攻撃は一糸乱れぬ連携で敵を次々に落としていくが、負けじと

対空砲火を展開した深海棲艦

 

私には見たことのない個体だけど

纏う瘴気からおそらく姫級のそれ

 

に撃墜される

 

「まずいわね…このままじゃ…」

目立たない、ただ出て来てパッと一仕事してそれで終わりじゃ目立たない

 

提督の記憶に残れない

なにより提督の役に立てない

 

それは絶対に嫌

せっかくここまで来たのに

提督との約束のためにお酒をやめて、やっと提督に胸を張れる私になって

ようやくここまで来たのに

 

提督の役に立てないなんて絶対に嫌

 

「やってみせるわ…存分に!」

 

全力攻勢

 

文字通りの全力全開、これが私の全て

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

第1スロット24機、第三スロット20機に搭載された試製烈風後期型と零戦52型が

帰艦もせずに再攻撃を開始

 

さらに私自身の残燃料を消費して私自身も加速して前線に位置を変更

第四スロットに置かれた

12センチ30連装噴進砲が

次々に弾体を発射していく

 

放出された弾体は敵水偵を次々に叩き落として、空中に赤い華を咲かせてゆく

 

最高の飾りね

 

私だって華々しく登場して

バックライトも無しにステージに立つなんて嫌だから

 

「さぁ、盛大にやっちゃおう!」

 

せいぜい私を飾りなさい

あなた達のその死が、提督への手土産になるんだから

 


 

「みんなは大丈夫か…?」

 

走りながらみんなのいる地点をイメージする

 

「大丈夫だ、みんなの居場所は

地点甲、ビスマルク艦隊

地点乙、大和艦隊

地点丙、扶桑艦隊

地点丁、金剛艦隊

地点戊、空母棲鬼艦隊

地点己、長門艦隊

ちゃんと全部覚えている!」

 

頭の中に浮かべたポイントと現在の状況、出撃中の艦娘の情報を総合して

 

「一番やばいのは地点丁!」

 

丁地点は金剛が一人で戊地点も兼ねている関係上人数も足りない上に

出撃している艦娘もガチガチの戦闘型ってわけじゃない、あそこが一番ヤバい!

 

「電!明石!」

 

腕章のない明石と一緒にいた電を引っ張り出して海域地点丁に向かうように指示する

 

「大丈夫だ!ここは俺が引き受ける

俺自身も戦闘に参加する」

「司令官さん?」「提督っ…無茶なことを言い出さないでください!」

 

(無茶でも仕方ないんだよなぁ)

「実際戦力が足りていないんだから、二人に表側に回ってほしいんだよ

こっちに来る深海棲艦には、さすがにもう姫は出てこないから、こっちの方よりも

絶対に海側に回ってもらった方がいい、今一番ヤバいのは地点丁、場所は…覚えてるね?」

 

「はい、一応」

 

明石の言葉に一度頷き

背中を押して二人を送り出す

 

「さぁ行ってくれ!」

 

「了解…しました」「はいなのです」

 

二人を送り出してから

俺は陸側はと目を戻して

 

唐突に輝那を発砲、隠れていたタ級の心臓を撃ち抜く

 

「かぁ…あっ……」

 

「抜かせ馬鹿が、貴様らが心臓一発程度で死ぬわけがない」

 

青い瞳を輝かせながら

もう一度発砲して、今度は隠されていた艤装コアを直撃、爆芯弾で完全破壊する

 

「よし」

 

タ級の体が崩れ落ちて痙攣しているのを横目で見ながらさらに追加で発砲

 

別の個体の脳天を撃ち抜いて

さらに艤装コアを破壊

 

「どうした歯応えがないが」

 

「ぐうぁぁ…」「死ね」

 

まだ生きていたらしい足元のタ級の鎖骨を踏み砕きながら最後に脊髄に一発くれてやる

「まだいるんだろ…出て来い

全員こうしてやる」

 

「話ガ違ウゾ…提督一人デナラ雑魚ナンジャナイノカ!?」

「ドウミテモ一般人ノ領域デハナイ!」

 

「クソ!コイツモ意識ガ高イ!」

「アレホドノ隠形ヲ見破ルトハ」

 

出て来たのは

空母ヲ級・重巡ネ級と戦艦ル級・軽巡ツ級の二組のツーマンセル

正直なところ、負ける気はしない

 

「よし…確認した、抜刀

()()()()()()!」

 

取り出したのは新規設計された大鎌、大和に撫子を使用禁止にされてから

新規に設計、作成した

 

深海の呪詛を前提とした武器

 

nw(ニューウエポン):204 パーシックル SR(ショートレンジ)M(マテリアル)

 

俺が開発した初の可変式装備にして、深海棲艦側からの視点で開発された武装

 

大型の刃持つ首刈鎌

処刑器具にしては上等だろう

 

「さぁ武装テスト…開始だ!」

 

深海棲艦の装甲と同じ色の鋼鉄に形作られた刃、それは無論ながら

深海棲艦の近距離兵装同様に

艦娘や深海棲艦を確実に傷つける力を持ち、それは深海の呪詛で起動する

 

「故に、俺以外には作れないし使えない…特殊武装(スペリオルアームズ)だが」

 

赤い光が刃から迸り

同時に刃が伸びる

 

「充分な傑作だ」

 

一振りで、ネ級とツ級の首が持っていかれる、さすがにそこまでされれば

再生そのものが不可能になる

 

その二人を即死と判断して

残るヲ級とル級を狙い

 

伸長された刃をもう一度払い

 

「フッ!」「ヲ!」

 

流石に二度目は通じなかったか

即座に回避される

 

「壁に刺さっちまったなぁ…」

そう、伸ばした長さが長すぎたのか、鎮守府の建屋の横で使ったのが悪かったのか

壁に刃が突き刺さってしまった

 

「今ダ!」「ヤレ!」

 

ヲ級に直接的な攻撃力はないので、ル級が砲を向けて…発砲

 

装甲展開形態(ガード:バックラー)

 

鎌の側面についていた半円型の板が滑らかに変形して、組み合わさったとき

そこにあったのは

 

円盾(バックラー)?」

「ソンナモノデ防ゲル訳ガアルカ!」

 

防げるんだよなぁそれが

なにせ深海棲艦と同じ装甲材なんだから、盾として使うこともできるに決まっている

 

「さぁ、第三形態だっ!」

 

魂に呼び込まれた深海の呪詛は

俺自身も変異させて、強化する

俺には既に、両手に装甲が顕現し、現状最高位の戦闘形態に変化していた

 

重火形態(ガンフォーム:ブラスト)

 

深海棲艦の呪詛を前提としたこのパーシックル、その刃は敵の呪詛を削り取り

それを己の力へと変える

敵の力を吸収する力がある

 

その奪った呪詛を濃縮し、収束することができれば…強力な呪詛が掛かった

擬似深海棲艦状態の鋼材で形成された弾丸が、相手に向かう

 

呪詛を濃縮し、強化し収束する

 

そしてただ一発の銃弾を以って

全ての敵を沈める火力を放つ

 

それがこの武装、nw:204 パーシックル SRMの設計理念(コンセプト)

 

無論今回はそこまでの呪詛を濃縮していない、結果的に火力がどの程度になるか不明なので、あまり凝縮しすぎるのも危険なのだから

むしろ都合がいいが

 

「FIRE!」

 

放たれたのは巨大なエネルギー弾

凄まじい熱量を伴う火の塊

 

それは徐々に加速しながら二人へと突き進み、直撃して爆発した

 

「充分…かな」

 

爆炎が消えた後、そこには爆発の痕と焼けた煤しか残っていなかった

 

「長門達の方は…大丈夫かな?」

 

そう呟いた俺は

白い手指で額を摩りながら

この体では助けに行けないなぁ

なんて笑っているのだった




提督視点で書きました

…パーシックルについては一応既出です
話数忘れたけど、提督が入院中にぶつくさほざいてますよ

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。