あぁ、これは終わったかな
そんなことを呟きながら
私は後ろにいる清霜を庇うために棒立ちのままで、全身に爆発を受け止めて
無様にも地面に倒れた
「…終わり…損ねたか…」
血を吐きながら呟く、極度のダメージによってか、呼吸すらも大仰に感じる
「…死に損ないとは無様なものだ…」
自嘲気味に呟きながら
それでも
そう、私はただ立ち尽くしたままに沈むのではない、戦場で前に倒れると言うことは
敵と戦い、そして死してなお進む覚悟を見せる死に方だ
もはや砲の一つも動かせない私は
艤装を強制解除して
せめてもの掩蔽がわりに立てる
清霜は小柄だから、扶桑型のように巨大というわけではない私の艤装でも砲撃から身を隠す為には十分だろう、艤装だけとはいえ、相応の強度はある、一二発目なら防いでくれる筈だ
「長門さぁぁぁぁん!」
絶叫が戦場をつんざく
同時に駆け寄ってくる清霜
「清霜…」
「長門さん!!なんで!」
グズグズと泣きながら、せっかく用意した
「馬鹿者…何を…している
早く…逃げろ」
「…………」
私の意図を理解してくれたのか
清霜は俯いて…その頬に涙を光らせる
あぁ、そうか
私は…清霜を、泣かせてしまった
守り切れなかった
だからこんなに、胸が痛いのか
約束を守れなかった…提督
すまない
side change
長門side out
清霜side in
「長門さぁぁぁぁん!」
私は無我夢中で走って
長田さんの投棄した艤装を飛び越えて長門さんを抱える
「清霜…」
「長門さん!!なんで!」
その先は言葉にならなかった
「馬鹿者…何を…している
早く…逃げろ」
囁くようなか細い声、強制解除された艤装
もはや長門さんに、戦える力は
長門型戦艦としての力は残っていない
それどころか艦娘としての最低限の力も、もう残ってはいないだろう
「………」
私が砲撃を受けないように庇われて、私のために傷ついて、私のためだけに
長門さんは今こうして倒れている
その状況は、私自身の心を打ち据えて、強さを渇望する私自身の心は
ガラスのようにヒビを走らせた
「…許さない…」
「…絶対に……お前らを許さない!」
瞳の中に罅が入る
耳に入ってくる音はノイズのようにザァザァと乱れて、もう何も聞こえない、罅から滲み出た血で視界は赤く染まっていく
「沈めてやる…お前らを!」
私の中に広がる
蒼い色の海が、赤く変わった
「っ!」
長門さんを抱える手を離して、その場に長門さんを横たえ、その代わりに手に掴んだのは
「長門さんの…艤装」
私の艤装は駆逐艦、力が足りない
私の艤装はどうしようもなく非力で、『清霜』という限界を超えられない
たしかに私は改二の余地を残している
でもそれではダメ、それだけじゃあ駆逐艦の枠を抜けられない
それはもう、自分だってわかっている
「なら…
制服の背部ジョイントのロックを解除
艤装の装備解除を行い
背についていた『夕雲型十九番艦:清霜』の艤装を解除して、空いたその艤装ジョイントに
「臨時接続…回路強制解放!」
起動したままの艤装を無理やりに接続する
「これが私の覚悟…見せてやる!」
血のような色に染まった世界の中で
緋色の稲妻を輝かせ
長門型の艤装を使用する
「『長門型戦艦 欠番艦:清霜』抜錨!」
強制起動した艤装を無理やりに動かして、
すると同時に左一番砲塔のみに弾薬の
「バカメ!駆逐艦一匹風情ガ!貴様如キニソノ艤装ナゾ不釣リ合イダ!無理ニ戦艦ノ艤装ナンゾヲ抱エ込ンダ所デ起動スラ満足ニハ出来マイ!身ノ程ヲ知レ!」
吠える重巡に
「…黙れ」
主砲、砲門開け
(了解です)
(長門艤装、武装管理妖精であります、これより、清霜嬢の指揮下に入ります)
(照準完了、あの無様なリ級に目に物見せてやりましょう)
長門さんの艤装妖精達の声が聞こえる
やってやる、長門さんの仇討ちだ
(おう!艦隊決戦ですぞ!)
(総員配置につけ!砲撃戦用意!)
(いや…長門は死んでいないのですが…)
抗議は無視して全力を一点に
そう、主砲、第一砲塔にのみ注ぎ
私の貧弱な資材量でも扱えるようにする
無駄なスケールを切り捨てて、
元が小型艦ゆえに戦艦の艤装に対して十分な燃料、弾薬を持たない私にも運用できるようにするための、苦肉の策と言えると思う
「主砲、撃てぇっ!」
爆発、同時に反動で体を飛ばされる
凄まじい衝撃
「ぐぅうっ!」
自分で撃っているのに、自分で弾かれていては型もない
(そもそも体が小さすぎるのです)
(長門さんは十分鍛えてしましたし)
(小柄な子に大口径砲は無理です)
妖精達にも散々に言われてしまう
「いえ…まだ大丈夫です!
今度こそ…っ!主砲再装填、撃てっ!」
強がりと共に、弾薬を再充填して
発射する
今度は直撃、運が良かったのか
騒いでいた重巡リ級は上半身が丸ごとなくなって黙った
(よくやりました)
(流石に気分が高揚します)
(加賀さんの真似はよせ)
妖精は相変わらず好き勝手であるが
戦闘のメドはついた
これで…
「甘イワ!」
そんな声が聞こえた瞬間
私は吹き飛ばされていた
「がぁ…ぅ…なに?」
それは、なんの変哲もない砲撃
慣れ親しんだものを極度に巨大化させたものに過ぎない
相手は、そう、戦艦棲姫
「死ネ、雑魚ガ粋ガルナ」
私へと向けられた砲が光り
私に死を叩きつける
「させんよ」
その瞬間
長門さんとは違う声、
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