戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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地点戊

「…これは私が連れて行きます」

 

暴走形態、flag shipとなった軽巡棲鬼を撃沈して、ドロップしたのは

案の定というか、当然というか那珂

 

そしてその那珂を回収して

鎮守府に連れて行くことを宣言したのは…()()だった

 

「提督のおかげですね…私まで艦娘に戻るなんて、思いもしませんでしたけど」

 

軽巡棲姫の時とは打って変わって、柔和な微笑みを浮かべた神通は、かつて艦娘だった時と同じ形状に戻った艤装に難儀しながら那珂を抱えて

 

「それでは…空母棲鬼、レ級、速吸さん、ここは一旦お願いします」

 

あくまで上品に声をかけて

海面を滑るように駆け

鎮守府の方角へと去っていった

 

「…とは言われても…」

「周リノ雑魚ガ減ッタワケジャナイシ

討伐ジャナクテ殲滅ガ目標ダカラナ」

 

「結局、アノ子ノ一人勝チと言った所カシラ?」

 

空母棲姫が苦笑するのと

レ級がボヤくのは同時だった

 

「…地点乙の方も、出現した姫級深海棲艦、『駆逐棲姫』を撃破したとのことですが、未だ地点甲、地点丙、地点丁とは連絡がつきません

鎮守府には間宮さんがいるので

情報もリアルタイムで更新できますが…間宮さんは特務艦、戦場にいるわけではないので、戦況については情報が入ってきません

通信が通じるということは

姫級は撃破済みと思われますが…」

 

「甘イナ、上級の深海棲艦ハ、通信遮断(ジャミング)能力をデフォルトで所持シテイル

敢えて通信ヲ通シテイル可能性モ考えなきゃナラナイ、ソレニ提督の情報によると

『姫級六隻による艦隊』ナンダゾ?…ここに来テイタBOSS艦ハ誰ダ?」

 

「それは…軽巡棲鬼です」

「アッレレェー?おかしいなあ?

六地点ニ展開シテイル艦隊二、六隻姫級ガイテ、なんで一地点を鬼級ガ担当シテイルンダ?コレジャア姫級ガ1人フリーニナッチャウゾー?」

 

「…そういうことですか」

 

そう、別の地点に姫級がいる

そして、そいつは未だに潜伏しているか、それとも別の地点で戦闘しているか

 

「それでは…どこかから奇襲を受ける可能性が…っ!」

「ソウネ、ドコニイルカモ分カラナイ姫ガ一人、潜伏シテイル、シカモソノ姫級ニツイテハ状況モ把握出来ナイ、戦闘力モ、イカナル姫ナノカモ分カラナイシ、モシカシタラモウ何処カニ潜伏シテイル可能性モアル」

 

「ソレドコロカ、何処カデ既ニ戦闘ヲ開始シテイル可能性ダッテアル…面倒ダナ」

 

レ級ガ呟くのと同時に

空母棲鬼が大きく息を吸って

 

「ハイ集中!速吸、レ級!二人トモ気ニシスギヨ!…今ハ戦闘中ナンダカラ悲観スルノハ良イケド、各地点ニ展開シテイル艦隊ハ、全員ガ強者ナンダカラ、例エ姫級ガ一体追加サレタ所デ、ソノ程度ノアクシデントニハ負ケナイワ…私達ダッテソウヨ

 

ダカラ今現在スルベキ事ハ

マダソノ未知ノ姫級ガ出テキテイナイ今ノウチニ、コノ地点戊ニ押シ寄セテイル敵深海棲艦ヲ制圧スルコト、良イ!?」

 

その場にいた残り二人

レ級と速吸を強く激励した

 

「よし!…そうと決まれば…」

 

「ココカラハ防衛戦ジャアナイ…」

「イマカラハソウ、殲滅戦ヨ!」

 

三人は気合を入れ直して

岩場から離れ、支援に来てくれた腕章付きの明石によって補充された装備と資材で

再度戦闘を開始する

 

「姫級が出てこないうちに

全力で、少しでも減らします!」

「情報ハソウネ…間宮サンノ方ニ流シテオクワ、レ級ハ全力デ暴レテ良イワヨ

私ハ何ガ来テモイイヨウニ

緊急発進ノ用意ヲスルカラ」

 

しれっとサボる宣言した空母棲鬼に、赤い艤装を背負ったレ級は…

「ソリャア良イ!コッチハ全力デ戦ワセテモラウ!モシ姫ガ出テキタラヨロシクッ!」

 

姫級を押し付けるつまり満々で

艦載機を急速発進させ

主砲を展開、彼女の最も得意とする戦術…即ち『火力によるゴリ押し』を開始した

 

「オラオラオラッ!死ヌゼェ…アタシヲ見タ奴ハミンナ死ヌゼェッ!」

 

それはまさに死神、

出てくる世界を間違えているような砲撃戦の超火力に、戦艦由来の重装甲、そして

数だけでいえば正規空母『雲龍型』改の搭載数、69の二倍以上の値となるとなる、140機の艦載機による驚異的な爆撃能力に

命中率にやや難があるが、極めて強力で『潜水艦による攻撃吸収』が困難とされるほど高い対潜能力、艦娘の中でも有名なフィニッシャーとなる北上の改に比肩する、圧倒的雷装をも併せ持つ

さらに射程は『長』速度を見れば『高速』である、スペックを見ればだれでもイメージするだろう言葉が

 

『ぼくのかんがえたさいきょうの戦艦』である

 

そんなふざけた能力を持つ彼女が、その持て余し気味のステータスを存分に振るった場合、何が起こるかは明白である

 

いくら敵艦も艦娘よりもスペックの高いことが多い深海棲艦とはいえ

レ級は一部姫級をすら超えるステータスをを持っているのだ

 

そんなものがボスを失った深海棲艦に向けて、牙を剥き出して襲いかかるとなれば

その結果は、壊滅を置いて他にあるまい

 

「…ハァ…本当ニ単独デ終ワラセテシマイソウネ…」

 

姫級の敵が出てきた場合の対処を押し付けられてしまった(自業自得)空母棲鬼は

大きくため息をつくことになった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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