戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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終幕戦 

「タトエ装甲ガナクテモ!」

「無くても…なんデスカ?」

 

砲撃を繰り返す金剛、その目はどこか遠くを見ているかのように瞳孔が開いている

 

「…」

そして、

 

「ヤレッ!」

その声と共に、金剛の艤装が爆発し

大破する

 

「なっ!…何が」

「遅イッ!」

 

戦艦棲姫の主砲が発射され

大和撫子で逸らされる

 

「さすがに正面から受け止めるのは愚策としか言えないが、受け流すくらいはできる」

 

俺は金剛の前に出て、撫子を正眼に構える

 

「提督ガ直接デテクルトハ…馬鹿ゲテイル…イヤ、ソノ愚カ者ノ提督ナラ

逆ニオニアイカ?…マアイイ

死ネ」

 

先ほどと同じ軌道で砲弾が発射され、正確に進んでくる

 

「正確な射撃だ」

 

俺はその軌道通りに撫子を振るい

その砲弾を切断する

 

「それ故に予測もしやすい」

 

byランバ・ラル

とはさすがに付けられないが

同じ事を言いながら刀を一度振るう

上段からの幹竹割…とはいかないが、大和撫子の衝撃吸収能力のおかげで

砲撃そのものを無力化したまま

一方的に押し切れるようだ

 

「…クソッ!…ダガコレナラッ!」

 

戦艦棲姫が艤装に命じると同時に、爆発が()()()()()起きる

「ナンダ!?」

 

混乱した声、確実を期したはずの一撃が外されたという驚愕、そして

こんな中途半端な場所にはあるはずのない敵の増援という事態に対して

対応を取り兼ねたのだった

 

「勝手は!榛名が許しません!」

 

「っ!?」「その声!」

 

戦場が停まる

その一瞬だけは、誰もが戦闘を忘れて

現れた存在を注視していた

 

「…お久しぶりです、提督

榛名、帰ってまいりました!」

 

「榛名っ!」

金剛が迷いなく飛び出して

凄まじい速度で榛名に飛びつく

 

「いつのまに来てたんデスカ!

会いたかったデース!」

「お、お姉さま…大丈夫ですか?」

 

「うふふっ、ワタシは大丈夫デース!」

おそらく純粋に損傷を心配したのだろう榛名の言葉に、金剛はウインクと笑顔で返す

 

「…イツマデ茶番ヲシテイル!」

「ふっ!」

 

正面からの一撃を大和撫子で受け流して、戦艦棲姫に一言だけ告げる

「一体いつから…茶番劇なんぞをしていると錯覚していた?」

 

俺の一言に、

戦艦棲姫は驚愕の表情になる

 

「馬鹿ナ…ドウイウコトダ!?」

 

「お前は知らないかも知れないが

念のために言っておこう

艦娘は同型の艦を揃えると姉妹艦同士の相互補助効果でステータスが向上するんだ」

 

その言葉と同時に

榛名と金剛の二艦同時砲撃が艤装を破壊する

 

「ナニィッ!」

「これで終わりだよ」

 

爆砕、炎上

 

もはや使い物にならない状態に成り果てて沈みゆく戦艦棲姫艤装を見送りながら

戦艦棲姫本体を睨む

 

「エエイ!死ナバ諸共!

セメテ貴様ダケデモ道連レニシテヤル!」

「させるかっ!」

 

俺に向かって突進してくる戦艦棲姫、その攻撃は危険だとわかり切っているので

当然ながら全力で回避する

 

「死ネ!死ネェ!」

「大人しくしろ、死ぬのはお前デース」

「主砲!砲撃開始!」

 

渾身の右ストレートを空打った戦艦棲姫に、二人の砲撃が突き刺さった

 

「…金剛、あまり口が悪いと鳳翔さんに怒られてしまうよ?」

俺も最初と比べれば爆発にも随分と慣れたものだ、姫級ともなると沈没の一瞬だけでは済まないような大規模な爆発をするのだが

そんな事を気にすることもなく、むしろ最後の一撃に掛けられた言葉の方を注意する

 

「はーい、次回から気をつけマース…煽ってきたアイツが悪いデース」

「速攻で言い訳するんじゃないよ

全く…で、金剛、その姿は?」

 

「はい!榛名も気になっていました!」

俺の質問と榛名の追撃は

嬉しそうな返事を伴って帰ってきた

 

「テートクのくれた、ワタシの新しい姿、改二を超越した『改二丙』デース!」

 

戦場では普段とは打って変わって

凛々しい表情になる金剛が

突然デレデレの笑顔になるのに困惑しながら、とりあえず頭の中で情報を整理する

 

「…金剛の改二『丙』だと?」

 

俺の知る限り金剛改二丙は

実装レベルがかなり高く、また

非コンバート型の改二丙は

一度改造したら戻れないかわりに

砲戦能力と夜戦性能が強化される形態だ

今までの改二を純火力はともかく、総合的なダメージ量では大きく上回る

 

「そうか、おめでとう金剛」

「ありがとうございマース!」

 

金剛は本当に嬉しそうだ

「よし、榛名は…損傷はあるか?」

「いえ、榛名は大丈夫です!」

「よろしい、なら金剛を送ってやってくれ、金剛は大破してるからな

修理にも高速修復材を使うことになる…まぁ、出費はおおきいが

金剛には代えられない」

 

「提督は?」

「俺は…地点丙、地点丁の

深海鶴棲姫、海峡夜棲姫を撃破する

…艦娘任せになっちまうが、それでも現場に指揮官が出るってのは士気高揚に使える手段だからな」

 

「わかりました、」

「いってらっしゃいデス!」

「…あぁ、行ってくるよ」

 

金剛型二人に見送られて

俺は地点丙へと向かった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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