戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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終幕戦 第三戦

「扶桑さん!」

「大丈夫…心配いらないわ!」

 

弾着観測を成功させた数少ない敵艦から砲撃が飛んでくる、たかが至近弾だけど

それでも私にとっては危険

心配させてしまったかしら?

 

海峡夜棲姫-壊-

山城

 

その姿、その言葉

忘れもしない、あの時と同じ

私の姉妹艦、山城

 

「…山城、あなたの無念はわかるわ

それでも、私たちは戦う」

「…姉様ハ何モワカッテナイ…沈ンダモノノ事ナンテ、同ジ沈ンダモノニシカ分カラナイ、オ姉サマニハモウ…何モイワセナイ」

 

その怨嗟の声は低く

山城の声でありながら

何か奇妙に歪められているように聞こえる

 

「沈ンデ!」

 

「そうはさせませんよ」

 

赤城さんが精密操作する艦爆の一撃で砲撃を妨害して、主砲一斉射は不発に終わった

 

「邪魔ヲスルナラ!赤城サンカラ!」

「そういうと思っていました」

 

山城背にある艤装が爆発する

どうして?赤城さんの艦載機はもう帰還しているはずなのに

 

「何故ダ!?赤城サンノ艦載機ハモウ居ナイハズ!」

 

「ヒャッハー!やっぱり気付いてなかったみたいだな!今のは私の爆撃機の仕業だよ」

 

隼鷹さんの…いえ、『隼鷹改二』が使っていた艦載機、零戦五十二型が

隼鷹さんの元へと帰っていく

 

その姿からようやく理解した

 

「ソウイウコトカ!」

そう、赤城さんは最初から囮として動いていた、赤城さんの艦載機は変更したばかり、最初から本命なんて狙うわけがない、冷静に考えればそう

 

なのに、赤城さんは圧倒的な技術で艦載機を万全に操り、いかにも自分が本命であるかのように見せかけて攻撃のフリをしてきた

そこにつられて迎撃を集中して

赤城所属の艦載機が帰って行った時には露骨に気を抜いている者すらいた

 

そこに本命の隼鷹改二による一斉爆撃が届いてきた、そういう事

 

「ヤッテクレルワネ!」

「好機!」

 

今がチャンスとばかりに攻め立てるみんなの勢いは、先ほどまで押されていたがゆえに強く、一気呵成に押し込もうとする

 

「怯ムナ!反撃用意ダ!」

海峡夜棲姫(ヤマシロ)が号令を出して

自身も率先して攻撃を再開する

やっぱり気が強いのは変わらないのね

 

でも、甘いわ

「…輝那NX!」

 

提督が直接攻撃に来るなんて

予測してなかったでしょう?

 

「…ナン……ダト…?」

「予測が甘かったな、海峡夜棲姫」

 

side change

扶桑side out

蒼羅side in

 

さぁて、やってやろうじゃないか

「狙撃するぞ…輝那NX!」

 

陸奥の協力のもと、照準を補正した狙撃銃、輝那NXは大和撫子の衝撃吸収能力によって、俺自身への反動とショックブラストを無効化したことで最大の威力を遺憾なく発揮する

 

「…ナン……ダト…?」

 

突然響いた男の声に驚愕した海峡夜棲姫に、一言を掛ける、ここに俺はいると

そして、お前は今から沈むのだと

 

「予測が甘かったな、海峡夜棲姫」

「ソンナバカナ…アンタハ誰ヨ!ナンデ海ニ立ッテイルノ!?」

 

混乱しているらしい海峡夜棲姫に、その言葉をガン無視した捨身の突撃を仕掛ける

 

「っ!」

「ッ!答エロッ!」

「沈め沈め沈んでいけ!」

 

鈍いバスタードソードのように剛力で押し潰す攻撃は、本来折れやすい日本刀型の大和撫子には向いていない、苦手とする攻撃であるが

鋭さを活かした『斬る』攻撃は動きの線を読まれて止められてしまう、海峡夜棲姫の持つ高質の深海鉄と怨念で鍛え上げられた装甲はおそらく大和撫子をして貫徹できない強度を持っているのであろう

 

「沈めえっ!」

「返事ヲシナサイ!」

 

ゴン!と言わんばかりの衝撃が腕を襲い、俺を大和撫子ごと弾き返す

 

「マズハ素性ヲ明ラカニシナサイ!貴方ハ誰!?」「俺は横須賀麾下第1407鎮守府:創海鎮守府所属 神巫蒼羅だ!階級は中佐!つまり提督だっ!」

 

とうとう技師を放り投げた俺の自己紹介はある意味衝撃だったらしい

「提督ガ前線ニデルナァッ!」

 

一瞬フリーズしたあと、すごく真っ当かつ当然なことを言ってくる海峡夜棲姫

 

「ところが出ないわけにはいかない!俺は前線指揮も取れる提督だからな!

天龍ブレードとは違った俺の切れ味を見せてやる!」

 

宣言と同時に輝那で徹甲弾を発射、六発の徹甲弾が着弾と同時に爆発することで

装甲を無理やり突破しようとする

 

「砕き散らせ!」

 

もはや切れ味でもなんでもないというツッコミをよそに、そのまま爆発をぶつけ続けて

火力でのゴリ押しを狙い

 

「甘イワ!」

しかし、合計11発の徹甲弾は

全て装甲に弾かれる

 

「なんで強度だ…流石は終盤の姫」

 

後半は誰にも聞こえないように呟く

俺が別の世界から来たなんてことを知っているのはごく一部だけだ

終盤の姫なんて言い方を誰かに聞かれたらなぜそれを知っているのかと問い詰められてしまうだろう、そしてそれは不審となって不信を生む原因になる

 

「さぁて、続きだ!」

爆発は続く、

今回に限っては出し惜しみ無し

今まで出していなかった輝那の全力

トライエッジとも、ネクスエッジとも違う、『輝那』としての、陸奥と俺の全力だ

 

[行くわよ、蒼羅!]

「応さ!」

 

陸奥の声と共に、射撃速度が上がる

それに伴い、狙いの精密さも変わる

 

左手の一本で撃ち続ける輝那は全て劣化ウラン芯の徹甲弾と新型火薬入り炸裂弾

現状、人間が純粋に科学で作れる人対艦の最高威力に近いだろう射撃を繰り返す

開いた右手は川内が制御して

大和撫子で機銃やら何やらを切り落としていく

 

[まだやれる、頑張って、提督!]

[このまま押し潰すわよ!気を張りなさい、蒼羅!]

「了解っ!…やれ扶桑!」

「はい!」

 

二人に攻撃と防御を任せて、適切な間合いを取り続けることに専念している俺が叫んだと同時に、俺の射撃とは明らかに異なる威力の砲撃が弾け、海峡夜棲姫の装甲がついに砕かれる

 

「よし!総攻撃だ!」

「グゥゥッ!サセナイ!

オ姉様ヲ惑ワス害悪提督ガ!

オ前如キナンカニ…絶対負ケナイ!」

 

互いの全力の咆哮が爆ぜた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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