戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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意思を継ぐ

起動する機能は

大和型戦艦に搭載された伝説の機能

砲戦最強の戦艦である大和と、その同型艦達による、単一目標への集中砲撃

 

およそ世界最高の一撃

それを叩き込むために絶対必須となる機能は、46センチ三連装砲に存在する

「砲塔同期管制システム…起動!

長門、いい?」

 

身体換装によって魂と

肉体を入れ替えたのは、陸奥

 

そして、連合艦隊に陸奥、長門が存在し、かつ艦隊が満員である場合に発動できる

特殊カットインがあるのだ

 


 

「提督…全く、大破では狙えんなどとは言わせんつもりか…無理を言ってくれるものだ

だが、そんな時だからこそ…

燃えてくるものがあるな!」

 

長門は腕を組んで、強く地面を踏み締めて、叫んだ

 

「長門 第二改放 長門改二!」

 

その瞬間、黒い髪が浮き上がり

白く変色しては、すぐに戻る

 

赤い火花と雷光を撒き散らしながら、バラバラになったはずの艤装が修復されていく

 

転がっていた艤装の一部、武装の搭載部分を拾い上げて、それが消える前に

そこに搭載されていた武器を取り出し

 

「…思っていたより辛かったな…」

傷が消えた腕を見ながら一言呟いて

長門は腕を真っ直ぐに伸ばす

 

「全主砲、砲門開け!…一斉射用意!」

 

新艤装になぜか搭載されていたバルジの枠にその砲を入れて

 

「ふっ…まさか陸奥の声で問われるとは、思ってもいなかったが

提督!射撃用意完了だ!」

 

同期した砲塔が正確に狙いを付ける

 


 

提督の姿が消えて、突然現れた陸奥さんが()を構えるのと同時に

 

私の砲塔が、半ば自動的に照準を設定するのを横目に、私はいったん下がって射界を確保する

 

「大和、砲撃準備完了」

 

提督…この身全てを捧げます

 


 

「ほう…あいつめ、砲塔同期管制システムを使ったのか…良いだろう

私も乗ってやる

46センチ三連装砲を積んでいるのは

大和だけでは無い事を教えてやろう!」

 

メガネを輝かせ、主砲の全砲塔を旋回させる、狙うは虚空、その先に彼の示す敵はいる

「盲撃ちだが、その分は埋めるのだろう?せいぜい当てさせろ!()()っ!」

 

武蔵は、戦場で豪胆にも笑った

 


 

「一斉射撃…開始!撃てぇっ!」

 

大和撫子を真っ直ぐに伸ばしたまま

陸奥は左手一本で正確に輝那を構えて、既にNX状態にされているそれで

照準を定めて

 

一気に発砲した

 

その直後、大和と武蔵が一斉に主砲を撃ち…その砲弾は、深海鶴棲姫に殺到する

 

「グガァァァッ!」

 

三方向からの一斉射撃、艤装の装甲でガードしながら受けてなお、壮絶な爆発の中に消えたその姿は、しかしすぐに爆煙を振り払って現れた

 

「コノ程度ナラ…」

 

そして、最後に遥か彼方から飛来した

長門の放った一撃が、首筋に直撃する

 

「ゥァァ…ッ…」

横薙ぎの衝撃を叩きつけられ

艤装から転落する深海鶴棲姫

それを即座に追撃するために陸奥は再び狙いを定めるが、独立して動く艤装に邪魔をされる

 

「再度一斉射撃よ!」

 

号令を挙げるものの、即座に艤装が接近してきたことで、射撃自体も中断を余儀なくされた

 

「まずいわね…」

「射線が通らないか!」

 

「艤装を破壊すれば良いのね

私にまかせて!」

 

ビスマルクが叫ぶと同時に、

彼女の主砲が連射される

陸奥と艤装は非常に近く、誤射の危険もある中で躊躇なく発砲した彼女は

正確に艤装のみに命中させる

 

「どうよ、これくらいなら簡単なんだから!」

「グギィァァグジュフルル…」

 

今までに一度も聞いたこともないような汚い濁音を撒き散らしながら艤装が生体部分をのたうち回らせ、それと同時に反撃をはじめる

 

操演者である深海鶴棲姫を失った状態であるにも関わらず、無数の艦載機を発進させ

無差別爆撃を開始したのだ

 

「…なんてパワーだ…」

「だが、怯えてはいられない!」

 

嘆息するガングートを武蔵が叱咤し、同時に駆け出す、それはもちろん

 

「先に本体を叩く!」

 

攻撃されるより前に本体を

深海鶴棲姫を撃破するためだ

 

「無茶だ!奴は海中だぞ!」

「武蔵さん!無理です!」

 

扶桑とガングートに止められるが、そんなことには構いもせずに武蔵は艤装を強制解除し、海上に艤装を残したまま海へと飛び込んで潜水する

 

(奴の本体を海中から炙り出す!)

 

「今のうちに、他の個体を攻撃しましょう、艤装の対処はガングートと私にまかせて」

 

ビスマルクの言葉に応じて

金剛達は他の深海棲艦に攻撃を集中させる

 

「…これで、最後です!」

気配を消していた鳳翔さんが

一瞬でル級暴走体flag shipを貫き

同時に鳳翔さんが限界を迎えた

 

「鳳翔さん、おつかれサマデス

もう休んでくるサイ!」

「はい、もう弓を引ける状態ではないので、私は帰らせてもらいます」

 

そう告げた直後、深海棲艦達の攻撃が鳳翔さんに集中するが、淀みない動きで回避しながら、鳳翔さんは去っていった

 

 

 

深海鶴棲姫side

 

……………………………………

くらい…寒い…艤装もなくなっちゃったし、もう動けない…

 

翔鶴姉に、負けた

結局、私は勝てなかった、

提督さんを、助けられなかった

提督さんのために勝つって、決めたのに、提督さんを助けるって、誓ったのに

私は何も…出来なかった…

 

「そうだよね…結局私は…

五航戦どまり、一航戦にはなれない」

 

…本当に、そうかしら?

 

「私は所詮五航戦、結果がすべての世界で、なにも為せなかったただの敗者よ」

 

じゃあ、あなたはここで終わるの?

 

「終わりたくない…まだ…提督さんを…助けられてないから…」

 

なら立ちなさい

あなたの力を、あなたの想いを

示して見せなさい

 

「出来ないよ…私には…」

 

呆れるわね…それでもあなたは

栄えある大日本帝国の正規空母なの?

 

「なんなのよもう…ほっといてよ」

 

放ってはおかないわ

あなたを見捨てられるほど

私は腐っていないもの

 

「もうやめてよ!そんなこと言わないで」

「何度でも言うわ、立ちなさい瑞鶴」

 

その声だけは、全てが霞んだ世界で

妙にはっきりと聞こえた

 

「瑞鶴、あなたはまだ立てる

まだ戦えるわ、逃げてしまった私とは違う…立ちなさい、後悔したくないのなら

戦いなさい、想いを遂げたいのなら

私のように、なってしまう前に」

 

「…そう…加賀さん…」

 

喧々轟々、声は響く

吹き渡る風と、青い空

遮るものは煙だけ

そう…私は

「加賀型正規空母、一番艦加賀」

「正解、よく当てたわね、瑞鶴」

 

「別にこのくらい…聞けばわかるわよ」

「そう…ならいいわ、単刀直入に言うわよ…今すぐに、海面まで戻りなさい」

「な…無理よ!そんな事!」

「できるわけがない、かしら?

泣き言は受け付けていないわ」

 

「…っ!」

「睨んでも無駄よ…ここでじーっとしてても、どうにもならないわ」

 

「…いいじゃない…もう…終わったの、私は負けたんだから…」

「仕方のない子ね…全く

誰に似たのかしら?

…無理にでも引っ張り上げるから」

 

そう言われた途端に

強引に体が引き上げられる

 

そう、海面へと

()()()()

 

「行きなさい、一航戦 瑞鶴」

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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