戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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時の壁を越えて

…さて、ここはどこだろうか

 

今は朝らしいが、誰もいないと言うのは気になるな、川内…

 

ん?

 

[川内?…おい、川内!?]

 

いつものように会話を試みるが

それに応じるものはいない

 

[川内!?…陸奥はどこだ?]

 

陸奥へと声をかけても

当然ながら答えてはくれない

 

[…クソっ…やっぱりか…]

 

誰にも届かない声を上げた俺は

適当に当たりをつけ始める

 

…まず、ここがどこかだ

視界は特に問題ない、感覚異常もない

もっと寄越せよバル○ドスとか言ってないし、勝手に腕を持ってかれるような事はなかったようだ

 

「よし」

 

ゆっくりと呼吸を通して

体に力を流し込む

 

そっと身を起こそうとして

 

「…動かない…」

なぜか、全くと言うレベルで体が動いてくれないのだった

 

その後も何度も動かそうとするが

俺の体はなぜか動かず

 

朝を通り過ぎて昼並みの陽光が差し込む頃になって、ようやくやってきた艦娘

五十鈴と対面する事になった

 

「…なぁ…」

「!?」

 

自分では普通程度の声で話す予定だったが、出た声は予想以上に小さく

本当に体が衰えている事がわかる

 

「提督?」

 

驚いたような声を上げる五十鈴は

俺の寝ている(らしい)ベッドの横に回って、俺の声が単なる幻聴ではないことを確認しようとしている

 

「提督、聞こえる?聞こえてるなら、何だって良いから体を動かしてくれる?」

「……ぉぅ…」

 

今体を動かしたらロクな事にならないという確信があったために、とりあえず声で返事をする

 

「提督提督提督!」

 

普段なら、ぬぉぉ!?と意味のないヘビーボイスを上げていたところだが

今の俺の体はロクな動いてくれない

当然ながら揺すられるままである

 

「…提督、まっててね

いま、里見さん呼んでくるから!」

 

心なしか声が弾んでいる五十鈴が

どこぞへと(首の角度的に視線が追従できない方向へと)消えていく

 

そして、ややもせずに

里見君が現れた

 

「…おはようございます、神巫提督」

「…」

「あぁ、返事はしなくて良いです、無理をしすぎてしまいますから」

 

「…」

 

取り敢えず黙ったままで視線でうなずき、続きの言葉を待つ

 

「怪我も身体的には十分に回復していますし、提督のリハビリについては機能回復の方に注力したいと思います…あぁ、それと」

「?」

 

「昇進おめでとうございます

神巫『大佐』」

「っ!?」

 

意識を失っているうちに

いつのまにか階級が上がっていたらしい、何故だ

 

「あー、以前にあった六重の連謡討伐戦ですね、あれの姫六体、鬼一体討伐っていうのが提督の功績として認められてるんで、さすがに無視もできないでしょう」

「…ん」

 

だいたいわかったが、

その以前あったってのは

どういう事だ?

 

「…………」

「ごめんなさい、それはわかんないです…大和さん呼んできますね」

 

意味不明な表情になった後に

なぜか大和を呼びに行った里見君

彼の背中を追うより前に、

するべき事がある

 

まずは、俺自身が…万全になる事だ

 

…とはいえど、特に意味もない特訓とかしても無駄だし、そもそも体が真っ当に動かない現状、するべきは努力ではなく、集中であろう

 

呼吸を通して酸素を強く取り込み

それを血中に流す事で

筋肉や骨に活動再開を宣告する

そこから始めなくてはならない

 

「…………」

 

呼吸するだけで心肺が痛むとは思ってもいなかったが、それでも呼吸は続ける

…流石に負荷は落としたが

 

「……………………」

 

「提督、大和です、失礼します」

「呼んできましたよ」

 

大和を連れて、

里見君が帰ってきたらしい

ならばまずするべきは

 

「……(俺はどのくらい倒れてた?)」

「…約半年、六ヶ月です」

 

大和には見事にアイコンタクトが通じたようで、その期間を教えてくれたが

その内容は驚愕の一言である

 

そう、半年、ずっと倒れていた

それだけの期間眠っていたのであれば普通、再起の目は無しとして

階級どころか軍籍の没収すらあり得るのだ、

 

「…そ…か…」

 

「提督、あまり無理をなさらないでくださいね? ただでさえ起きたばかり何ですから、いま無理をしたら治りが遅くなりますよ?」

「………」

 

わかっている、と視線で大和に示して、とりあえず呼吸に集中する

 

「提督の状況についてはまた後ほど、説明の機会を設けさせて頂きます、今はまず

機能回復訓練についての説明を」

 

里見君が出てきて説明を始めた

懐かしき風景…というほど体感時間は経っていないが、外界的には半年ぶりなのだろうか

 

「まずは身体面での機能は筋力、基礎体力、骨強度、心肺機能、いずれも著しく低下してしまっているので、これから約二ヶ月ほどのスパンで回復訓練を行います、詳しくは…」

 

どうやら解説は長くなりそうだ

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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