戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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不穏

なんて思っていた時期が俺にもあったんだよ

 

突然電話で呼び出された俺は

連絡先に登録されていない6人目の、しかし把握はしている番号

辺 優奈中佐にコールされ

夜風の吹く中

鎮守府の外、深海棲艦出現以後は過疎化している街の方に来ていた

 

「で、こんなコンビニもないような街にまで呼んだって事は、なにかあるんだな?」

「…えぇ、大佐を電話一本で呼びつける程度には重要な事です」

 

その言葉に、

俺は独特の意思を読み取った

 

それは、そう

一年以上前に設定した合言葉、その意味はこれから説明する事は『881研究室に関係する案件である』ということ

 

重要な案件というレベルの話ではないが、我々の間ではそれが暗号として通用している

 

「…で?」

「続きはウェブ…とはいきませんし、ちょっと出ますよ」

 

路駐されていた車を指す辺中佐に従って、車に乗り込み、移動を開始する

 

「で、どこに行くんだ?」

「どこへでも…車の中で十分話せますよ」

 

「そうか、ならいい…うん

題材は?」

「…艦娘と深海棲艦のハイブリッド、それと人間の死骸を利用した人造深海棲艦」

 

「…うぇぇ…気分の悪くなる話だ…いや、いつぞやの『艦娘を殺すウイルス』よりはよっぽどマシだと思うがな?」

「…人間の死骸を〜については?」

「奴らは許さん、絶対に」

 

深海棲艦と艦娘は根本的に同質な存在とはいえ、混ぜていいようなものではない

それに、亡骸を弄ぶなど倫理的に人道を外れる、それを躊躇もなく踏み出せるような881研究室はやはり頭のネジが5〜6本くらい吹き飛んでいるのではないだろうか?

 

まぁそれはそれとして

最も危険なのは俺の力が喪失している関係上、『魂喰らい』系統の能力を持った擬似、または人造深海棲艦が来ることだ、力を失った俺では対処できない上に、俺の魂は現状、(かつてもそうだったが)非常に不安定であるため

魂喰らい系の能力に晒されればどうなるかも不明だ

 

瑞鶴の魂に接続することで安定を維持している魂が、なんらかの外部からの干渉を受ければ

コピー用紙よりも軽い安定は天高くまで飛んでいってしまうだろう

 

全くもって危険だ

「提督は実働部隊を外れて、実働部隊のオペレートをやってもらいます

…前線には出られないでしょうから」

 

「…オペレーターか、経験はあるが、専門職に任せた方が良くないか?」

「残念ながら、部隊がオペレータまで出したら実出動と同じ事になってしまっで言い逃れができないので、秘密裏の突入作戦には非正規人員を使う必要がありまして」

 

「なるほど」

 

納得はできないが理解はした

とりあえず俺が部隊のオペレーターをやることは分かったのだが、それについての細かいところには全く説明がないというのはいかがなものか

 

[そもそも提督さん、オペレーターとかできるの?][できるよ失礼な

俺は技師科だけど、総合科の方では作戦指揮もやってたしオペレーターの経験もある

それに俺は…いや、やめとこ]

 

説明を打ち切って

聴講にもどり、

 

「残念ながら、失敗する可能性の高い作戦ですから、必要最低限の人員に絞った上で、なおかつ…作戦の成果にかかわらず、作戦実行時の突入班は全員『処理』されます」

 

「なるほど…そこまでするか」

 

ここでいう処理とは、まぁ真っ当な意味ではなく、僻地に飛ばされたりといった意味でもない…文字通りの口封じ、つまりは消されるのだ

突入班に俺が入らなかった理由は

おそらくそれもあるのだろう

姫、鬼級率いる大艦隊を迎え撃ち、自らのダメージを顧みずに勇敢に戦い続けて勝利を収めた英雄ということになっている俺は

スケープゴートにはあまりに重い

そんなにぽんぽんと代わりを出せる立場ではないと言うことだ

 

権力の重さ、とは少し違うが

見知らぬ誰かをオペレートしながら

その全員が死ぬことを知っているなど…悪趣味な話だ

 

とはいえ、敵がなんらかの生物兵器やら毒ガスやらを用意していた場合

遅効性の毒性、致死性を発揮するウィルスやらなにやらをもって帰らされても困る

故に片道任務なのだろう

 

[提督さん!特攻はダメだよ!?]

[特攻じゃない、これは片道切符なだけでちゃんとした任務、それに…]

 

「突入班は、全員が志願兵です」[こう言う任務は、志願兵だけが参加を認められる]

 

瑞鶴に問われたことを、そのまま返す

 

そう、無茶無謀なことであっても

自分が成否に関わらず死ぬとしても

それでもやらねばならないことをやる

 

それだけの気概がなければ突入班に志願できないのだ

 

「オペレーターとしてのコードネームは『ハンドラー』となります、突入班に同行する後方待機役『メディック』と突入班『ハウンド』の5人の指揮をお願いします」

 

「了解した」

 

ハウンドの5人、メディック1人

合計六人か…こう考えると、普段指揮している艦娘と同じ人数の班だな

 

とはいえ、流石に艦娘のような能力や技量は求められないし、癖とのズレを修正するためにも、顔合わせと技能の確認くらいは行わないとな

 

「…よし、作戦前に一度…各員の技量の確認を行わないといけないし

日程はどうなっている?」

「日程については…2週間後、木曜が突入の当日となります、その日まではオールフリー、突入班は最後の休暇ですね」

 

笑えないジョークはよしてくれ

[提督さん!止めようよ!]

[瑞鶴、これは必要な事だ…止められない、最低限の犠牲なくして危険の排除ができないのであり、かつ、志願兵として参加しているのなら

俺はそれを止められない

…彼らは、自らが命を落とすことを是として、他者のためにそれを使うことを選んだ

その決断を尊重する」

 

必要なのだ、

これは…おぞましい実験を繰り返す

881研究室を、

人外へと至った怪物たちを止めるために

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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