「…まずいな、
艦娘達の方の意識の覚醒も期待できそうにはない」
マイクに囁く内容は単なる情報の羅列にはならないように、順序立てた思索を流す
〈…こちらメディック、ハンドラー、わたしはアレをどうにか出来る手段があるといったら、どうする?〉
「出来るなら今すぐにもやってくれ、とだけ言わせてもらうが」
できないことを幾らとやかくいっても仕方がない、とコピー艤装達の解禁を指示しようとしたタイミングで、メディックからのコールが入る
返事がおざなりなのは勘弁してくれ
[しない、通信なんだから、せめて声だけでもしゃんとしなさいよね]
side change
蒼羅side out
メディックside in
「ならばやらせてもらおう…とは言っても、わたしが研究していたのは艤装の改造だし、どこまでこれが通用するかはわからないが…」
私はメガネを外して、座席に置き
愛用のアイテムだけを持って車を降りる
「ここは私が引き受ける、先に行ってくれ…いや、私単独では追いつけないから待っていてくれ、私がアレらを機能停止させる」
「………了解」
〈了解〉
最高責任者であるハンドラーの同意も取れたし、これで私も好き勝手できる
…ヨシ
「やろうじゃないか」
襟を正し、白衣の裾を翻して
私は私の戦場に立つ
手は動く、足は動く、頭は動く
なら、いくらでもやりようはある、
『停止させる』こと
それが私の目標だ、そしてその目標の為には、特に霊的・物理的な損害を与えて
破壊する必要はない、
ただ停止すればそれでいい
「wow voar Märchen world」
眼鏡を投げ捨てて口を開き
歌う 右足は忙しくアスファルトの路上を叩き、声帯は尋常ならざる音を通し
懐から取り出したプレーヤーから大音量で特定周波数の音波が垂れ流される
声帯と機械音声を駆使した、
聴覚に対する音の暴力
「Oe-/hidur run an」
「eposion hynclar-hypne」
それは、ある種独特の旋律を伴い
戦場になる予定だった空間に広がっていく
音の毒
「loar mihhya sari nehhe 」
「veis valen veclisia」
実体を伴わないその毒は
特定の生物に対する致死コードとして艦娘に特異的に作用し、ノーペイン・マリオネットへと改造され、兵器化した艦娘を速やかに戦闘不能化、無力化、そして死に至らしめて行った
「…無力化完了、さぁ ハウンド2!車を出してくれ!予定から3分も遅れているぞ!」
「…りょーかい」
トレーラーの過ぎ去った跡には
大規模な爆発も、強烈な打撃も
血飛沫の舞う斬痕も、どころか燃焼の見せる光すらなく、ただ糸の切れた艦娘達が、まるで眠っているかのように死んでいた
side change
蒼羅side
「いや怖いわ」
糸の切れた艦娘達の死体については後で処理班を向かわせるとして、
先を急ぐメディック達に視点を戻す
何今の音、機械音と生の声を完璧に合わせて音を合成した挙句に
それが艦娘に効く致死性ミームだと?殺意が高すぎないかそれ
[そもそも機械音も生身の声も半分以上カットされるなんて…それってつまり、発生していた音が可聴域以外の音って事だよね]
「そうだな、いわゆる低周波や超音波に分類されるような『聞き取れない音』だ、機材にカットされたってことはそれを生身で出していたことになる」
[じゃあ、あの博士…生身で超音波出してたの?]
[…まぁ、そうなるな]
何にせよ人間の所業ではないが、とりあえず無視して、オペレーションを続ける
その視線の先には
ついに突入する施設にまでたどり着いた部隊の姿があった
「よし、まずは諸機材の調整に入ってくれ、標的の施設内ではステーションの電波は使えなくなるから、ここからは通信も中継機に依存する、通信の可否は君たちにかかっている、宜しく頼むぞ」
〈そりゃねえぞハンドラー!〉
「大丈夫だよ、大丈夫、組み立て自体は終わってるし、何なら積み込みの時点で確認起動も済んでるから、後は電波帯とアンテナの向き合わせるだけ、楽勝だよ」
〈…ならいいけどよ〉
機械苦手だったらしいハウンド4が食いついてきたが、すぐに治る
そして、ついに
突入部隊『ハウンド』による強襲
施設突入による違法研究の強制摘発が始まった
600話記念番外編は
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テンプレ転生者(ヘイト)
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……