「突入だ!急げ!」
「おぉっ!」
「急げっ!」
アサルトライフルとその他装備を抱えた部隊員が次々に施設へと突入していく姿をカメラ越しに捉えながら、そのセンサーを借りて周囲の状況を確認する
一応建築時のマップはあるが
どこまでそれが通じるかといえば、限りなく怪しい、故に『最新の地形』に合わせた『最新のマップ』を作るべくソナーやレーダーによる探知に勤しんでいるのだ
「…玄関口から半径15メートルは変わりなしか、だがおそらく…」
「こちらハウンド2、マップの相違点を発見したが、どうする、優先的に先を見るか?」
〈いや、まずは棟内全体のスキャンを優先してくれ、
進路はまだ確定していない〉
「了解した、先へ進むぞ」
マップを精細に調べているうちに出てきた謎の空間やら用途不明の部屋やらを使っているのだろう場所は素通りしてもらって、奥を目指して進む
「やはりもう察知されていたようだな」
いくつかの部屋は確認したものの、既に蛻の殻であり、一人として確保できていない
ハウンド1の言う通りだ
重要な情報類もほとんどが破壊、破棄か持ち逃げされているだろう、
こうなると強襲突撃自体が単なる自殺になってしまったと考える他あるまい
「だからといって、俺たちは任務を捨てない、それが俺たちの
ハウンド2が笑う
ハウンド3も4も追従しているが
その中身は空っぽだ
乾いた笑顔ほど虚しく見えるものはない
「…やはりここにもいるか」
次に突入した部屋に置き土産とばかりに配置されていたNo pain marionnette(不完全体)を発見したハウンド2の報告で、ハウンドが集結する
「メディックは?」
「こっちには来てない、メディックはどこだ?」
〈今到着するところだ、致死性ミーム提げてな〉
「こちらメディック、現着したぞ
…で、これか…また…いや、これは」
〈さっき相手にしたのを完全体と称するなら、これはいわば不完全体、以前俺が戦ったタイプだな、機械部分の装甲化は十分ではないし、これなら修復も可能かもしれない〉
「遠隔で出来るか?」
〈…遠隔ではアクセスできない、せめて艤装コアに接触できればいいんだが
そもそも通信プロトコルも違うし、遠隔アクセスは困難だ〉
「ようはお手上げか、どうする?」
ハウンド3の言葉に、一瞬意図を問いたくなるが、まぁ、そう言うことだろう
つまりは、艦娘に戻すことが出来ないのなら選択肢は二つ、
壊すのか、ここに放置するのか
その二つきりだ
………回収すれば復活させられる可能性はあるが、どのみちハウンドチームは帰っては来ない、つまるところ
〈覚醒前に破壊する、艤装も起動していない覚醒前なら容易な筈だ〉
「了解した、では私が引き受ける」
メディックが再び音楽プレーヤーと声帯を酷使して致死性ミームを散布
起動前にno pain marionnetteにされた艦娘を停止…いや、殺害する
「すまない、博士にばかりこんな役をさせて」
「いや、私とて強襲部隊に同行する身なのだ、如何様にも使い捨ててくれ
…それが、私のせいで未来を失ったあの子たちのために、私が唯一できる償いなのだから」
〈メディック…アンタもしかして〉
その質問にもならない質問を放った俺の声は、自身でも驚くほどに乾いていた
「いかにも、私は元881研究室第3席、研究セクションは『艤装の改造』を追求する、セクション3を担当していた、改二の発見者は私だよ
…その過程で、多くの暴走艦娘を出してしまった、マッドサイエンティストだがね」
〈やはり…か〉
「そう、ハンドラーが以前に遭遇した、第四席の花油莱は私の後輩でもある
そしてこの…悪趣味な兵器は、私が開発した艤装の改造方法をベースに作られているらしい…本来なら、こんなことになる筈ではなかった、私が求めたのは単純に艦娘たちの出力の増強だった、戦力の向上だった筈なのだ!
なのに、なぜ…何故こんな事になったのだ?…これが、こんなモノが!
正当なる艦娘の進化だと言えるのか!?」
〈メディック、落ち着いてくれ〉
「落ち着いているとも、私は冷静だ、だが納得はいかない
ただそれだけのことだ」
「………」
「博士はお疲れのようだな
俺達で後を任されよう」
〈そうだな、ハウンド4、索敵の結果は出たか?〉
「いや、まだだ…ん、今出たぞ」
ハウンド4のコピー艤装
コピー・矢矧が電探を起動して
索敵を行い、その結果を転送してくる
「一見、敵らしい反応はないが」
〈いや、休眠、停止状態のno pane marionnetteがそこかしこにいる可能性がある
どこで誰が覚醒してもおかしくはない、それに〉
「すごい数の複製品艤装やら武装やらが転がってるだろうな」
そう、ハウンド4の言う通り
索敵結果として提示されたマップには
『艦娘の反応』と近しい反応や『資材の反応』に近い反応がいくつも存在し
俺にはその特異なパターンの見覚えがあった
それは儀装の反応
改造された艤装の出す、異常な反応
それはつまり、儀装や改造された艦娘が大量に存在することを示唆していた
「艦娘も資材もみんな敵だと仮定すると、やっぱり20人ぐらいは居るな」
〈そうだな、そのぐらいは居る筈だ〉
「儀装であるなら問題はない、使用者が魂の限界を迎えるまで耐えれば良い
だが、no pane marionnetteがいた場合は話が別だ、複数の相手に挟まれたりしたら、博士がいないと対処できないだろう?」
「いや、俺達は全員コピー品とはいえ、艤装を使える身、抵抗はできるぞ」
〈そうじゃなくて、無傷で、周囲に被害を出さずに対処はできないだろう?〉
「そりゃあたしかに」
〈だから、極力戦闘は避けて、索敵と警戒を重視してくれ〉
「了解」
まだ施設に入ったばかりだ
ここで消耗はできない
600話記念番外編は
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……