《お前が死ね》
その場にいた四人全員の言葉が完璧に重なり、爆発がレ級を包みこむ
その煙が晴れるより先に
「おおぉぉっ!」
「さぁぁあっ!」
コピー・利根とコピー・衣笠
ハウンド3とハウンド2の二人が突入し
その拳がレ級の装甲を打ち据える
「装甲が硬いというのなら!」
「何度でも!殴り飛ばす!」
「「お前が死ぬまで!殴るのをやめない!」」
二人の拳は的確に艤装の接続部分や改造された機械部分を狙い打ちにして
少しずつ戦艦の装甲にダメージを与えていく
そう、いくら強力な装甲を持っていても、受けたダメージ全てを完全に無効化できるわけではないのだ、かすり傷一つでも傷は傷
そして、そのかすり傷を全く同じ場所に重ね続けることができるのなら
それは立派なダメージになり得る
「…よし!」
「コノ程度デ!チョロチョロスンナ!」
「っ!」
レ級が艤装を大きく払って
無理やりに二人を引き剥がそうとした、その瞬間にハウンド1が割り込んでいく
「俺を忘れてもらっては困るな」
元より艦娘、『祥鳳』の艤装は軽空母とは思えないほどのパワーを発揮する
それを肉体に全振りした場合の動きはどうなるのか?
答えは、こうだ
「邪魔ナンダヨッ!」
「黙れカス」
威力が乗る前、即ち振り出しの状態ならば、戦艦の中でも強力な部類に入るレ級の拳でさえも、逸らす事が可能なのだ
「同じセリフで返すが…お前の方が邪魔なんだよ!」
思い切り顔面に一撃をたたき込み
義眼になっている片目を破壊する
あわよくばそのまま脳破壊を狙うつもりだったようだが、流石にそこまで都合良くは行かないらしい
とはいえ、片目を破壊したというポイントは大きい、それは視界を大幅に狭め
遠近感覚の低下を招くからだ
そして
こと遠距離戦に置いて、遠近感覚を喪失したレ級は圧倒的に不利となり
「空母型艤装を舐めるな!」
一気に飛び下がったハウンド1の恐るべき連射により、艤装の継ぎ目やビス留めの留め具部分など、構造的弱点を次々に狙い撃ち、装甲を少しずつ破壊していく
レ級は確かに、非常に強力な深海棲艦ではあった、それは改造体にする前から
艦娘たちが散々に辛酸を舐めさせられているが故に、よく知っている
だが、レ級改造体は
何故ここにいるのだろうか
ここには人はいない
先に察知されていた突入に備えて
すでに退去していたのだろう
ならば何故、
レ級改造体はここにいたのか
そう、改造体が成功を収めたモデルケースなのならば、それは退去に伴って回収されていて然るべきだろう、少なくとも、その技術を奪われる可能性と、単純に成功品を喪失する可能性
どちらもリスクであるし、どちらの結果になっても結局回収は不可能になるのだから、ただ置いていく訳はない
思うに、このレ級改造体は
失敗作なのだ、故に放置されて
無人の研究棟の中に置き去りにされたのだ、体の良い厄介払いとして
「…故に、失敗作として、廃棄を採用するほどの欠陥がある、そして、お前の欠陥
お前の弱点はこれだ!」
コピー・祥鳳の艤装が滑走路を展開
弓に番えられたのは九九艦爆の矢
それはすぐさまに射出され
艦載機 九九艦爆が顕現する
「ウルサイ!」
「まだだぁっ!」
「お前の相手は俺だ!」
即座に対空に切り替えて
爆撃機を落とそうとするが
ハウンド2.3のどごん、ばごんとレ級の装甲を凹ませる拳が機銃を破壊し、滑走路もひどく破損し、もはや対空攻撃は不可能な状態にされる
「お前の弱点、それはな
対単体の戦闘に特化し過ぎたために柔軟な思考能力を失った事だ、
目の前のタスク一つにしか集中できないどころか、それ以外の物が視野に入らず、見えていない」
九九艦爆の急降下爆撃がレ級の装甲を破砕し、さらにダメージを刻む
「そんな視野狭窄に陥った事で
俺達を見失った」
「ダマレェェェッ!」
顔を歪め、拳を振りかざし、
ハウンド1に襲い掛かるレ級
しかし
「山城のパワーを…舐めるな!」
「クソクソクソクソォオッ!」
コピー・山城艤装をフル稼働させたハウンド5が、その拳を受け止めて
「もう忘れたのか?…俺たちは、一人じゃないんだぜ」
どこまで行っても一人でしかなかったレ級に、全方位からの一斉砲撃が着弾する
それは、すでに装甲を失い
防御を無くしていたレ級には、耐えられるものではなく
レ級改造体は、ついに艤装完全破壊を起こした
「コンナ…コンナ馬鹿ナ…私ハ
私ハ…成功シタノニ…艦娘ナンカトハ…中途半端ナ失敗作トハ違ウノニ…!」
床に血とオイルを撒き散らして
砕かれた艤装の破片を握って
それでもなお、立とうと足掻くレ級
「私ハ最強ニ…最強ノ戦艦ニナッテ!コノ世界カラ…争イヲ無クシテ…見セルッテ
アノ人ニ…司令官ニ…約束…シタノニ!」
夥しい血を溢して
もともとは薄緑だったリノリウムの床を赤く染めながら、ただの重りと化した艤装を支えに立ち上がる
「…ケナイ…」
もはや役に立たない滑走路をパージし
動かない尻尾を自切する
そして
砲門を開き照準を合わせ
何度も、何度も繰り返した通りの手順を経て、砲撃を行う
その瞬間に、彼女は力尽きた
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