戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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煙に巻く

時間は少し戻る

電磁遮断バリアで通信が分断され、ハンドラーとの通信が途絶したハウンドチームが、二階へと突入し、そしてその時、博士の護衛として一階に残ったハウンド4の視点

 

 

 

「…というわけだ、現状ではデータの通信は回復しているが、やはり電磁遮断バリアは消えていない」

 

「了解した」

 

声の先に、動揺の影は見受けられない

やはり、その程度のことは織り込み済みであったということだろう、

ハンドラーは頭がいい

自分で考えなくてもいい事はハンドラーが考えてくれるからそれで良いのだ

 

「…これからはどうしようか?」

〈…大丈夫だ、問題ない

とりあえずはまず、その情報の送信完了まで待機してくれ〉

 

「了解、とりあえずありったけの痕跡や情報を送るように探してみるよ」

 

通信を一時停止して

まだ探していないか、調査の手を深くまで入っていないところであろう、施設の奥の方まで資料を探しに向かおうとしたハウンド4

 

その瞬間であった

「下がりたまえ!」

 

唐突に、メディックの声が響き

そして、その時に反射的に下がっていなかったら、自分は艤装ごと粉々になっていただろう

 

「…なんだ!?」

「分からないなら黙っていたまえ、これは…やはり、インビジブルボムだな」

 

耳慣れない兵器らしき名前に

鸚鵡返しになるが、それでも問いかける

 

「インビジブルボムってなんですか」

「その名の通りinvisible (不可視)の爆弾だ、私のセクションとは程遠いセクション8で行っていた、『艦娘によらない深海棲艦撃滅兵器の研究開発』に関わっている、外装を視認性の低いデザインにして、さらにその上に背景を投射することで擬似的に不可視化しているらしいが…到底実用的とは思えない、という評価はどうやら改めざるを得ないらしい」

 

焼け跡から手を離したメディックは

手元からタバコを取り出す

紙巻きのロングタイプ、銘柄はセブンスターだ…意外と安物なんだな

 

「私はセブンスターよりマルボロ派なんだがね…そうではなく、とりあえずこれで煙を使った感知を行うのだよ、背景色の投射を行うタイプの光学迷彩を採用しているのならば、一部だけやけにクリアーな場所が出てくるはずだ、そこに爆弾がある」

 

「…地雷撤去みたいだな」

「実際、似たようなものだよ…この爆弾はおそらく自走式、たとえ発見しても警戒をおこなるなよ」

 

「了解した」

 

タバコを蒸かしては煙を撒くメディック、その技術は如何なるものか

いつも吸われているだろうそれとは比較にならないほどの量の煙を発生させ

一箱分の20本を使い切る前に通路に充分な量の煙を充溢させて見せた

 

「…私の趣味では無いからと吸っていなかったのが良く出てくれたな」

 

苦笑しながら吸殻を捨てるメディックは、そのままの流れで隠蔽を施されたままのインビジブルボム?に近づいていって…蹴り飛ばす

 

爆発するより前に射程外に下がったことで空撃ちとばかりに無駄に爆発してしまった自走式の爆弾は、どこか哀れですらあった

 

「……よし、奥に進もう」

「たしかこの奥は保管庫と薬剤準備棟だったね、よし…進んでみようじゃ無いか」

 

意外にも乗り気であるらしいメディックの了承を受けて、とりあえず、

薬剤の保管室やらなにやらがあるらしい一階の奥へと進むことにした

 

「………ここもか」

 

やはり廊下にはインビジブルボムやら起動状態の無人複製艤装やらが存在しており

武装化されてトラップハウスもかくやという程に化けていたため、酷く歩きづらかったがそれについてはやはり、リミッター解除していないとはいえ、艦娘の艤装の電探を使えばどうということはない

 

「…本当に艤装頼りなのは辛い事だが、まぁ仕方ない」

 

メディックはそんなことを言いながらもコピー・間宮の艤装を展開している

電探での探査能力に関してはコピー・矢萩のそれよりも上であるその艤装を惜しげもなく使って、次々にトラップを発見、破壊していく

 

「…よし、これで進めるだろう?」

「本当に頼れすぎる研究者だ…」

 

あまりにも頼れるメディックのせいで、気を抜きそうになってしまうが

そこは気合を入れて耐え凌いだ

 

 

 

奥の部屋にたどり着いたところで

すぐに扉を開けるのは自殺行為

まずは爆弾を警戒しつつ、扉に接近し、その有無を確認したら、扉にある程度の衝撃を与えて、扉が動いた際の反応を確かめる

 

爆発や加熱などが無いことを確認して

ドアブリーチャー(ショットガン)を使って、一気にドアを開ける

このショットガンは別名『マスターキー』と言い、火薬量や弾の材質を弄って

ドアの蝶番や鍵を破壊することに特化した改造を施している

 

「突入………?」

 

そこにいたのは、上半身裸の女性

扶桑によく似た美女だった

 

「………?」

「これは………」

 

彼女は鎖で腕を拘束され、地面から少し足が浮いているように見える

もはや動くこともできないのだろう

その顔は俯き、目は伏せられ

わずかな生気も窺えない

 

「…どうする?」

「決まっているだろう、確認する」

 

メディックはそう答えて

扶桑(仮称)へと歩いていく

 

「…聞こえるかな、レディー?」

 

その様子は、間違い用もなく事案だった




活動報告で七夕編の登場キャラ募集中です

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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