戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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喜怒哀楽

爆発音が響いていた二階は

レ級討伐によって静かになり、逆に一階が騒がしくなった事で

撤退行動に移ったハウンドチームとハウンド4が合流、そして一階に戻り

 

そこで見たのは

夥しい数の爆撃機が幾度も爆撃を繰り返す様子だった

 

「…これは…?」

「提督の援護よ、これだけの数と練度の支援はそうそうないわね」

 

「そもそも君は?!」

 

「…私だ」

 

叢雲の姿が一瞬ブレて

メディックの姿が重なる

 

「ええっ!?」

「マジか……」

「複製艤装に書き換え機能はないはずだが?」

 

訝しげな声のハウンド2に

叢雲は笑顔で応える

 

「単純なことよ、私の艤装が複製品じゃない本物ってだけ」

「…おいおい、じゃあメディックは本当に…」

 

驚愕するハウンドの全員の言葉を代表するハウンド1に、表情を消した叢雲が返事をする

 

「そう、彼は私の、叢雲の艤装適合者なの…いえ、私がそうしてしまった

というのが正しいわね」

 

後半は聞き取れないほどに細かく

小さな声で、呟く

 

「それで?」

(私たちはそろそろ燃料が足りないので帰らせてもらいます!)

(そういん一時撤退でーす!)

 

艦載機達が去っていった後

残されていたのは、粉々になった炭の塊と、折られた槍と砕けた主砲

私の艤装の壊された痕と

…そう、深海棲艦の艤装と融合したという研究員の成れの果てだった

 

「これは一体…」

「ここで何があったんですか?」

 

 

「えぇ、順を追って説明する…っ!」

私に説明を求めて来たハウンド4を、無理やり押し倒して突き倒す

 

その頭上を、砲撃が掠めていった

 

「まさか…」

 

「くひひひぃっ!この程度でぇ…私は死にはしませんよぉー?なにせ私はぁ

深海棲艦と融合し、合一し

そしてさらに超越した!

死を超えた存在なのですからぁっ!」

 

灰か、それとも炭かも判然としない単なる『焼けたナニカの塊』から

それでも復活して見せたその男は

真っ白に染まった肉体と

黒く変化した鉄の塊を操って

酷くぎこちない動きで、しかし正確に狙った攻撃を繰り出して来る

 

「っ!」

 

「死に損ないの分際で…こいつっ!」

「なんなんだこりゃ…?どう見ても人間じゃないってのに出て来たのは人型

んでもさっきのは炭だったし…」

「知るか、死なないんだったらもう一度殺してやるだけだろうが」

 

再殺部隊か

 

〈まぁ、それが正しいんだろうな

あの死に損ないを、もう一回地獄の淵に叩き込んでやろうか〉

 

「しかし…灰の塊からも蘇って来る怪物をどうやって殺す?」

「そりゃぁ…そうだな、艤装のコア?ってやつを破壊する、とかか?」

 

「そうだな、艤装コアを破壊するのが一般的なワンパン撃破方法なんだが

問題はそのコアに接触する事ができるのは艦娘と妖精だけらしい、俺達じゃあ無理だろうよ」

 

自分たちで確実な勝利の道を否定しながらも、彼らハウンドチームは余裕な表情を崩さない

 

それは、自分たちの勝利を確信するが故か…それとも、

 

「なら再生できないくらいに潰す!」

「それが一番いい方法だな!」

 

相手が人である事など考えていないかのような速度で襲いかかって行くハウンド2とハウンド3

 

「「アサルトコンバットパターンAA!」

「「「了解」」」

 

打てば響く、理想的な連携で

前衛2後衛3の陣形を作り

そのまま火力を集中していく

 

「なんだお前たちぐぁぁっ!

邪魔をするながぁぁっ!ごぶはぁっ!」

 

立ち上がったその瞬間に爆砕され

再び立てば潰される

 

酷い音と共に地面に叩きつけられたそれは、しかし流体のように艤装を再構成して再び襲い掛かっていく

 

「遅い」

「軽い」

 

ハウンド1とハウンド5がその間に割って入り、強引に弾き飛ばす

 

火力に長ける二人の直接攻撃は

さぞかし堪えるだろう

 

〈第二次攻撃隊の到着には少し時間がかかる、すまない〉

 

「いいえ、送ってくれただけでありがたいわ、謝らないで」

 

叢雲の声が聞こえる

先ほどでと打って変わって安定した通信で、その声ははっきりしている

 

「しかし…これはキリがないな」

 

ハウンド5の言葉通り、

あれほどまでに叩いたというのに、なおも再生している

 

「こういう時は大概…」

〈外側に回復役がいるんだよな?レーダーを使わせてくれ〉

 

「了解」

 

時間切れまでにこれを倒せなければ力を失った艤装をただ抱えただけのお荷物行きである、曲がりなりにも戦艦のパワーを発揮している相手がいるとなれば

危険極まるという他にない

 

「…………………まだか?」

 

〈もう少しで索敵範囲の限界まで走査できる…あったぞ〉

「どこだ!?」

 

〈落ち着け、ハウンド5、3

壁と床をブチ抜け、場所は…ここだ!〉

 

「「了解!」」

 

指示に従い、側面と下の壁床を破壊するハウンド、そしてその先には

 

艤装を奪われ、円筒の中で頽れているタ級がいた

 

「なるほど!」

「よし!」

 

「…させないんだよなぁ」

 

二人がタ級の眠る円筒を破壊しようとしたその瞬間、氷の壁が形成される

 

「なんだ!?」

 

「…光学迷彩服(オプティカル カモフラージュ・スーツ)  解除(リ・ムーブメント)

 

どうも、皆さん…881研究室、第七席の慶喜(キョウキ)(ショウ) なんだよなぁ」

 

その男は、突然何もない空間から出現した…いや、潜伏を解除して現れた

 

「皆さんはここで、死んでもらうんだよなぁ」

「第7席…!」

 

「ボクの担当する第11セクションは…艦娘と深海棲艦に…新規に現代兵器を搭載する研究をしてるんだよなぁ…その男の融合型艤装にあるショックウェーブ砲も、今使った瞬間凍結剤も…ボクのところで作ったんだよなぁ」

 

「……」

 

「ボクには特に皆さんへの恨みはないけど…死んでもらうんだよなぁ」

 

 

「させん!」

 

再度放たれた瞬間凍結剤を

メディックに戻った叢雲が防ぐ

 

「私の白衣も防刃、防弾、冷却・加熱耐性がある、-150°cまでなら問題はない!」

「そんな旧式の白衣で…何が出るかいってみるんだよなぁ」

「そして私を忘れているぞ貴様らぁっ!」

 

慶喜が戦闘に加わった事で

花油も戦闘に復帰、

戦場はここに来て、混沌とした様子を示しつつあった




はい、というわけで
初期主人公のキャラ『慶喜 笑(翔)』を敵役に再利用しました
…うん、名前で笑ってはいけない

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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