戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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百合の間に挟まるのはNG

溶けた肉に引き摺り込まれていく第六席、慶喜を見捨てるか、それとも

助けるかで一瞬目を見合わせたハウンドメンバーだが、俺の沈黙を得てか

結局見捨てる方向に固まったようで、引き摺り込まれていく姿と絶叫を見届けたのち

 

「…どうする?」

「火炎放射器とかないか?」

 

「さすがにそりゃあないだろう…でも砲撃が有効とは思えないしな…」

 

各々の意見を交換しながら少しずつ下がって行き、それをついに肉塊が捉える

 

「まっず!」

〈「撤退!」〉「了解っ!」

 

〈無駄かもしれないけれど、爆撃してみるわ〉「頼んだ!」

 

現場の状況は混乱しているが

だからといって俺が混乱するわけにはいかない

(オペレーター)は常に冷静でいなければならないのだから

 

 

「やった!爆撃成功だ!」

「馬鹿っ!言うな!」

 

〈状況はどうだ?〉

「…消し飛んだ肉が再生しやがったよチクショウ!」

 

悲鳴じみた声と共に、視覚からもその状況が伝わってくる

 

黒い肉塊が押し寄せてくるなんて気色の悪い事で…いや、まずは対策を考えないと

 

「連続で爆撃して、ぶっ飛ばすってのはダメなのか?」

〈ごめんなさい、爆弾の数がもうあまり残っていないの、長くは続けられないわ〉

〈回収、再爆装を続けてるが、やはり時間がかかる!再出撃には10分はかかるぞ!〉

 

「チッ!二人ともアテにはできないか!プラン2はナシだ!一気に撤退、その後建物自体を爆破するぞ!」

 

ハウンド1の叫びと同時に

叢雲を含めた突入メンバーが全員エントランスから撤退する

 

「どうやって爆破するんだ!?」

「当然、山城の主砲なら壁を砕ける、それを使って柱を爆砕する!」

 

時間切れの近い山城の艤装でもその程度なら可能か…?わからないが、

今の俺にできることは何一つ無い以上は仕方ない

 

〈姉さんはどう!?〉

〈回収にも時間がかかる、再出撃させている余裕はないわ〉

 

純正品の艦娘の姉さんでもダメなのか…いや、どうしようもないことは諦める他にないだろう

 

それをいちいち悔やんでいては機会をとり逃してしまう

 

「時間切れが近い、あまり無理はできないぞ!」

 

「分かってる!だがやるしかない!」

ハウンド1、5の声と同時に

俺は確認した限りの柱の位置情報を送る

 

〈情報の転送完了した!一番近い柱とデカい柱を順に狙ってくれ!細いのは後回しだ!

構造上4〜5本外せば自壊する!〉

「了解っ!」

「撤退急げ!建屋から出るぞ!」

 

外へ出たハウンド5は、既に時間切れ間近な状態の艤装を無理やりに動かして

柱を強引に砲撃しようとする

 

「ダメだ!まだ中には扶桑さんが」

〈助けられる状態じゃない!〉

 

ハウンド4がそれを止めようとするが

やはりすでに止められるような状態ではない

 

「来るぞ!」

「…すまない」

 

砲撃をキャンセルしたハウンド5、再度突入のために走り出す

「な!戻れ!」

「すまん!たとえ艤装だけの関係だとしても、『姉様』がいるなら

俺は助けに行かなきゃならない!」

「命令違反になるぞ!」

 

次々に静止する声が上がり

 

〈行かせてやれ〉

〈行かせてあげなさい〉

 

俺たちはそれを止める

 

「な!ハンドラー!なぜだ!?」

〈ハウンド5のコピー艤装はもう時間切れ状態、ろくに動かせるような状態じゃない

無理やりに動かすにも、精密な照準なんて付けられないだろう、だから目標に接近しようと言うことだ…それに、純粋に扶桑を助けに向かったと言うこと以外にも、扶桑ならば山城艤装でも使える可能性はある

そちらに賭けたんだろう」

 

俺の言葉に立ち止まるハウンド2

 

無理をして追いかけようとしていたのだろう

 

「山城の艤装はともかく、既に時間切れ寸前の状態で、あの肉塊は超えられるのか?」

〈わからないが、成功したらそれでいい、失敗したのなら…自爆装置を起爆する〉

 

「………了解した

帰ってこいよ、城滝…」

 


 

「…回り込むか…おいハンドラー!場所はどこだ!?」

〈一回の奥、突き当たりに右の部屋だ、だが隔離されているぞ!?〉

 

「関係ないね!」

 

聞こえてくるハンドラーの声に叫び声を返して、欲しい情報を催促する

良くない事だ、命令違反だ

だからなんだ?

 

俺は俺に協力してくれた山城の頼みを受けて動いている、山城の姉様がいるのなら

助けたいと言われるのは当然で

俺がそれを拒否する理由はなかった

俺達はどうせ自爆するんだから

ここで命令違反なんてしても何も変わらない

 

だが、だからと言って

山城の姉様を見捨てるような真似はできない

 

「うおぉぉぉっ!」

 

飛び上がり、天井に足をつけて跳躍

壁に、天井に、壁に、柱に

次々に跳躍を繰り返した先に…ようやく、肉塊に侵されていない場所を見つけた

 

「よし!」

 

生身の身体能力ではそろそろ限界と言ったところで見つけたその空間に迷わず飛び降り

そして、再度走り出す

肉塊の侵食は限界を知らないようで

いまだに広がり続けている

 

走らなくてはならない

 

「…っ!」

〈アレだ、右側の黒いプレートがかかった扉、あの中に扶桑がいる〉

「!」

 

そしてハウンド5は、城滝は

迷うことなく、その部屋へと飛び込んだ

 

バゴォォン、と扉を蹴破るように開けて、その姿を捉える

「姉様ー!」

 

大声で、叫ぶハウンド5に

しかし応答はない

 

「この壁の強度は?」

〈すまん、それ、多分耐衝撃型の強化ガラスだ〉

 

つまりは姉さんの爆撃がないとどうにもならない強度ということなのだが

それにもめげる様子のないハウンド5は、動かない艤装を無理やりに動かして

砲を向け、ガラスに砲撃をぶつける

 

「オラァッ!」

 

何発か撃ったあと、ついに弾が尽きたのか、砲が沈黙し…ガラスにはヒビが走っていた

 

「このぉぁぁっ!」

 

最後に、叩きつけた拳がついに限界を超えた強化ガラスを破り、

 

「砕け散れぇっ!」

 

拳を血に濡らしながらガラスを砕く

そして

扶桑(姉様)!起きろ!」

 

叫びは届く

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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