戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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たまにはこんな日があっても

はぁ………疲れた…

 

仕事を頑張った結果、

午後の時間だけでとりあえずの仕事は終わったので、一旦酒保に来ている

 

「あ、提督」

「よう夕張」

 

たまたま酒保に来ていたらしい夕張と鉢合わせして、挨拶と同時に一歩下がる

 

「あ、失礼します」

 

夕張は去り行きがてら棚のビールを取っていった…

 

「あ、夕張」

「なんですか?」

「そのビール、アルコール度数見たか?」

「見てますよ、5%です」

「把握してるならいいんだ」

 

そのまま話を打ち切ろうとした俺に

夕張の方から声が掛かる

 

「もしかして私、自分の飲む酒の度数も把握してない子だなんて思われてたんですか?」

 

ちょっと不機嫌顔だな

 

「純粋に心配だっただけだ

夕張ならよくわからん酒を利き酒、とか洋酒日本酒ちゃんぽんとか意味不明なことをやらかしそうでな、銘柄すら把握していない酒を興味本位で呑んだりはしそうだな、と」

「そんなことしま……す」

 

「そこは否定しろよな…」

 

夕張とそのまま分かれて

俺も林檎ジュースを購入

 

森林部で取れる林檎や蜜柑は最近値崩れしているので比較的安いが、それも困り物

なので、一定の値段で官社や鎮守府でも加工品を販売している

流石に生は持ち込めないからな

 

[ん、提督さん、ジュースにしたの?]

[俺は酒飲まないからな]

 

パッと選んだだけの林檎ジュースだが普通に美味そうだ…酒保担当の明石は何やら驚いたような顔だったが、何かあったのだろうか?

 

「…最近は暇だし、大佐になって少しは余裕も出来たしな」

 

自分に言い訳しながら

ドックへ向かう

とりあえず暇つぶしがてらにジュースでも飲みながら艦隊クエストでもやるか

 

[カンクエ?……あぁ、入渠ドックに置いてあった暇つぶしゲーム?

提督と明石で作ったっていう]

[そうだよ、ちょっと前までは俺も最強の一角だったんだぜ?…もう多分キャラ消えてるけど]

 

設定が世知辛いせいで頻繁に死ぬし、死んだらキャラロスト…とは言ってもレベル1の初期装備に戻されるだけで、厳密に言えばキャラが消えているわけではなく、迷宮方式なのだが…

 

[へぇ…提督さん、私もやってみたい]

[いいぞ、で、キャラはどうする?]

 

基本的に艦娘は自分そっくりのキャラを作って自分の名前にする子と

別人キャラを作ってロールプレイする子に別れるが、圧倒的に前者が多い

後者は漣などのゲームに慣れている艦娘だったり、大淀(普段遊んでいないからか、デフォルトの詰め合わせのようなキャラになっていた)

のような頻繁にゲームしない子が多いのだ

 

「瑞鶴はどうする?」

[まって私が作るから体貸して」

 

[あいよー?]

 

体だけ貸してドックに向かって

二人して座り込む(体は一人分だが)

 

「んでね…体はそうね………こんな感じで……」

 

パラメーターをいじって

順調にキャラを作っていく瑞鶴

その進捗はと言うと………

 

[お前、もしかして]

「なんか悪い?私の体なんだからこれでいいじゃない!」

 

[いやなんでもない]

 

そのキャラクターは、なんというか

ごく一部だけが『ぱんぱかぱーん!』な事になっていた

 

「よし出来た!見てみて提督さん!」

[おう、可愛いことは認めてやろう]

「私そっくりでしょ!?」

 

[一部分以外はな]

 

そう、本当にそのキャラクターは

初めて作ったキャラとは到底思えないほどに完成度の高い、しかしそれゆえに一部分に強烈な違和感を感じさせる体型を持ったキャラクターだった

 

「もちろん使うのは剣よ!」

[そこは弓にしろよ!?]

「いやよ、現実と被っちゃうじゃない、せっかくだから現実では使えないものも楽しんで見たいのよ」

 

[なるほど]

 

瑞鶴がニヤニヤしながらコントローラーを操作して、初期用のチュートリアルを終わらせる

 

[意外と筋いいんだな、瑞鶴は]

「そう?このくらい簡単よカンタン]

 

どこか得意げな声の瑞鶴は

次々にフィールドモンスターを狩っていく、なんというか…わりと容赦なしにやっているようだな

 

「アハハ、死ねぇ!」

 

どこか声が狂気的に聞こえるのは、俺の気のせいであって欲しいところだが

なんというか、事実なようだ

「ダンジョン…っていうんだっけ?

地下はちょっと苦手かな〜?」

 

とか言いながら進むのには(俺のアドバイスがあるとは言え)十分なレベルと装備を用意して淀みなく攻略を進めていく

この分だともう少しでエリアボスのラース・アン ジャイアント(激怒するなりそこないの巨人)

や、次のボスアンネイムド・コフィン(貴女のための棺)までは到達してしまいそうだ

 

…とはいえ、さらに次のボス

ルナシスノミコン(狂奔の教本)は遠距離から攻撃するタイプ、加速や魔法抵抗系のスキルで強引に接近するか、魔法や弓矢などの遠距離攻撃を狙うかの二択となるため、片手剣士である瑞鶴単独での突破はほぼ不可能だと思うが

 

「さて、このでっかいのは潰していいんだよね」

[あぁ、やっていいぞ、瑞鶴]

 

案の定トラップを突破して

ラース・アン ジャイアントを攻撃し始める瑞鶴、短いスカートがひらひらしているが、ゲーム上であるので見えない

 

「よし、…っ!」

 

攻撃を受けるタイミングで体が動いている瑞鶴、少し可愛いところが見られた

 

[そいつは頭と四肢付け根が斬撃のウィークポイント、射撃なら頭と心臓周辺、魔法ならほぼ全身なんだが]

「オッケー、動脈切ればいいのね」

 

判断がバイオレンスすぎないか…?

いや、別に構いはしないが

 

 

「いよし勝った!」

 

40分ほどのち、瑞鶴は三階のエリアボス、ルナシスノミコンに勝利していた

刀一本で

 

「お前本当に転職したら?」

[ちょっと性に合うだけよ、本業にはしないわ]

 

レベルも上がり、二次職業『侍』に転職した瑞鶴は、まさかの無双してしまったのだ

『無刀』という格闘スキルと刀スキルの複合スキルで格闘戦に持ち込み

魔法は1ドットを見極めて切断する

…本来は三次職になってから解放される『断魔剣』スキルの再現である、

最もシステム上は誰でもできるのだが

迫ってくる魔法の中心点にだけ一撃を叩き込むなどという超絶技巧を見せつけられた俺は舌を巻くほかになかった




一日中遊んでいたっていいのよ
だってわたしがいるじゃない!
(ダメ夫を甘やかす妻の香り)

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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