「んぁー…負けた〜」
[だから言ったじゃないか、第10エリアボスの
瑞鶴は、第10のエリアボス
つまりはこのダンジョンの最下層のボスである巨大な鉈と大木槌を備えた奇怪な人形をもつモンスター『聖なる断頭台』に苦戦し
ついに敗北を喫していた
[…むぅ…]
「むぅじゃない、可愛いからいいけど、俺の体でやったらただの怪物だからな?」
一応釘を刺しておく
さすがに『瑞鶴の年相応な行動』を25歳オッサンである俺の体でやられたらたまらない
ウワキッツでは済まないのだ
「そろそろ消灯時間だし、帰るか?」
[えぇ〜?]
「えーじゃないよ、さっさと帰って寝る」
俺の体でもあるので
当然ながら明日も遠征班の編成や哨戒中の連絡に備えての即応態勢の維持
帰ってきた子、行ってくる子達の艤装の修理及びメンテナンス
書類の処理や確認、最近流行っているというウイルス対策のための検疫及び鎮守府内の清掃といくらでも仕事があることは納得してくれているのだろう瑞鶴は、一応頷いてくれた
ドックを出た俺たちは
鎮守府本棟に向かいながら
最近は夜でも暑くなってきた空を見上げる、そこには綺麗な星々が見えた
「…もう夜だな…本当に」
[今日は夜戦って言われなくて済んだね]
「いやわからないぞ、あいつは俺の布団にダイレクトアタックして来る可能性も否めないし、それ以前に帰還中を強襲される可能性もある]
やれる事はやった、と言える状況でもなお潜入を完遂してくる川内には頭が下がるが、それでも安眠の確保という最重要課題を妨害されるのは困る
と話しながら帰っていると
もう自室に着いてしまったので話を切り上げて、寝ることにする
「よし、風呂入って寝るわ…おやすみ」
[おやすみ、提督さん」
以前の川内との魂融合状態は接続が深く、魂自体を破壊しない限り不可分だったのだが
その分互いの感覚が近く、体も自然と操れるくらいに同一化していたため、
風呂だのトイレだのに特段の問題はなかった…(『自分の体』として互いに扱っていたからである)だが、瑞鶴との接続は
いわば魂の破片がシャッフルされているような状態であり、アラベスクやモザイクのように、互いの魂が混在しながらもはっきりと分離している
そうだな…例えるなら川内と俺はコーヒーとミルクのカフェオレ、瑞鶴と俺は色違いのガラス片を混ぜたような感じだ
互いを明確に分離する事はできないが
割合を傾ける事はできる川内と
極めて困難だが明確に分離できる瑞鶴
とはいえ、俺の魂の破片は細かく、一部は瑞鶴の魂に混ざってしまっているせいで、瑞鶴から分離したら俺はまた廃人状態に戻ってしまうのだが
それはそれとして
俺たちはプライバシー保護の観点には大きな問題を抱えてしまっているのだ
今のところは互いに尊重し合い、互いに見ないようにする事で凌いでいるが
いつまでもこの生活というわけにはいかない
はてさて、どうするべきだろうか?
いや、まぁ一応の策というか
草案は用意しているんだが…
それが当てになるかどうか、という事だ
うん、まずはもう寝よう
今日も夜まで暑い
「司令官、起きてください」
「ん、おう」
今日の朝起こしにきてくれたのは…吹雪、笑顔が似合う素敵な駆逐艦だ
「おはようございます、司令官さん!」
「おはよう、吹雪」
早速朝の挨拶を済ませて
顔を洗いに行く
間宮さんの朝食…また今日も何が出るかわからないが、それも最近は『アタリしかないルーレット』と割り切っているので構わない
それても夕食はうどんが食べたいのだが…
「ダメです」
「直接脳内を…?」
「提督が何を考えてるかなんて読み取れて当然ですよ、何日ご飯作ってると思ってるんですか?食べる側の思考や行動の法則性くらいは分かりますって…提督は本当に
「そう…なのか…」
間宮は自分の出した飯を食ってる人の行動がある程度把握できるらしい…?
意味がわからないぜ]
[わたしも分かんないわよ?!]
瑞鶴に抗議されながら朝食を終えて
今日の遠征メンバーを確認する
「んっと…三日月、時雨、松風 夕張ね…みんなバラバラだけど、大丈夫かな
しかも夕張ドラム艦だし」
俺が帰ってきた時に
知らないうちに海図が更新されていた
そう、俺の記憶の中にある『艦これ一期』の海図から、『艦これ二期』の方の海図、勢力図に変わっていたのだ!
[しっかし、なんでこんな急に配置が変わったんだ?オリョクルが流行りすぎたせいか?]
[違うわ、多分私が死んだからよ
[にしちゃあ不安定な戦力分配だけどな…まぁ戦力の集中してるところには基本二つ名持ちがいるしな…]
[今誰が残ってたっけ?]
[目立ったところでは
[一応私も数えられてるからね?私にもちゃんとした二つ名あるからね?]
[おうおう、よかったな
[なんか不機嫌っぽい?
あ、
夕立っぽいトーンでぽいしながらさらに追加の名前を出していく瑞鶴
そういえばこいつも二つ名級だったな、討伐完了後に名前がついた珍しい例だけど
…というか、アレか?俺の魂が混ざって意識をこっちに引っ張ってるから
実質再生復活は無しなのか?
だとしたら俺功労者すぎんだろ…
ため息をついて、一度思考を切り替えてから出撃命令を出す
「よし、時間になった
遠征部隊、出撃してくれ!」
《了解》
遠征部隊を出撃させて
その勇姿を見送った俺は
………昨日片付けたところから再び増加している書類の山に手を掛けた
600話記念番外編は
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しぐ……しぐ……