戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

414 / 649
緊急建造

上に重ねられた新しい書類の中かは適当に手に取って、重要度を分類しようと見ると

 

「あん?…大本営からの指示書?」

 

そこに書かれていたのは

大本営への出頭命令と建造の命令だった

 

「…最重要だな、しかも今日届いて出頭時刻明日の10:00って、無理かな?」

 

まぁ、間に合わせなきゃ困るのはこっちという事で、努力せざるを得ないんだが

 

「んで、建造は…大型建造の試行?何言っちゃってんのこいつ……」

 

大型建造、大型の艤装(正規空母や戦艦など)を建造するために従来の艤装の建造よりも資材の投与量を増やした相似拡大型の建造方式

つまりはまさしく『大型の』『建造』なのだが、これを今更試行?

だいぶ前に実装されてただろうに

まさか大本営でのデータ取りもしてないってのか?それとも単純に資材があるウチに圧力をかけるために大型建造をさせて、結果出てくる艦娘に関わらず資材を削るってのが目的なのか?

 

「まぁ…試してみるしかない…か?」

 

正直今のままでも十分戦力は足りているし、今更になってまで建造に固執する必要はないのだけど…ゴーヤやイクが増やしてくれた資材はオリョクルというある程度安全な資材回収方法が失われてしまった現在、補填にも時間がかかるし…

 

(けんぞう!けんぞうするんですね!)

(ききました)

(流石に気分がこうようします)

(バーナーいったくよ)

 

鎧袖一触な?バーナー一択って高速建造材つかえって事か?…

 

明日出席する会議もあるし

時間によってはそうなるけどな

 

「さて、みんな、建造しに行こうか

明日の会議はどうも俺も出なきゃ行けないみたいでな、その同伴に大型建造の試行で出てきた艦娘を指定されたんだ」

 

(おーぼーですね)

(れんどの低い艦娘をつれてるってバカにするつもりでしょう)

(なんくせつけられるのは覚悟しないといけませんね)

 

妖精達も顔色が良くない

だが、これも命令

やらざるを得ないだろう

 

「大型建造、頼んだ」

 

(了解です!)

(たくあんください)

(それなら頑張れます)

 

お前らなあ…まぁいいや、

どうせ大型建造で出てきた直後の子しか連れて行けないといっても、

瑞鶴は脳内オート付随である、護衛として正規空母を連れて行くのだから特段の不足もないだろう

「はいはい、たくあんは間宮に頼んでやるよ」

 

(それじゃあ建造開始!)

(秘書はだれにしますか?)

(てきとーにきめちゃお)

 

妖精さん達が適当に決めた量の資材を建造ドックに放り込んで行く

そのなかに妖精さん達も飛び込んでいき、何人もの妖精さん達がカンカンと音を立てて艤装を建造し始める

 

建造の時に中に入った妖精がそのまま艤装管理妖精に転職することが大半であるため

彼女らも栄転の機会を得た事になるのだろうが…

 

表示された時間は

5:30:00

 

「………………は?…………」

 

俺の知る限り、艦これに実装されていたキャラでこの建造時間を提示するのは一人だけ

しかし、アイオワか神威がいなければ出現しない筈で、アイオワはもちろん

神威だってこの鎮守府には在籍していないのだけれど…?

 

(それ炙れー)

(バーナーに火をつけろー!)

(ひゃっはぁー!)

(メビュームバーストー)

(えむはちじゅうななバーナー!)

 

一気に進んだ建造時間は

俺の混乱を収めるには足りないほどに早く終わってしまい、そして

出てきた艤装はやはり非常に見覚えのあるもので、すぐに適合者への接続が施行された

空母適性のある人物は割と多いらしく、人員がダブついていたらしいので

送られてくるのは早く

そして、余程適正が高かったのか

すぐに艤装適合は終わり

 

「Hello!航空母艦、saratogaです。

提督、サラとお呼びくださいね

よろしくお願いいたします」

「あ、あぁ…こちらこそよろしく」

 

結果として、俺の一言目は初顔合わせとしては落第の挨拶となってしまった

 

「クスッ…あ、失礼しました」

「気にしていないよ

少しばかり失礼な応対になってしまったのは事実だ…突然ですまないが

君には明日、俺と一緒に大本営まで行ってもらいたい」

 

「ぇ?…大本営ですか?」

「そう、日本の軍の中枢部だ

大型建造をして、出てきた艦娘を護衛として連れて来い、という命令書が来てね

申し訳ないが頼めるかな?」

 

「はい、わかりました」

 

一も二も文句もなく承諾された

「正直に言えば、あの魔窟に建造されたばかりの子を連れて行きたくはない

龍田や蒼龍あたりの実戦経験豊富な子を連れて行こうと思って居たんだが

どうも急遽大型建造の試行の命令が入ったみたいでな」

 

説明をしながら歩き

鎮守府の案内をして行く

 

「ここが食堂、向こうに見えるのが軽巡寮、こっちが今日から生活する事になる空母寮だ」

 

正規空母として一航戦(赤城・加賀)二航戦(蒼龍・飛龍)五航戦(翔鶴)の5人に加えて軽空母隼鷹、龍驤、軽空母で今は退去してしまったが鳳翔の3人

水上機母艦、装甲空母はなし

なお鈴谷のみ改二航の発現の予兆が認められているため、将来的には軽空母として扱われる可能性もあるのだが、現状この鎮守府で『空母』カテゴリに分類されるのはこの8人にサラトガを新たに加えた9人となる

 

鳳翔は第一次深海大戦を生き抜いた強力な艦娘ではあるが、やはり継戦能力を喪失している上に前例のない艤装再起動の影響もあるので戦力としては扱えないので、指南役になってもらって前線に出て戦えるのは8人だ

 

「というわけで、我が鎮守府には空母が足りない、装甲空母の大鳳であったり、軽空母の祥鳳であったり、雲龍型であったりと欲しい艦娘は多いけど

今は建造に回せる資材が足りないので諦めている、すぐに姉妹達を建造できなくて悪いが、今は我慢してくれないか?」

 

「分かっているわ、かつての母国でもないもの、月刊正規空母、なんて期待はできないわ」

「すまない…米帝式じゃなくてすまない」

 

謝りながら鎮守府を一通り周り

 

「各寮以外はこれで大体回ったな…あまり大規模な鎮守府ではないが、これからはよろしく頼む……その…本当に嫌だったら異動願書を出してもいいんだけど…」

「提督、サラは好みじゃないのかしら?」

 

「え?………タイプだけど」

「ならどうして遠ざけようとするのかしら?…あ、もしかして」

なにやら引いた顔になったサラトガの思考にこちらの考えが追いつき

俺はその内容に恐怖しながら全力で否定した

 

「俺はそういうのじゃないから!

そうじゃなくて単純に魔窟に殴り込むのにレベルが足りてない状態の君を同伴とするのが怖いだけだから!

 

どっかの知らない提督にいつのまにか誑し込まれたりしないかとかなんか言質取られて移籍させられたりしないかとか心配なだけだ!」

「大丈夫よ提督、サラはあなたの艦娘だもの、ほかの提督になにを言われても

心はずっとあなたと共にあるわ」

 

[なんか急に出てきた子がヒロイン面してるんだけど、提督さんの浮気性!]

[はぁ?!浮気?!]

 

[だってそうじゃない!大和さんとか金剛さんとか扶桑さんとか蒼龍さんとか川内とか龍田とか時雨とかいっぱい侍らせてまだ足りないの!?]

[いやまてそれはおかしい!

龍田はまず違うだろそれ!大和に至っては好意的に接しているけどそれは儀装運用のためであって][そんなの言い訳じゃない!ふん!]

 

それっきり瑞鶴は沈黙した

 

……どうやら、育て方を間違えてしまったようだ

 

「そうか……よし、じゃあまず

夕食、食べに行こうか」

「是非!」

 

間宮さんの飯は旨い、と重点的に説明していた甲斐があったらしい

一も二もなく乗ってきてくれたサラトガに、笑顔を返して食堂へ向かった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。