戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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新たなる予兆

[明日はすぐに大本営に向かわなきゃ行けない、でも練度不足を根本的に解決する手段はないよね…]

 

[そうだな、明石も一般以上にすごい明石だけど、サラトガが食べてるうちに

俺と翔鶴と明石と夕張の四人でもう艤装の兵装設計図(ユニットメイク)は作ったし、武装以外に特段に改良できそうな点も無かったしな…]

 

現在時刻は20:00

夕張と一緒に艤装を組み直しながら

改善点や改造プランの打ち合わせを進めようとして…サラトガの艤装の完成度の高さに敬服していた

 

「で、どうするんですか?」

「特にどうしようもないってのが問題だな、改造可能な艤装でもないし

改の発現も遠い、なにより練度は時間がなきゃあげられない」

 

練度を急速に上げるための錬成方法もあるにはあるが、それも数年単位の教導を数ヶ月に縮める、と言ったレベルでの話だし、もう素直に練度上げは諦めたほうがいいのだろう

 

「………あ………」

 

そうだ、方法はあるじゃないか

 

「提督?」

「サラトガの艤装のコア、これにサラトガ自身を接触させる、これで

『初期のサラトガ』から再適合してコア人格の方のサラトガを『現在のサラトガ』に上書き出来ないか?」

 

「え?…無理ですよそんなの!

相当適合率高くないとそんな事出来ませんって、過剰適合(オーバードーズ)の常時フィードバックを擬似的に再現するつもりでしょうけど、体が持ちませんよ!」

 

「…やっぱそうか、過剰適合なら初期から改二の可能性が目覚めてたりするけど、そうもいかないか…」

 

最初からダメ元でな提案であるため、切り捨てられても気にはしないが

 

「やっぱりダメか、よし!

考え方を変えよう…つまり、俺が強くなればいいんだ」

 

「[却下]」

 

「だめ!?」

「ダメです、なに考えてるんですか提督、提督はただでさえ負荷を掛けられる状態じゃないのに、よりにもよって大型艦のサラトガさんの艤装を使うなんてバカな真似はさせられません」

 

「それもそうか、はぁ」

 

一つ、ため息をついて

ゆっくりと頭を巡らせる

 

艤装の再適合でコアと直接接触させる方法は危険、俺が接触を試みるのもダメ

別の艦娘は連れて行けない、練度を急速に上げるような訓練も時間が足りない

 

「ダメだな、手詰まりだ」

「そういう他にない…ですね」

 

沈んだ声の夕張と、硬い表情の俺

低練度とはいえ、正規空母の艦娘である以上は相応の火力も有しているはずなので、スペック差と心柱の状態も加味して考えると

安心できる程度の戦力ではある

 

「仕方ないか」

 

俺はそこで思考を止めて

それ以上の思索は諦めることにした

 


 

「起きてくれ、時間だぞ提督」

 

「おはよう、長門」

「あぁ、おはよう提督

随分と早く起こしてくれと言うから気合を入れていたのだが、大本営からの出頭指示とはな」

 

「あぁ、構うことではないよ、どうせいつものチクチクした小言恨み言愚痴の類さ

今回の建造指示も多分資材削りが目的だろうし」

 

起こしてくれたのは長門

今日の秘書艦担当だ

現在時刻は午前5:00

普段が6時起床であることから考えると早いが、大本営に移動するのなら丁度、と言ったところである

 

「さて、サラトガを呼ばなきゃな」

「いや、それには及ばないぞ、サラトガならもう部屋の外で待機している」

 

「相変わらず準備がいいことで

よし、一緒に朝食をとったら行ってくるよ」

「あぁ、留守中の鎮守府は任せてくれ」

 

長門の力強い声に送り出されて

サラトガと一緒に書類をまとめたアタッシュケースを抱えて食堂へ向かい

 

「間宮さん、おはよう」

「good morning マミーヤ!」

 

「おはようございます提督、サラトガさん」

「サラと呼んでくださいね」

「あら、なら私は間宮と」

 

どうも二人は話し始めたようだが、あまり長く時間があるわけではないと言うことを忘れていないだろうか?

 

「いえ、ちゃんとわかっていますよ

今日はサラ…さんに合わせてトーストとコーヒー、山菜のサラダにスクランブルエッグです」

「なるほど、コーヒーもらえる?ブラックで…あんまり濃くないやつを

濃すぎるとあとで眠くなりそうだからさ」

「了解しました」

 

「それじゃあいただきます」

甘めのスクランブルエッグと葉野菜がふんだんに使われたサラダを頂く

野菜自体は苦味もあるが、それがトマトの酸味やレタスの甘味を引き立てる

薄めに切られた玉葱の歯応えが心地よい

 

糖分摂取に過剰にならない程度の控えめな甘みを持つスクランブルエッグは味わい深く、量も多すぎず少なすぎず、自己主張しつつも主菜の面目を立てる名脇役として輝く

 

バタートーストは単純故に技量が大きく出やすいものだが、これもまた美しい

満遍なく焼かれ、よく熱を通しながらも焦げ目の片鱗すらない美しい黄金色を見せつけている

 

「美味しい…すごいわマミーヤ!」

「ありがとうございます、これが私の本分ですから…提督、コーヒー入りましたよ」

 

「ん、ありがとう

やっぱり朝はホットコーヒーが効くな…うまいよ、間宮さんね

 

サクサクとした歯応えを崩さず

しかしバターの味と香りを染み込ませたトーストは、やはりコーヒーとよく合う

そこにサラダとスクランブルエッグが入ってくるのだからたまらない

 

 

日本基準の朝食で言えば軽い部類に入るが、しっかりと食べた感じがする

 

「八枚切りのパン二枚分ってこんなに腹に貯まるものだったか…?

いや、まずは大本営だ

間宮さんありがとう、ご馳走様でした」

「ごちそうさまでした」

 

サラトガも追随して席を立つ

 

「はい、お粗末様でした

いってらっしゃい提督、サラさん」

 

「「…はい!」」

 

こうして俺は、サラトガを伴って

大本営へと向かった

 


 

今はもう、彼だけが頼みだ

本土すぐそばに音もなく、知らせもなく出現した謎の深海棲艦

アレの討伐に向かった艦隊は全滅してしまった

 

大本営へと向かいつつあるその敵を食い止めるために、今は、彼に頑張ってもらう他にない

 

「…すまない…」

 

 

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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