「俺は鎮守府のみんなを裏切りはしない…ように務めているんだ」
「提督……」
「はいはい、そこまでそこまで
甘ったるいOhanasiは出荷よー」
突然話に割り込んできたのは
「飛鳥さん、お久しぶりです」
「うん、よろしい……その可愛いのは誰?」「ウチで建造されたサラトガです
今日あった招集とほぼ同時に建造したので練度はまっさらですが
十分に強いですから、護衛に伴う程度なら十分にこなせますよ?」
野生の獣のような目をしている飛鳥さんの視線からサラトガを隠すように立つ
……サラトガ(髪のボリューム含む)より若干俺の方が身長が低いのが辛い
「んでんで?その後の艤装は!?」
「今はそこに置いてますけど…勝手に触ったらダメですよ!」
「分かってる分かってる、今は四徹目なんだから、少しでも癒しが欲しいの〜
や す ま せ ろ」
「…お、おう……」
やむなくこれを通すと
怯えた表情のサラトガが俺を回り込んでで壁がわりにする、飛鳥さんはニヤけた邪悪な表情で執拗にフェイントを掛けて隙を突こうとするが
サラトガも戦闘中と遜色ないほどの警戒で繰り返すアプローチを回避していく
「…! ! く!」
「捕まれあたしにつかまれぇ!」
「あっ…! 提督助けて!」
「お前が憲兵に捕まれバカ」
ついに捕まったサラトガが反射的に声を上げたその瞬間、室長がなにかの本?の背で飛鳥さんの頭を叩いていた
「全く…『話し合い』を終わらせてみればバカは何をやっているんだこのバカ
サラトガ嬢はゲストだぞ
それに練度もそれほど高くはない、実戦経験にも欠けているんだ
お前の欲に塗れた視線など毒と変わらないだろうが」
「室長!」「室長さん!」
頭を押さえていた飛鳥さんと、その飛鳥さんに抵抗するために俺に抱きつく形になっていたサラトガが同時に叫ぶ
「うるさい、憲兵が駆け込んできたらどうするつもりだ?……全く
考えて行動しろとはお前のためにあるような言葉だな?そうは思わないか?」
本を持ち替えた室長によるアイアンクローが入り、あがぁぁぁっ!という絶叫を何事もないかのごとくスルーした室長は、にっこりと笑って
「まずはコーヒーでも淹れようか」
そのまま飛鳥さんをおいて去って行った
「……うがぁぁぁ……」
「頭大丈夫ですか?」
「そりゃ言い方が悪いわね……頭痛い-…癒してサラちゃん……」
「ひっ!?」
「悪いがウチのサラトガを怖がらせるような真似はNGだ」
「そのバカっこは私が引き取ろう」
叫びを聞きつけたのか、更造技師が奥の艤装部屋から出てきて…飛鳥さんを引きずって行った
「……どうする?」
「お暇するべきかしら」
「そうだな、じゃあサラトガは先に行っててくれ、俺はちょっと室長に言うことがあるから」
俺は席を立って、
サラトガを送り出した
side change
蒼羅side out
サラトガ side in
「………ふぅ……」
コーヒーは苦めだったけど
室長はいい人だった、でも残りの二人はなんなの?
「提督……絶対離さないから」
朝に貰った携帯端末はまだ手に馴染み薄く、操作も難しいけれど、
これだけは絶対にすぐに起動できるようにした、カメラ機能を呼び出す
「なにか酷い事でもされていたりしないかしら?」
アスカと呼ばれていた人は
なにやらかなり強引な性格だったし、サラツクリ?さんは鎮守府から提督を引き離そうとしている
…この二人は敵と考えていいのかもしれないわね
「…時雨に写真送らなきゃ」
サラツクリはまだ若すぎるにしても、アスカはかなりの美人だったから、そっちの方面でも敵になるかもしれない
ちゃんと対策を練らなくちゃ
「…送信完了」
ピロン、という電子音と共に写真が送信され、瞬く間に既読がつく
『誰?』
『敵の可能性がある女
大本営所属、艤装技師の〈アスカ〉』
『殺す?』『提督の同僚だから軽々には殺せない、警戒対象に指定』『了解』
端的な返事と共に追加が途切れる
時雨は警戒態勢に入ったらしい
「よし、これで」
「なにがよしなんだい?」
その瞬間、私の前に影が差した
「君には一緒に来てもらう、拒否権はない」「え……?」
上から声をかけられると同時に
薄白髪の混じった頭の
背の高い男の人が、私の腕を掴んでいた
「我が鎮守府には君のような強力な正規空母が必要不可欠なのだよ!」
「いや!離してください
私はカンナギ提督の艦娘なの!」
「黙れ!拒否権はないと言った筈だ!私は大佐だぞ!あんな技師上がり如きに劣るような事はない!さぁ来るんだ!」
強引に掴まれた手を引かれて
力負けしてしまい
無理やり引き摺られそうになる
「帰るぞ、する事は済んだ
…ウチのサラに何のようですか?甲崎大佐…お話しいただけませんか?
どうも状況が掴めないんですが
これは、どういう状況ですか?」
「…貴様が独占している強力な空母・戦艦群は本来、各鎮守府に平等に振り分けられるべきだ、故に私が直接出向いてやったんだ
ありがたく思え!」
「…?さて、その妄言とサラトガに何の関係が?」
先任と思われる白髪まじりの老年に、躊躇いもなく毒を吐くその姿は
とても大きく見えた
side change
やることを終わらせて戻ってきてみたらどうもサラトガの腕を掴んでいる奴がいる
……そんな意味不明な状況を抜けるために質問を仕掛けてみたのだが
帰ってきたのは罵声まじりの妄想
…これでは話にならない
「貴様!私を愚弄するか!」「同階級は原則同権、先任とはいえその強権発動は受けられませんよ」
誘拐紛いを諦めたのか、今度は無理やりに俺を押さえつけてサラトガを連れ去ろうとする
「ええい技師上がりが!思い上がりおって!貴様なんぞという私の権力があれば叩き潰せる程度のちっぽけな辺境鎮守府の提督如きが!
私のサラトガを建造したから回収しに来てやったというのに!なぜ従わん!」
「………(黙れ老害、お前の居場所は揺り椅子がお似合いだ…とは言えないか)
『私のサラトガ』?これは異なことを仰る、甲崎大佐はどうも現実がお見えになっていないようだ、眼科検診を勧めますよ?」
「なんだと貴様!私の視力は左目1.6だ!」
「………右は?」「0.8だ!」
「…評価C、メガネの着用を勧めます」「黙れ!」
目をネタにして弄った瞬間
サラトガに向かう握力が一瞬緩んだ
その瞬間、俺はサラトガの艤装をパージさせて
「きゃっ!」「ぐぁぁぁっ!?」
ブレイクパージで吹き飛ぶ部品ブロックに叩きのめされてのたうちまわる甲崎提督
無論、俺は回避したが
「…もっと頭を使うことですな
技術屋上がりという事は、自衛官上がりの純粋な提督のあなたが知らないことを
知っているという事でもある
一つ勉強になりましたね」
サラトガの艤装を回収して
再接続していくと
ついに出血と激痛で意識が途切れたらしい、罵詈雑言が収まった
「……憲兵は呼んでおいた
事情は私が説明するよ、サラトガは提督と一緒に帰りなさい」
「……!はい!」
ぐっ、と身を寄せたサラトガは
俺の背中に抱きつくような姿勢になりながら、すぐ後ろについてくる
「提督、早く帰りましょう!」
「…おう、これを引き渡したら」「いいからいいから、サラトガを一人にするなよ?」
「……わかりました」
更造技師が袖を振りながら
追い払いのポーズをする
「それでは、お暇させていただきます」「失礼しました」
甲崎提督は人権派で知られる提督だった筈だが…一体……
600話記念番外編は
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裏山とかの話を
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テンプレ転生者(ヘイト)
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ストーリーを進めよう
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……