戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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羽休め

「帰るぞサラトガ、急ごう

少し用事ができた」

 

「…わかったわ」

 

サラトガを伴って急ぎ足に大本営を出る

 

「車を回すから、正門の方から出てくれ」

「了解」

 

一階につくや俺は駆け出して

車を出すために急ぐ

 

「…よっと!」

 

最短経路で駐車場に向かい

エンジンをかけて、駐車場から車を出し、駐在に駐車券と身分証を提示して

大本営の正面の方に回して

 

正門の前で待っていたサラトガを回収する

 

「よし、帰るぞ

 

サラトガ、携帯持ってるか?」

「えっ!?」

 

なにやら驚いた様子のサラトガは

 

「も…持ってるわ」

「よし、じゃあ鎮守府に電話かけてくれるか?」

 

公道に出て、時速50キロで突き進みながら指示を出す

 

「多分、長門が出るはずだから

そしたら代わってくれ」

 

「電話番号は?」「書いてある」

 

胸ポケットの手帳を片手で取り出して、サラトガに渡す、艤装技師として鎮守府に着任した時からずっと持っていた、諸元情報やポイントなどを記録していた手帳である

 

「一番後ろの裏表紙の手前

そこに持ち主の記録用の枠がある、その電話番号が鎮守府のものだ」

 

さらっといいながらカーブのためにハンドルに両手を戻し、スピードを維持しながらカーブを切る

 

「…電話頼むぞ」

「わかったわ…えっと…」

 

助手席に座るサラトガを横目で見て、バックミラーに映った、背後から来る見覚えのある車に瞠目する

 

「…サラトガ、電話は中止

代わりにこいつ受けてくれ」

 

本来は禁止されている違法行為だが、走行中に自分の携帯の電源を入れて

サラトガに放る

 

そして、そのタイミングで

SNS(ソーシャルネットワークサービス)の着信音が鳴る

 

「!提督、メッセージが来たわ!」

「読んでくれ」

 

視線を正面に固定し直し

それだけ言って運転を続行する

 

「わかったわ……えっと

600メートル先に右折、公園に寄れ

以上よ」

「りょーかい!」

 

すぐじゃないか!とか

馬鹿なのか!?という感想は口には出さず、道路標識に注意して走り

右折して、本当にすぐにあった公園の隣に路駐する

 

本当はこれも違法行為だ

 

「…ここだな、よし

すまないがサラトガは待っててくれ、暑いだろうけどジュースくらいは後で買ってやるから」

「大丈夫よ、何か用事があるんでしょ?」

 

「あぁ、するべきことがある」

 

そして俺は、サラトガを残して車を降りた

 

 

 

「……よう、久しぶりだな」

「なに怖い顔してんだよ」「久しぶりね」

 

 

 

「「ハンドラー」」「ハウンド」

 

 

約一ヶ月ぶり

そう久しいわけでもないのだろうが、薄い時を過ごしていたもの同士

記憶は色濃く残っているらしい

 

「…ハンドラー、今回の話は内密にたのむぜ?」「わかってるさ、内容は?」

 

「陸奥」「えぇ」

 

ハウンド1の隣に立っていた陸奥が寄ってくる

 

「神巫提督に、教えておくことがあるわ」

 

「……なんだよ」

 

俺の想定していた距離よりはるかに近い、むしろ接触レベルの距離にまできた陸奥は、さらに顔を寄せてきて

 

「大本営の裏切り者は最低5人、うち一人は確保したわ…空亡少将が死亡

水口准将を確保、山内准将および白伏准将が裏切り者確定、甲崎大佐が推定有罪よ」

 

「…5人、それもうち三人が提督?

随分な大規模だな」

「えぇ、異様なほどに大規模よ、深海棲艦に与する愚か者が大本営や鎮守府から出てしまうなんて、嘆くべきことだけれど

いまは嘆いている暇はないわ

あなたに貴方に頼みたいことは」

 

「…最低でも一人、確保だろ?」

「違うわよ…あなたを無理に前線に出そうなんてしないわ、頼みたいのはデータの回収、要は裏取りね」

 

そっと手渡されたのは

USBメモリー

 

「…これに?」「そ、できるだけ早くお願い、こういうのは早く叩かないとね」

 

一歩離れて、陸奥はウインクを送ってくる

 

「……わかった、できるだけ早く裏を取ろう……特に、人権派で通っていたはずの甲崎大佐は気になるところだし、実害にも遭っている」

「!?」「実害だと?」

 

「サラトガを強引に連れて行かれそうになってね、おそらく指紋も残っている

とはいえ、それだけでは証拠として脆い、一応上着は保存しておいてもらって

きっちりしたデータを揃えた時にまとめて提出するよ」

「お願いするわ……それにしても、よく耐えたわね」「殴ったりはしなかったか?」

 

「大丈夫だよ、さすがにそうそう人は殴らない…後できっちりと落とし前をつけてもらう」

 

なにやら驚いたような表情の二人に笑顔で返し、USBをポケットに入れる

 

「それより俺は、二人が一緒にいる方が驚いたよ、警備課の課長と特務曹長

なんて二人が一緒にいるのさ」

 

「え、言ってなかったか?

俺、警備課に転属したんだよ」

「は?」

 

「コピー品とはいえ艤装を使える、艦娘と同じ扱いの人員ってのは貴重だからな

実働部隊に置きたかったんだろうけど、ハウンドに声かけるような奴は大概、『艦娘と別個に運用する内向けの戦力』にしようとしていたからな

身の振り方には悩んでたんだが、そんな時にな……相談に乗ってくれたんだよ」

 

頭をガリガリ掻きながら

ハウンド1 赤鳥翔少尉(昇進したらしい)が笑う

 

「翔君のことは前々から気になっていたし、どうも困ってたみたいだから

引き取っちゃった♪」

 

「んで、人事に直訴してくれてな?その人事にも手を回してあったみたいだけど、無駄にしてくれて、んで俺は警備課に来たって訳だ」

「何度もアプローチ掛けてたんだから、ようやく来てくれて嬉しかったわ

近々、シルバーリングも貰うつもりよ?」

 

「え?」

 

器用に左手の薬指を立てる陸奥に

俺よりもむしろ赤鳥少尉の方が驚いていた

 

「いや俺は下士官だぜ?」

「身分は恋愛の障碍にはならないのよ、たまたま相手が下士官だった

たまたま相手が艦娘だった

そんなものよ?」

 

「……どーもご馳走様です

甘ったるいんでもう帰りますよ」

「あ、待って!…これ、持っていって」

 

手渡されたのは、銀色の指輪

「えっと…これは」

「ケッコンカッコカリ、誰ともしてないんでしょ?そしてそれは、相手を決めきれないからだと見た…それなら、みんなの分を用意すればいい

後腐れが無いかはともかく、これで最後の一歩を躊躇うことはないでしょう?

待ってる子たちにも、ちゃんと贈ってあげるのよ?陸奥との約束なんだから!」

 

「んじゃあな!ハンドラーも頑張れ

 

……搾り取られないように」

 

それだけ言い残して、

ハウンド1 赤鳥少佐と陸奥課長は去っていった

 

「帰ろう…はぁ……」

 

とんでもない爆弾を抱え込んでしまったようだ

 

[てーとくさーん…大丈夫?]

[泣いていいかな]




赤鳥さんは止り木を見つけられたようです、でも鎮守府の艦娘たちは?

知らんな

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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