「司令官さん」
「なんだ?」
今俺は…例の指輪騒動から一週間ほど経って、誰にも指輪を渡さなかったこともあり、騒ぎも落ち着いてきた鎮守府の執務室にいた
「……ひまなのです」
「そりゃそうだ、俺が書類全部終わらせちゃったからな」
秘書艦は電、大淀や神通のように『ある程度任せる』ようなことは出来ないし
鎮守府を離れていたと言っても1日、そこまで書類は滞りなく流れていたし
そこから一週間も経っているので、既に影響はない
「ふぁぁ〜〜なのです」
「なのなの」
「司令官さん……」
「やめろ、その悲しそうな目で俺を見るな」
仕事は既に終わっている
午後からの仕事もあるにはあるが、それよりまずは艦隊が帰ってきたときの出迎えだな、今日は雨が降ってしまったから、まずはみんなのためにタオルと着替えと温かい飲み物でも用意しよう
「今日の遠征は龍田旗艦の…四人か」
いつもの睦月型+龍田なので…そうだな
「カフェオレがいいかな」
甘めにしておいてあげよう
[大丈夫?提督さん砂糖の量とか分かる?][大丈夫だよ、流石にそこまで味覚死んでないし、甘いか苦いかくらいは分かるって]
最近間宮さんの料理も味がよくわからないことが多くなってきたが、そこまでは死んでいない筈だ…それにいざとなったら各自で調整すれば良いのだし、そこまで重く考える必要もないだろう
「よし!旗艦予定時刻30分前、行動開始!」
「なのです!」
段取りに時間を取ったが
午前中のうちにある程度を片付けた以上は余裕も生まれるというもの
問題なくすべての準備を済ませて
ドック前の水路の堤防に置いた椅子に座って待機する
別段なにかあるわけではないが
技師時代からずっと出迎えと送り出しをやっていると、定席というものも生まれる、俺の場合は『艦隊を真っ先に見つけられる場所』が故にここに陣取ることが多く、いつのまにか妖精さんが椅子を置いてくれたのが始まりだった
「…みっけ!なのです!」
「おう、見える見える…」
電の無防備なパンツが見える……
[サイッテー……]
[いや、事故だから、そもそも見ようとしてなかったから!]
機嫌の悪い瑞鶴はふんふんと息も荒く詰め寄ってくるが、なんとか躱して
「おかえり、みんな」
「帰ってきたわよ〜」
「ただいまにゃし!」
「ぷくー!」
「うふふっ」
後半二人は返事になってないが
まぁスルーして、
とりあえず迎え入れる
「今日は雨だったし、みんな服換えとけよ…あと、カフェオレ用意したから
入渠前後にどーぞ」
それを聴くと睦月型の三人のテンションが無闇に上がる…なんなんだ?
「私は司令官のこういうところ、好きよ?」
「はいはい」
耳元で囁いてくる如月をスルー
「にゃし!」
ぴょんぴょんしている
後ろからとてとてと
「あ、そうそう、提督
今日は全員小破未満、かすり傷だけよ〜
それと資材の獲得量だけど〜うまく行ってくれたわ〜」
上機嫌な龍田の報告は、
たしかにありがたいものだった
「…それと、これ」
渡されたのは、USBメモリ
「不良提督のところの鎮守府の艦娘に探りを入れてみたの〜…そしたら出てきたわ
深海棲艦の影が」
「そうか…了解した、詳しい内容は資料の方を確認するよ、今はとにかく休んでくれ」
「わかったわ〜」
龍田は笑顔のまま鎮守府本棟に消えていく、おそらくは本棟の方の浴場を使いに行ったのだろう
「さて、と…」
「見てみてぇ〜この輝く肌」
相変わらず気配がない如月が話しかけてくる…さっきの話は聞かれてはいないだろうが、放っておくといつまでも話しかけてくるので…
「……お前はさっさと入渠してこい」
如月の頭に手を乗せてグリグリする
「いやだぁ…髪が傷んじゃう」
「!!!」
咄嗟に頭上を見上げて対空警戒態勢に入った俺は悪くないだろう
「ん、司令官?」
「なんでもない、ただなんとなく空が気になっただけだよ」
そっと頭を振って
「カフェオレ飲むか?」
「いただきます」
なんとなく不機嫌そうな表情になった如月の頭を、こんどは優しく撫でつつ
入渠を促す
「私は今回は一回も当たってないから大丈夫よ…そ、れ、と、も
一緒にお風呂、入りたいの?」
「…………なんでお前はそういうことを口走るのかな……」
「ぁ…だめ?」
「俺はお前の言葉を肯定できない、でも同時に、俺はお前の個性を否定しない」
身を寄せてくる如月からそっと退いて、カフェオレのマグカップを渡す
「さぁ、それ飲んで風呂に入ってきなさい…雨だったし、冷えてるだろ?」
「……そうね、でも…ギリギリまで一緒にいたいの、だって…こんなに、心が温かいんだから」
「そうか」
しばらく、隣り合って座っていた
ナルガ希少種とは関係ありません
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