「えっと……よし」
pcにUSBメモリを繋いで
メモリにアクセス、データを表示する
映像ファイル5つ、テキストファイル3つのうち、映像ファイルの最初の一つをクリック
「…」
ザザッ!というノイズと共に
起動したファイルが音と映像を再生する
「一ヶ月前の映像…か」
中身は、甲崎提督の担当する鎮守府の戦闘記録のようだ
…………
「次は…」
隣のファイル、さらに次のファイル
次々に情報を開示するpcを睨みながら、俺は思考を巡らせる
[提督さん、これ…]
[俺と同じ、だな…しかし、瑞鶴と違って随分と悪辣なようだ]
pcの画面には今
赤城、天龍、蒼龍、長門、飛鷹
ここ創海鎮守府にもいる艦娘たちの姿が映し出されていた
ただし、目に光のない姿が
「……深海棲艦め…」
そう、俺と同じように死を奪われ、魂を損壊した艦娘たちがそこにはいたのだ
「…そりゃあ空母が欲しいわけだ…赤城、蒼龍、飛鷹と空母を3隻も喪失していれば、な」
だが、おそらくそれだけではない
何があった…何が
「…赤城!天龍!摩耶!撤退しろ!任務なんて放棄しても構わない!絶対に生きてかえってこい!」
〈すみません、提督
その命令には、従えません
ごめんなさい〉
〈すまん提督…オレはここを死に場所と決めた…行くぞル級!〉
〈提督、ごめんよ…コーヒーはまた今度になりそうだ〉
通信機を通して聞こえる声は
どこまでも遠い
そして
〈…提督…武運長久を…〉
〈アイドルは…沈まない……って…〉
もう、聞くことのない声
「私ノ『力』ナラ、覆セルカモネ?」
そこに、何かが見えた
私は、それが何であるかを考える余裕もなかった…何であろうと
それに縋るほかなかったのだ!
「…ウフフッ…私ハ
そう、私はパンドラの箱を開けてしまったのだ
「サァ、コレヲ飲ンデ…
酔ウノモ醒メルノモ思イノママヨ」
「死を強奪する…か…」
[私が提督にやられたのと同じね]
[正確には少し違う、俺はあくまで自分の死をお前にぶつけただけだ
強奪なんてしてはいない
むしろお前の方がそれにふさわしいだろう?]
[そう…かもね
提督さんの死を、私が奪った
そう言えるかもしれない…あの時、私が『提督さんの死』を受けて、死んだから
深海棲艦【深海鶴棲姫】であった私が死んで、艦娘【瑞鶴】に戻った
でもその代わりに、もう死を持っていない提督さんは死ねない…魂が壊れて、死んでいるはずなのに…死ぬことができない
酷いよね…そんなの…]
[ふん、その砕けたかけらをわざわざ集めて型に押し込んでまで維持しようとしたのは誰なんだか…後悔するなよ、俺が今ここで提督さんやってんのはお前のおかげなんだぜ?]
涙目の瑞鶴…衣装が黒くなりけている瑞鶴をそっと抱き寄せる
[まぁ、だから気にすんなよ]
ゆっくりと笑う
[気にするようなことじゃない、俺が勝手にやっただけなんだし]
[うぅぅぅ……うぇぇぇん!]
[あこら、泣くなよ…]
結局、瑞鶴はその日
泣き止むことはなかった
指名手配されていた対象をようやく発見した私は、その鎮守府へと偵察を行なっていた
のだけれど…向こうはなんだか随分と明るい、艦娘は…私たちは兵器でしかないのに
そんな明るさなんて、必要ないのに
「イライラスルワ…」
私たちは、こんな明るくなかった
私たちの生活は充実しているとは到底言えなかった…なのに、あの子達は笑っている
そんなのはいけない
早く消さなくてはならない
「……上書キシテヤル…絶望ト悲嘆デ」
ふと口からこぼれた言葉に
自分で苦笑する
しかし、それでもアレは見過ごせない
「彼ノ鎮守府…楽シソウネ
デモ…今ハ戦争中ッテコト…忘レテナイカシラ?」
幸せならば、より大きな幸せを
そして、その最後に裏切りを
希望を求めた箱の中に、
絶望しかないと知ったとき
人はより強く輝くから
だから、私は
彼を輝かせてあげよう
「死ヲ望メ…良イ言葉ネ…」
指にかけた糸を、鋏で切った
もうこの時点で未確認型の正体がバレバレになってしまうという致命的ガバ
しかしまぁ主人公たちは知らないからよしとしましょう!
ヨシ!(現場猫)
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