戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

425 / 649
努力

「さて、データはこれで十分に揃った、あとはこれを大本営の陸奥課長に届けるだけだ」

 

胸糞悪くなるような映像だが

これはあくまで証拠品

 

おそらく、かの鎮守府にいるであろう未確認型深海棲艦を討伐するための証拠品だ

 

「…………」

 

無言でUSBをケースに収める

 

ほかの艦娘達にはあえて知らせていない事だが、大和、扶桑、山城、長門、金剛、ビスマルク、サラトガ、加賀姉さん、龍驤、隼鷹、高雄、龍田の12人に、明石、翔鶴、北上の三人を加えた15人に大本営でのことを伝えて、情報収集に努めてもらっていたのだ

 

「…天龍達に伝えなかったのは単純に不安だったからだが…この様子だと大丈夫だったかな」

 

そっとケースの蓋に手を置きながら

呟く

 

[よし、さっさと届けちゃおう!]

[あぁ、わかっている、大本営の陸奥課長に連絡するぞ]

 

俺は自分の携帯電話を取り出して…コールを掛ける

 

無論その相手は陸奥課長

 

 


 

薄暗い警備室で

たった二人で向き合っている

陸奥と赤鳥翔兵長

 

静かに時間は過ぎて、ふと

陸奥が口を開く

 

「心配ねぇ…彼」

「彼?……神巫提督のことか?」

 

「えぇ、彼…状態がひどく不安定に見えるわ…この間も、私たちじゃなくて

どこか遠い場所を見ていたようだし…

 

突然倒れたりしなければ良いけど」

 

「演技でもない、ハンドラーがそんな簡単に倒れたりするとは思えないがね

…まぁそれでも陸奥さんが言うなら一応警戒しておこうか…」

「二人っきりの時は夢理(ゆうり)って呼んでって言ったじゃない」

 

「はいはい…」

「………もう…」

 

そっと人差し指を伸ばした陸奥は

翔の首筋に指を当てると、

ゆっくりとなぞるように動かす

 

「ゆうりって、呼んでよ」

「………くっ…」

「ねぇ?」

 

「火遊びはしないタチなんじゃあなかったのか?」

「あら?火遊びはしないわよ?

私は仕留めるまで止まれないもの」

 

「そりゃあ怖い、んじゃあ俺はこの辺で」「ん」

 

席を立とうとした翔の襟を陸奥がつかみ、強引に引き寄せ

 

唇が重なる

 

「〜〜…私は本気よ?」

「…!…!はぁ…よした方がいいぜ?」

 

 

「たとえやめた方がいいことでも、やらなきゃいけない事があるの、

私はそう信じてるわ」

 

微笑む陸奥は、どこか輝いているように見えた

 


 

「ちやーす!三河屋でーす」

「どう見ても三河じゃない、やり直し」

 

「え?酷いですよ大佐!大佐が少佐だった時からの付き合いなのに!」

「はいはい、それとクオリティは関係ないからね?辺中佐」

 

なぜか乗り付けてきた直後に上述のセリフをブチかましてきた辺中佐に応対して

大本営直通で送られてきたいくつかの品を受け取り…同時にUSBを渡す

 

「これを、警備課の陸奥課長によろしく」

「はいはい、向こうから承ってますよ?……気をつけてくださいね?」

 

真剣な表情になった辺中佐を見返して、答える

 

「最初から十分に警戒しているよ」

「それが油断じゃないならいいんですけどね…まぁいいんですよ、それなら

それじゃあ自分はまだいくつか巡る予定の鎮守府があるので、もう行きますね?」

 

「あぁ、どうぞ…お疲れ様です」

「はい、ありがとうございます……間宮アイス奢ってくれてもいいんですよ?」

 

おどける中佐は片手を出してくるが…当然ながらその答えは

 

「間宮アイスは高価だからダメです、羊羹ならあるけど?」

「仕方ないですねぇ〜…贈収賄になるのでやめときます」

 

急に仕事の話になったな…

まぁいいや

 

「それじゃあ、また!」

「えぇ、またお会いしましょう」

 

手元にいくつかの段ボールと、その言葉だけを残して、辺中佐は去っていった

 

 

「………本当にあの人は過労死しないんだろうか…?」

 

いつも何か働いているようだが、体は持つのだろうか?…あの痩身も

限界を超えて働きつづけた結果、体が維持できずに痩せている、と言う可能性もあるし

 

……俺が言うような事ではないか?

最近は味覚も消えたり戻ったりだし

聴覚もすこしおかしい気がする

 

まぁ、まだ生きているし

問題はない

そもそも異物の俺が三年間もこの世界で生活している方がおかしいのだ

世界からはじかれて消滅していてもおかしくはないだろうに、なぜか生きているからには、俺が生きている理由が…なすべき事があるはずだ

 

「…それはまだわからないが…うん、急がないとな」

 

そっと思考を止めて

目の前のことに集中する

 

今するべきことは南方海域の調査

そのための出撃と艦隊の再編成だ

 

既に何度かの出撃を経て、現在の海域が艦隊これくしょん二期の海域と一致していることは確認しているが、それでも手を抜くわけにはいかない

しっかりとした調査を行わずにもしものことがあったら責任問題になってしまう

 

「えっと〜」

 

頭の中でメンバー表とおすすめ編成案を見比べながら編成を変えていき

すこしずつ理想型に近づけていく

 

今の俺にできることはこれだけだ

なら、それをせめて精一杯やろう

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。