「…つと、よし」
俺は今日、久しぶりにゲームをしていた
昨日仕事を片付けて今日は一日休暇、そんな感じだ…単純に『予定期間中に仕事が全部終わったために暇な時間が生まれた』というだけなのだが
それが数日分早く終わってしまったというのはなかなか聞くことではないし
仕事自体も特に問題のないレベルで終わっているため、一日ほど暇なのだ
というわけで、駆逐艦寮に来ている
いや、何を言っているかわからないと思うが安心してくれ、俺も何を言ってるのかよくわからない
そして今信じられる現実は
手の中にPS4のコントローラーがあるということと、隣に山風と江風と村雨がいる事だけだった
「…あ、負けちゃった」
「フッ…ぁぁっ!?」
「なに油断してンだよ!オラッ!」
「…………」
総当たりでバトルロワイアル中のゲームは…昔からある大乱闘スマイルブラザーズである
「よし、勝った!」
「あまい…」
「あ!ドラグーンはダメだろ!」
「アイテムに制限はない…だからやった、後悔はしていない」
山風が犯罪少年のような台詞を棒読みしているうちにステージに復帰した俺は
全力で突撃して…ハンマーを手にする
そして、イカレた軌道でハンマーを振り回す擬人化ハリネズミを突撃させて
そのまま山風の緑剣士を吹き飛ばし、続いて村雨の炎蜥蜴を殴り飛ばしに行こうとするも、空を飛んで逃げられてしまう
「あっ…っ!やられた!」
そのまま村雨は操作キャラを巨大花に切り替えて、遠距離攻撃してくる
ハンマー装備中は一切のコマンドが選べないため、そのままでは的だ
だが、その瞬間、ハンマーのアイテム所持時間が切れて消滅、そのタイミングを見切っていた俺は、ハリネズミをジャンプ台に乗せて跳躍させる
その瞬間、山風の緑剣士に叩き落とされてそのまま巨大花による吹き飛ばしを受けて、あえなく場外行きとなった
「…まぁじかよ…」
「気にしない方がいいよ、それよりも復活権ラストだよ?」
「分かってる分かってる」
山風が2、江風が1、村雨と俺がラスト
…何気に山風が一番強いんじゃないか?
「リンクスは確かに強キャラ…でも、私の実力」
「そうかい、撃ち落としてやるよ!」
「一旦協力しましょう!」
村雨と共に山風を落とすことを決意して、水亀から再び炎蜥蜴にキャラクターを変更した村雨が先行する
「いくよ!」
「!下がれ!」
俺はソニックの移動速度を活かした体当たりで村雨を吹き飛ばし
その瞬間、江風の駆る青髪の剣士が凄まじい勢いで落下してくる
当然それは俺のハリネズミに直撃し
爆発する
「提督っ!?」
「構うな!行け!俺はこいつを片付ける!」
「へぇ、このアタシを片付けるとぁね?大きく出たなぁ!提督さンよぉ!」
接近、剣薙ぎ払い、振り上げ、叩きつけ、その連続する動作を全て読み切り
ガードと下スマイルでカウンターを決める
スマイル攻撃は通常攻撃よりも強力な固有の技で、基本的には格闘系だ
そして、この音速ハリネズミのそれは
超高速回転状態での体当たりとその当たり判定増幅+ノックバック追加
「オラァッ!」
「いった!!?」
スマイル攻撃特有の快音と同時に
爆発的に吹き飛ばされる江風の剣士、しかし、剣士は瞬時に態勢を立て直して、即座に剣を投げ上げ、それに追いつく謎の跳躍で岩壁に張り付く
「落下攻撃の前振りをステージ復帰に使うってのはメジャーだが、やられると面倒だな」
「いくぞ…オラァッ!」
「こいやぁっ!」
少しずつ移動しながら、俺と江風の対決は続く
「いくよ山風!」
「…来て……」
炎蜥蜴が飛び上がり、上へ陣取る緑剣士へ反撃を狙う、当然ながら緑剣士は高度の利を活かして押さえつける形になる
「ハァッ!」
「…効かない!」
村雨の放つカッターはことごとく躱され、後隙に矢が突き刺さる
そのまま進めばジリ貧
一点突破のダメージレース以外には勝機はない
「…提督のためにぃっ!」
「……負けないから…」
放たれた矢を回避した瞬間
鎖が飛んでくるが、これをガードした村雨、そのまま炎を撒き散らして牽制しながら突撃し…そして
「スマイルボール来た!」
「よし!」「来い!」
画面の色調が変わり、
主役が移り変わる
各キャラクターの最終奥義の発動のために必要となるアイテム、スマイルボールだ
「よ…し!」
「…甘い」
「面倒なンだよ!」
「邪魔だぁぁっ!」
江風と俺は全力でぶつかり合い
巨大花が格闘で割ろうとしていると緑剣士がスマイルボールを狙撃
それを大きく動かして
「…っ!」
上スマで剣士を吹き飛ばしながら上に出たハリネズミをさらにジャンプさせて
突撃
「うぉぉっ!」
それがちょうど、最後の一撃となり
「よっしゃぁっ!」
即座に発動する、最終奥義
体色が青から、黄金へと変化したハリネズミは空に浮かび始める
執拗な突撃で山風を遂に吹き飛ばしてステージアウトに追い込む
同時にステージに復活した
江風に向けて最後の突撃を試みる
「甘ぇンだよ!」
「ここで落とす!」
逃げる剣士を追いかけてハリネズミが飛ぶが、その途中に力尽きてしまう
「クッソ!」
「ナイス提督!」
着地したその瞬間、復活してきた山風の緑剣士が江風の青髪剣士を吹き飛ばし
村雨の水亀が水鉄砲で復帰を防ぐ
そして、復帰技をカウンターでさらに飛ばされてしまった江風には既に帰還の可能性はなく
「クッソ!」
落下していった
「「よし!」」
「……」
復活権残り1
ダメージ値543の
復活権0
ダメージ260の
そして同じく復活権0
ダメージ156の
不利だが、やれなくはない
「いくぞ山風!」
「……来て」
俺と山風が接近戦を始めたその瞬間
俺はスマートボムを使って山風にダメージを溜めようとして
その瞬間にスマイルボールが
村雨の至近距離に出現
《いくぞ!三位一体!》
キャラの声と共に
横一線のエネルギー砲が放たれる
俺を巻きこんで
「テヘ♪」
「テヘじゃねぇぇえ!」
綺麗に俺だけ食らった光線に吹き飛ばされていく
「気にしない方が良いよ、提督」
そっと俺の背中にくっついている時雨が何か言ってくるが、俺はそんな事を気にしている余裕はない
画面の中での山風は緑剣士の高い移動性能を活かして炎蜥蜴に突撃して…剣突き攻撃を仕掛ける
しかし、村雨もタダでは受けず
火炎放射で牽制して
跳躍したところを飛び上がって迎撃する
「!」「…やっぱり強い」
丁々発止と格闘が続くが、やはり互いに大きなダメージはない、致命的な一撃は互いに放っていない…いや、それを使うだけの隙を狙っているのだ
だが、そこへ
「俺を忘れてねぇか?」
耐空性能の高くないハリネズミではあるが、頑張ってステージに復帰してから
着実に集めていたアイテム、
ドラグーンが完成し
突撃を試みる!
ピッピッピッピ…キューン!
ロック音と同時に突撃した俺は
しかし、絶妙なタイミングで跳躍した山風に躱されてしまう
「クッソ!」
「甘い」
「残念!」
しばらく戦いは続いたものの
やがて昼の鐘が鳴り
「…あー、昼か」
「そうだね」
「提督、一緒にお昼ご飯食べましょ?」
「ンじゃあ」「……早く終わらせる」
「一緒に食べるっぽい!」
「あ…私もご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「むしろ俺が同席させてもらうんだし、俺の構う事じゃないだろ?」
結局、ゲームは山風が勝ったらしい
え?なんで推測系なんだって?
俺、三人の中で最初に負けてすぐに食堂に行ったから
「結局ずっと本気を出さなかったじゃないか」
「俺の本気機体はハリネズミなのです、断じてショタ天使ではないし、ダンボール蛇でもない、良いね?」
「アッハイ」
虚な目になった時雨と俺に
間宮さんから声が掛かる
「お二人とも、今日はカレーですよ!」
「「おいしそう」だな!」
「「あ」」
言葉が被った、と続くところまで完全にシンクロした声だった
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