「さて、と…最近日も短くなったものだね…もう5時前でも夕暮れか」
そっと太陽に目をやって水平線に目を移す
「俺はどこまで戦えるかは分からない、だが、やらねばならない」
「そうね、提督…限界が近いのかしら?」
「空母棲鬼!」
「えぇ、最近はあまり話していなかった提督が、珍しくこんなところにいるから
……来ちゃった」
「……」
「来ちゃった♡」
「…………おう」
「なによ、その連れない反応」
「連れないのはそのネタが微妙に古くてそしてあまりに似合っていないからだ
君がやるなら貞子の方が似合う」
俺の指摘に、空母棲鬼は憮然とした表情になる
「せっかく可愛く振る舞おうとしたのに、提督に冷たくされたわ…
まぁ気にしないけど
そういえば、最近アレ、見ないわね」
「アレ?」
「アレ…あの白いタコヤキよ」
こめかみの横で左手をくるくるしていた空母棲鬼は、ついに固有名詞に辿り着いたようだ
「あぁ…アレなら
姉さんの艦載機だったから、襲撃時に機能停止してしまってな、再起動できるかもわからなかったし、姉さんの艤装建造に使ったよ」
「…そう、なくなってしまったのね」
「アレはセクハラも酷かったし
まぁ解体も妥当だとおもうんだがな…長く共にいた相方でもあるんだ
残骸だけを残しておくというのは、避けたかった」
「うん、それが良いと思うわ
…それでね、提督」
「ん?」
ゆっくりと、両手を正面に出した空母棲鬼はそのままサインを送ってくる
『なんらかの深海棲艦の気配を感じる、おそらくは偵察』
「もう一つ、お話があるの」
深海の気配、か
そもそも空母棲鬼やレ級の気配が濃いため、鬼、姫級でもない限り気づけはしないのだが
何らかの気配、とはまた微妙な表現だな
なんの気配なのかは解らないのか
[提督さんは細かいところに気を使う余裕なんて無いんだから仕方ないよ、そういう細かいのは私たちでカバーする、それが職掌の分担ってものでしょう?]
[まあ、それもそうか]
俺は一旦瑞鶴との会話を切り上げて、空母棲鬼との会話に戻る
「大好きよ」
「…お、おう」
『なんの気配かは分からないが
取り敢えずこちらでも探ってみる、教えてくれてありがとう』
手話を本命にして、声の方は
単なるダミーらしい
「私は、あなたのことが好き
異性として、愛してるわ」
『良いのよ、私たちにとってもここは居心地がいい場所だから、壊されたくないの
そのためならいくらでも尽力するわ』
『助かる』
そこで手話を終わらせる
「お答えを、いただけるかしら?」
「すまない、自分には突然すぎる話だった、返事の言葉がうまく纏まってくれない
明日、同じ時間に、ここで」
「えぇ、お待ちしています」
今後、より一層の警戒を取らなくてはならない、と気を引き締めて
俺は執務室へと戻る
「さて、と」
俺は鎮守府内線で龍田と大淀を呼び出して、二人に問う
「この前調査指示を出した例の
「いえ、平常通りです」
「変わってないように見えたわね〜」
「そうか…うん」
注意が必要、という現状は変わっていないが、その注目度、重要度については低下している甲崎大佐の鎮守府
やはり、動きはない
「…しょーがない、演習の申し込みに行くか」
聞かれても問題ないように、重要な部分だけは手話と目配せ、スマホの打ち込みを活かして内緒話だ
「演習、ですか」
「あぁ、甲崎大佐のところに胸を借りに行こう…いや、叩き潰しに行こう
それが必要だと判断した」
「わかりました」
「了解よ〜」
大淀と龍田が立ち去ったところで
報告書の書き込みやら
出撃予定の承認、予算追加申請、外出許可者の承認、様々な書類を片付け始める
そこまで数は多くないが
出撃予定や資材残量の計上など
目を通すべき書類はしっかり目を通す
「…あ、白露、明日遠征なの忘れてんなこれ」
提出されているのは午前中の外出申請、8:00から遠征なのに午前中となると
それこそ前日の深夜からの外泊か、10時過ぎに帰ってきての超速出動かのどちらかだ
前者なら提出する届書を間違っているし、後者なら午後から外出にするべきなので
流石にそれはないと信じたい
「しょうがない、か」
たまにはミスもあるし、本人的には午後の方にチェックをつけたつもりだったりもするのかもしれない
「取り敢えず呼び出すか」
あまりこう言った書類ミスでの呼び出し、というのはしたくないのだが
本人由来でどうしようもない問題が出ているのなら仕方ない
「はーい、もしもし聞こえてる?」
鎮守府内線で白露型の部屋に電話を掛けて…
「はい、こちら春雨です」
「うん、提督さんだよ…いまそっちに白露いるかな?どうも書類のミス…なのかはよくわからないんだけど、多分ミス?があってな」
「わ、わかりました、こちらで探しますね!」
「え、居ないなら良いんだけど…」
「こちらで探しますよ!」
その言葉を最後に電話は来れる
彼女らしいといえば彼女らしいが
人探しならやはりこちらの方が早いと思う…まぁ、彼女のことだから
『見つかりませんでした』では済ませないだろうし、最終的にこの書類の書き直しが行われるのならそれで良い
「よし、これで終わりっと」
書類を片付け終わり
上半期締めの定期監査に備えつつ
(と言ってもお役所仕事らしくおざなりなものなのだが)
一応の終業を宣言した俺は
20時頃と時間を確認して
鳳翔さんの居酒屋に向かった
コノ提督、恋愛ゲーデモヤッテイルノカシラ…?告白サレタ…?
即断デキナイノハ減点ダケド、相手ノコト、自分ノコトヲシッカリ考エテカラノ返事、トイウノハ一定ノ評価ヲ出サザルヲ得ナイワ
演習ノ相手ハ誰カシラ
600話記念番外編は
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テンプレ転生者(ヘイト)
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戦争が終わった後の話を!
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しぐ……しぐ……