戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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回収能力の不備

一週間後

大淀が(連絡をとってくれとしか言っていないのに)申し込みと予定の調整まで終わらせてくれた演習の日になって

 

俺は布団で寝ていたのだが

 

「起きなさい、そら」

「うぇ?」

 

「今日は演習の予定があるでしょう?」

「ぁぇぁ!?」

 

時計を確認すると時刻は6:50

余裕で間に合う時間、というか起床時刻の10分前

 

「十分あるじゃん…」

 

「当たり前です、十分前には行動する、寸前になって用意を始めるのでは間に合わないわ」

 

御高説を賜りながら

一気に布団から立ち上がり

姉さんを部屋から出して、着替える

 

流石に姉さんとはいえど着替えは見られたくない…というか、その時間で出来ることもあるだろう

 

「よし、オッケーだ」

 

一度身なりを確認して、しっかりと移動に必要な荷物と各種書類、

 

「待たせるのね」

「早く来ておいてそれかよ…」

 

「えぇ、姉として貴方の行動を管理しているのだもの、文句や小言はうるさいと思うけれど、それを無視するだけでは人として成長できない

『他者に指摘されるのは指摘されるべき点だから』そう考えなさい

『我が振り直せ』で直せるのなら良いけれど、そうもいかないでしょう?」

 

「自分のことは都合よく見がちだからな」

 

言うだけ言った後は適当に

加賀を伴って歩きつつ

演習艦隊として出撃予定の艦娘たちを集める

 

「みんないるな…よし、それじゃあ移動開始するぞ」

 

久々に動くのにエンジンの調子がいい沖津丸…もちろん夕張が三日前からフルでメンテしていたから…で移動する

 

移動自体は一時間程度で終わるので、そのまま艇内で作戦会議に移行する

 

「悪いが今回の鎮守府はいわゆるブラックとはまた違った方向性で『異常な』鎮守府だ、なにか異常を感じたり、危険だと思ったらすぐに報告、撤退すること」

 

《了解》

 

艦娘たちの返事を聞いて

一つ頷き、俺は舵に戻る

 

とは言っても古式の舵輪式ではないし、里見くんに見てもらっているので

問題はない

 

「…もうじきで見えてきますよ

しかし、海路を使って良かったんですか?」

「良いんだよ、この程度は威嚇行為にもならない程度だし、この周辺はもう深海棲艦の掃除も終わってる…というか、向こうから提案してきたんだし」

 

それで事故が起こったのならそれは向こうの責任にできるし、演習艦隊に出てくる艦娘がいながら近海に出る程度の深海棲艦に遅れを取る方がおかしいさ

 

と続くはずだった言葉は

実際には出ずに掻き消えた

 

「…おい、なんで戦艦が近海にいるんだ?」

「知りませんよそんなの」

 

そこにいたのは…間違いなく

深海棲艦、戦艦タ級flagship

「うん、緊急連絡だ」

 

 

〈すまない山城、緊急出撃だ〉

 

「はぁ…不幸だわ(わかったわ)

 

そのまま山城は艤装を装備し

艇の縁から飛び降り、爆音と共に着水

急速移動を開始する

 

「山城、出撃します」

 

「…突然音ガ鳴ッタト思エバ…」

「何か、言いましたか?」

 

「私ノジャマハサセナイ!」

「…戯言」

 

艇を離れた山城の元に寄ってきたタ級に啖呵を切り、そのまま至近距離で砲撃を開始する

 

「死ネ!私ノ道ヲ遮ルナ!」

「貴方こそ邪魔なのよ…消えて」

 

爆発、それは山城の艤装を明るく照らし…タ級を吹き飛ばした

 

「はい、これで終わり…弱いわね」

艤装を吹き飛ばされてなお立ち上がろうとしたタ級の心臓を拳でえぐり

強制的に『終了』する山城

 

血を撒き散らしながら倒れるタ級は

溶けるように消えて

その中からは…那智が出現した

 

「…はぁ…なんでドロップなんてしてしまうの…不幸だわ」

 

目の前でドロップした艦娘を

そのままリリースしてしまうわけにもいかず、とりあえず艤装に載せて戻ってくる山城

 

「提督、終わったわよ…ドロップは那智、回収はそちらでお願いするわ」

 

〈了解、こっちで回収するよ

とりあえず右舷に横付けてくれ〉

 

「わかったわ、これで良い?」

 

衝突しないように気をつけながら移動速度を揃えて並走し、右舷に寄せる

 

「はい、それで大丈夫です

あとは私が回収します」

 

無感情に聞こえる声と同時に、軽い衝撃

それは縄梯子を垂らしてきた加賀が艤装に乗り移ってきた衝撃だった

 

「ドロップ艦娘を回収しました、それでは、山城はそのまま目的地まで並走で移動をお願いします」

 

「はぁ!?」

 

思わず問い返した私は悪くない筈だけれど、その言葉に返答はなく

そのまま片手で人一人を抱えたまま

縄梯子を登っていく加賀

 

「…ちょっと提督!どういう事なの?」

 

しばらくそれをぼうっと見ていて

いえ、見惚れていた私は

加賀の姿が見えなくなった直後に我に帰って提督に繋がる無線に怒鳴り声を流した

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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