戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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演習開始

〈…帰投するクマー〉

 

そのあと結局少し騒がしくなってしまったため、事態が落ち着いたあと

代表として、球磨から無線での連絡があり

 

「取り敢えず三人を回収するぞ」

 

ついに全く反応を返さなくなった艦娘用の無線と、艇内の無線に声を流して

150°回頭し、そのまま向こうの鎮守府へ向かう

 

合流した球磨と陽炎を開けた後部ハッチから回収して、恨めしげに見てくる山城に手を合わせながらハッチを閉める

 

「不幸だわ……」

 

[聞こえなかったことにしよう]

[ほんとこれでなんで信頼関係を維持できるのか分からなわね]

 

瑞鶴に言われる小言は刺さる刺さる

 

まぁ確かにそうなんだが、

そんな切れ味鋭い言葉を刺さなくたっていいじゃないか、俺だって泣くんだぞ?

 

[知らないわよそんなこと]

[ごふっ…うぁ〜死ぬわ…俺死ぬわ]

 

[バカ、死ねないでしょ]

[そうだったな、じゃあ俺寝るわ〜]

[寝るな!]

 

瑞鶴に怒鳴られて目を開き

そして、向こうの鎮守府を捉える

 

「よし、総員上陸用意!」

 

声を流して、艇を進めていき…

 

「桟橋に接岸するぞー」

 

係留の用意は陽炎達にしてもらい

艇のエンジンを停める

 

「よし、俺は残って電源を落とすから、姉さんたちは先に行ってくれ!」

〈了解よ〉

 

今回の機関である山城は

残念ながらドックの方に(行かざるを得ないため)向かったが、加賀がその代わりとして他の艦を引率する

 

「よし」

 

最終確認を終えて

俺も桟橋へと移り

まずは鎮守府に向かって一礼する

 

もちろん皮肉もあるが

ちゃんとした作法であるし

それ自体にイチャモンをつける余地はない

 

「さて、迎えはなくとも鎮守府の構造自体は把握している、構いはしないさ」

 

本来は鎮守府に他の人員を迎えるときは提督が出迎えるのが普通だが

艦娘による代行もある

……のだが、どうも人が来る気配はない

 

「つまり、歓迎はされていないってか?」

ゆっくりと深呼吸して、そこに広がる薄い深海の気配を感じながら

鎮守府の建屋に向かう

 

わざわざ周りこんで正門から入ってやる義理はない、海路できているのだから当然だが、海側の通用口の方から入る

 

「失礼する」

「……」

 

みんな黙って鎮守府に入る

そこにいたのは…赤城

 

しかし、様子がおかしい

 

「………いらっしゃいませ、かんなぎていとく、およびそうかいちんじゅふのえんしゅうかんたいのみなさま」

 

機械的なトーンで、抑揚のない声

もはやわざとやっているとしか思えないのだが、

まぁ、こんなものか

魂のない艦娘なんてのは

 

「さて、ここの提督の所へ案内してくれ」

「りょうかいしました」

 

柔らかな口調といえばそれまでだが

赤城の歯切れの良さがまるでない

ただキレのないだけの返事

 

気分が悪くなってくるが、おそらくは…姉さんの方がもっと辛い

 

「こちらです」

 

「はい、ありがとう」

扉をノックして、返事と同時に開ける

 

「失礼します、本日の演習相手を務めさていただきます、神巫蒼羅と申します」

礼儀として敬礼し

艦娘達も同様に敬礼させる

 

「うむ、本日の演習、よろしくお願いする…甲崎誠一大佐だ」

 

横柄な態度だが、それでも礼儀はちゃんとしていることを示して答礼をする甲崎大佐

 

「よろしくお願いいたします」

 

さて、ここまでは定石

どこから崩れるか…

 

「うん、長い旅になったと思うが、貴艦隊の調子は如何か?」

「問題ありません、途中''アクシデント''もありましたがそれだけです

十分に戦えます」

 

「そうか、ではできるだけ早くに始めよう」

「了解しました、我が艦隊は既に用意を終えておりますので、先に出撃に向かわせていただきます」

「うむ」

 

宣言通りに先に出撃ドックへ艦娘達を連れて行く

 

どこで盗聴されているかもわからないため、無線封止する事を全員に通達済みであるが、無線が使えない状況でテンプレートの作戦に頼るというのは業腹なのだが、機密を漏らす方がまずい

 

「今回は上役の胸を借りて、全力でブチ当るつもりで行こう、作戦は伝えた通りに!」

 

《了解!》

 

こうして、演習艦隊は出撃していった

 

「……君も、大変だな」

突然後ろから声が掛かる

 

「甲崎大佐…えぇ、大変ですよ

しかし、手も掛けられないよりは手の掛かる子の方が良い」

 

そっと声を返しつつ

海に出ていった艦隊を見遣る

 

「……うむ、そうだな

私もそう思うよ」

 

端的な言葉に、万感の思いを感じる

しかし、無感情な魂のない艦娘達を操る甲崎提督の姿に、酷く違和感を感じた

 

「私は、どうも不器用でね

手加減などできない、胸を借りるなどと言わず、全力でぶつかってきなさい」

 

「はい、全力で当たらせてもらいます」

 




散々引っ張って演習開始までというね…
ここ最近の筆の進まなさには苛立ちすら感じる

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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