戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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糸は軋む

艦隊が出撃していった海に

甲崎大佐の艦隊が現れる

 

その編成は

赤城、飛鷹、青葉、磯風、浦風、U-511

 

空母2

駆逐艦2重巡1潜水艦1

バランス型の編成だが、

どうも調子が良くないようだ

 

対して俺の艦隊は

旗艦 山城を筆頭に

正規空母:加賀、重巡洋艦:愛宕、軽巡洋艦:川内、球磨、駆逐艦:陽炎

 

こちらはなんと称するべきかわからないが概ね水雷と言えるだろう編成

各艦種の分散配置となっているため、運用目的を悟り辛いだろう

 

まぁ、メンバーから考えればすぐにわかる

元空母棲姫+元海峡夜棲姫+人間センサー+ニンジャ

あと二人は純粋に戦力要員だ

 

つまり、ここにいるであろうと推測される未確認型の深海棲艦を、引き摺り出すための艦隊である

 

「よし、これより、演習を開始する!

両艦隊、作戦行動を取れ!」

 

甲崎大佐の堂に入った声から演習が開始され、そして

 

「…一航戦、出撃します」

「扶桑型戦艦山城、出撃します!」

 

互いの旗艦の指示のもと、反航戦で会敵したものとして先端が開かれる

 

「…まずいわね…開幕航空戦

敵機に備えて!」

 

山城の予言は、機械じみた正確性で

大量の艦載機を展開する赤城と、そしてそれに追随する飛鷹の素晴らしい展開速度によって証明された

 

「ここは譲れません」

 

姉さんが対空用に用意していた烈風改二が飛び立ち、向かってくる敵艦載機に飛びかかる

そして、勝敗が決する前に

山城が動いた

 

「…各砲座、よく狙って、撃てえぇっ!」

 

超遠距離からの砲撃

それは扶桑の得意とする『超長射程を上回る距離からの狙撃』

その再現であった

 

「!」

 

「当てたか…!」

 

甲崎大佐の声が上がる

 

本来の射程を大きく上回る超遠距離の狙撃、それを試射もなく当てていく姿は

やはり、驚愕の光景か

 

「よし…当てていけ…!」

 

古来から射程で上回るという有利は覆しがたいもの、遠間から攻撃するは剣槍弓の時代からの勝利の方程式だ

 

「しかし、一筋縄ではいかんぞ?

我が艦隊の空母達は強力だ」

「なんの、ウチの艦娘達はみんな精鋭ですよ」

 

薄く笑いながら、ゆっくりと指差す

その先には

 

「突撃するよ!」

「クマー!!」

 

軽巡二人の突撃があった

 

「………」

対応するために前に出てくる浦風と磯風、二人はやはり無言と無表情を貫くが

 

「…!っ!」

浦風が磯風の背を蹴り飛ばして跳躍、吹き飛ばされた磯風は不格好に着水

そのすぐ隣を魚雷が通り過ぎていく

 

もちろん魚雷は浦風にも襲いかかるが、それらは危なげなく跳躍した浦風に躱される

 

どうも浦風は『生きた艦娘』であるらしい…が、相方の磯風からはそういった『生気』を感じられないところから見ると、既に彼女は死を失ったモノなのだろう

 

「甘いよ!」

「!」

 

「クマーッ!」

「………」

 

一対一、互いに正面からぶつかる形になって仕舞えば、やはり駆逐艦に勝ち目はない

卑怯に見えるかも知れないがこれもやはり、れっきとした戦術である

 

浦風は逃げ回っているが

磯風はややもせずに轟沈判定となる

 

一方その頃

無言の赤城と飛鷹は

加賀に叩き潰されていた

 

「加賀改二、これが私の力です、赤城さん…たとえ貴女でも

一航戦の誇りをなくした貴女では!

この私には勝てない!」

 

勇ましい宣言は確かに現実を伴い

赤城と飛鷹の航空隊を次々に落としていく

赤城、飛鷹の艦攻、艦爆隊の対応は極めてオーソドックスな…よく言えば定型化された対応、悪く言えば裏を掻きやすい対応で、ことごとく利用されていく

 

「どうですか?加賀の練度は」

「見事だ、的確な判断、迅速な行動、そして何よりも行動の一つ一つが美しく連結している、どれをとっても見事の一言、

素晴らしいよ…だが」

 

突如、加賀の足元が爆発する

 

「!魚雷ですか!」

 

「ほぅ」「足元が甘かったな」

 

そう、潜水艦であるU-511

彼女が魚雷による狙撃を掛けたのだ

 

「先ほどの意趣返し、といったところかな?」

「カウンタースナイプ……」

 

嘆息する俺に、甲崎大佐が微笑む

「ウチの子はみな優秀でね」

 

「!」

笑いながら、しかしその表情には一抹の苦味が入る、それはやはり、魂なき艦娘達を意のままとするような外道にはあり得ない表情で

俺はそれでようやく確信を得た

 

「さぁ続きだ…赤城達もまだまだやれるぞ」

「!……はい」

 

青葉vs陽炎は最後の魚雷が互いに直撃

艦種の差から生まれる体力の差で青葉の辛勝となり、しかし致命傷に近い傷を受けた青葉は撤退を余儀なくされるが…

無表情を貫く青葉は

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驚愕はそれだけではない

ほぼ同時に爆雷で大破したU-511もまた、浸水も止まらぬ艤装で強引に雷撃を続け

赤城も大破寸前の状態でありながら全速で機関を回し、体を壊しかねない動きで急速接近する

 

次々に傷つき、壊されゆく艤装を駆って海を駆け抜ける甲崎鎮守府の艦娘

轟沈すらも厭わないその姿勢は

かつての自分達に重なったのか

目に見えて動きの悪くなる創海の艦娘達

 

「………っ………」

 

拳を握る手に力を込めて

唇の端から血を流しながら、それらを見つめ続ける甲崎提督

 

その姿はまるで、何かに縛られているように見えた

 

しかし、ここで迂闊に手を出せば危険

「………くっ…」

 

[提督さんがいえないなら、私が言うわ]

 

「……演習中止!総員、撃ち方やめ!」

 

瑞鶴が、突然俺の体を奪う

 

「なっ!何故!」

「大破以上の判定が出た艦娘は行動不能とする、と言う規則が守られていないようだったので、一時中断とさせていただきました」

 

引き止めるような声を上げる甲崎提督に、ピシャリと言葉を叩きつけ

瑞鶴は椅子を立った

 

「U-511、および青葉は戦闘不能判定、即時、戦闘海域から撤退せよ」

「指揮官は私だ、私が言おう

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重々しい声が響く

そこには、何かを決意した表情の

甲崎大佐が立っていた

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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