戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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二者択一

「さて…結局のところはつまり

これ以上の議論を重ねても、なんの意味もない、ということはわかった

……君の鎮守府に行くべきだとは思うがね、ひとまずは彼女たち自身に聞いてみようじゃないか」

 

「わかりました…まずは彼女たち…千歳と千代田の艤装を起動しないといけませんね」

 

ひとまずの意思統一を済ませた俺たちは、ドロップした二人を起こすために、その艤装を起動しようとして

 

「待ってください

それならば、那智さんも一緒に行った方が良いかと思います」

姉さんに止められた

 

「そうだな、妖精たちにもちょっと言う事があるし、まずは沖津丸に行こう

…私達の乗ってきた巡航艇には

輸送艦としての機能だけでなく、艦娘の修理、治療を行うための簡易手術室、治療室や

艦娘の待機スペースと同時に

ちょっとした工廠機能があるので

そこで入魂をしようと思います」

 

そっと声をかけて、甲崎提督に説明しながら沖津丸に向かう

 

そして

 

「どうぞ、足元は桟橋と少し開いてるので、十分にお気をつけください」

「流石にそこまで耄碌してはおらんつもりなのだが…まあ歳だからなぁ」

 

60近い老境の提督であり

もと海上自衛隊の自衛官であった

『世界初の提督』と同じ

最初期の提督である甲崎提督

 

流石に俺もそんな人を相手にそこまで耄碌しているなどとは考えていないが

一応のマナーとして言っているだけだ

 

「さぁ提督、こちらに」

 

艇内を熟知した加賀と比較的軽傷の球磨が甲崎提督を先導し、俺と陽炎はちとちよの運搬を申し出てくれた浦風+満潮を先導する

 

桟橋側に残った川内と愛宕は

単純に疲労とダメージのある川内を連れ回すのは良くないので残した、というのと

愛宕は…神経過敏が影響して

激しく動く戦闘に著しい支障があるので、これも長時間無理をさせた後にまで連れ回すのを避けた

 

「ここです」

 

扉を開けた加賀に促されて

部屋に入った先は…仮眠室

 

「いや工廠の方じゃないのかよ」

「提督、艦娘とはいえど流石に工廠の床に放置というのは良くないと思いますが」

 

俺のツッコミに同意するような視線を加賀に向けた甲崎提督だが、すぐに

それもそうだな、と言う表情になる

 

「まぁ…ここでもいいか、別に汚れる訳じゃないし…妖精さん達、出番だぞ

 

出ておいで」

 

俺の声に従い、妖精たちが出現する

やはり一部やる気がないのか

三々五々といった有様だが、とにかく出現して整列した

 

「お前ら、はたらけ…そのかわり

三人の入魂が終わったら

金平糖、酢昆布、クギ、レモン飴、どれか好きなやつひとつずつ持っていけ」

 

その瞬間、全てが凍ったように

音がなくなる

 

沈黙する艦娘たちと、同時に酢昆布やらレモン飴やら、意味不明なものが出てきたせいで困惑する甲崎提督

そして、耳を塞ぐ俺

 

次の瞬間

(すこんぶ!すこんぶぅぅーぅぇぇはははは!ゔぇぁぁっはっはっはっはぁー!)

(わたしは…かみだぁぁっ!)

(レモンあめですか、大したものですね)

(あまいのちょうだいします!)

(一つだけですかー!全部!)

(さすがにそれはダメですよ…すこんぶ…レモンあめ…なやみます!)

(クギ!クギ使ってもいいんですか!?

いいんですね!やったぁぁっ!)

(やりました、さすがに気分が高揚します)

 

妖精たちの声が爆発する

多くは金平糖を喜ぶ声だが

一部は違っていて、酢昆布を歓迎する声、レモン飴を欲しがる声

そして、クギを使おうとする声

 

個性に溢れた我が鎮守府の妖精たちの声は特にうるさい

 

「ぬぅぁ……耳が……」

「きぃんとしました」

「やっと終わった…?」

 

その大声をやり過ごしたあと

急激にやる気を盛り上げた連中は凄まじい速さで動き始めて、ものの五分で三人の起動を終えてしまった

 

(これで全員分完了です!さぁ

報酬にすこんぶをいただこう!)

(ねこじゃないにゃ、たまにゃ

でもねこはどこにでもいるにゃ)

 

「はいそこ、収容違反はよせ

あとありがとう皆んな、さて…報酬は用意したぞ(主に里見君が)」

 

《(わーい!)(わーい!)》

 

妖精たちが盛り上がりながらそちらに向かっていくなか、魂を込められた三人の艦娘たちと対峙する

 

「すまないな、正式な工廠でも執務室でもないが、まずは入魂をさせてもらったよ

那智さん、千歳さん、千代田さん」

「うむ、起動早々で悪いが

千歳と千代田についてはどちらの鎮守府に所属とするかの判断がついておらん

故に本人達に聞くことにしているので

どちらが良いか聞かせてくれないか?

 

私としては創海を勧めるが」

「ちょっと甲崎提督!?」

 

「はははっ!冗談だよ、神巫提督

さて…聞かせてもらえるかな?」

 

「…はい…わかりました」

 

甲崎提督の言葉に、静かに目を閉じる千歳

 

「わたしは、先ほどまで

千代田の…深海の中で、話を聞かせて貰っていましたから、大体の事情は了解しています

…私は、創海鎮守府に所属を希望します」

 

再び開かれたその時

その目は確かに、俺を見つめていた

 

「私もお姉と同じ…うぅん

お姉の場所に行きたい!」

千代田は千歳に抱きつきながら

そう宣言した

 

…お前、自分ではどっちでも良いんだろう?実は姉と離れたくないから

同じところに行きたいだけなんだろ

 

…まぁ、仕方ない

本人の意思を尊重した結果だ

本当は片方ずつが最適だったのだが

下手にわけても互いに機能不全を起こしてしまうかもしれないからな

 

「…だ、そうだよ神巫提督

賭けは私の勝ちのようだな?」

「…グッ………」

 

「提督、その答えは失礼ですよ」

 

加賀の言葉はあくまでも冷静だった

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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