「というわけで、講堂はしばらく使えなくなります、大和、鹿島、比叡を教師に借りるので
それもよろしく」
大淀に電話を掛けてそれだけのメッセージを残し、講堂の使用予定を入れる
普段出撃のない大和と演習旗艦になる事が多いが、最近はあまり出撃していない鹿島、そして海域攻略に出番はあるが、同じく出撃の機会は少ない比叡
執務のヘルプに入ってもらった金剛と違って専門的な職があるわけでもない二人に手伝ってもらい、まず
「鼎大将の鎮守府の鳥海さんに確認してきましたが、やるのはスタンダードスタイルのワルツが中心だそうですので、そこを教えましょう」
頷けば鹿島は手を出してくる
「はい、このように…パートナーの手を取るのがダンス自体の最初の一歩です
リーダー側が迎えに行く、パートナー側が受け入れる、この流れはもう体で覚えるしかありません…さて、理論側は踊りながらでも頭に入れられますか?」
「無理、絶対忘れる」
「じゃあ講義は休憩中か、ある程度慣れたらにしますね」
鹿島が目で合図を送って、比叡が(私物?)ラジカセのスイッチを入れる
流れるのは一拍目にアクセントがある
3/4拍子のゆったりとしたリズムの音楽
「はい、始めますよ…最初はいきなり動けませんから、私がリードしますね」
「了解…っ」
鹿島が手を引き、姿勢を変える
俺はそれに一応と言った体でついていくのがやっとだ
「はい、1.2.3」
「………っ…」
「まずは私に従って、動く感覚を覚えてください」
しばらくそのままステップについて行き、唐突に手が離される
「っ!」
「提督さん、ダメですよ止まっては
手が離れてもシャドーで動けるくらいにならないと、ね?」「素人にする事じゃねえぞ…」
「あら、提督さんは素人でいいのかしら?なら尚更練習を覚えなきゃいけませんよ?
うふふっ」
こんな怖い『うふふっ』は初めてだよ
「はい、それじゃあもう一度
手を拝借しますね」
楽しそうに笑っている鹿島はとても綺麗で、思わず息が止まる…が、頭の中でガンガン鐘を鳴らしている瑞鶴に遮られてムードは消失
「さて、もう一回行くぞ」
リズムを取りつつ動き始める鹿島
その動きの起こりと軌跡を見極めるために全力で鹿島の動きを観察する
1.2.3のリズムの中に
どんな動きがあるのか、どう動くのか
そして、鹿島の動きに対してどう俺が動くのか、観察し、記憶し、分析する
幸い動き自体にはパターンがある
覚えきることは十分に可能だ
「……よし!」
「はい、それじゃあステップは覚えましたね?」
動き方自体は観察できた、十分に覚えられている筈だ
「おう!」
「それじゃあシャドーでステップ、やってみましょうか」
やはり鹿島はスパルタだった
「やれますよ、提督さんなら、ね?」
「……わかった」
音楽を少し待って、タイミングを合わせて
どう動いたかをなぞる
指先は虚空へ、運足は緩やかに
どう動くのかを空間に描く
「………うん、動けてますね」
「まだ荒削りですが、それでもまぁこれができればかなりの確率で習得できると思いますよ」
「鹿島さんはちょっとスパルタ気質だったんですね…」
大和と比叡と鹿島が話し合いを始める中、俺は足跡を辿って踊り続ける
どこまで続くのかはわからないが
とりあえずシャドーで踊りきることを目標として、しばらく踊っていた
「はいもういいですよ、提督」
五分程後に大和に止められた
「ダンスはなれないと体力を使いますし、最初ですから、あまり飛ばしすぎると危ないです、なので一旦休憩を入れましょうね」
「了解」
座り込んだ俺の隣には大和
正面には鹿島が付く
「じゃあ講義を始めましょう」
「おう」
鹿島は加減なく、呵責なく
思いっきり全力で仕込んでくる
無論ペーパーなら覚えて終わりなのだが、鹿島自身が解説してきて
その後大和から多少捻った問題や来歴について覚えているかなどの質問が飛んでくる
「……源流…?なんだっけ…」
「南ドイツの農民がやっていたヴェラーというダンスですよ…まぁ、風紀的によろしくないということで、封印指定されてしまいましたが」
「…そう……」
あんまり思い出したくなかった情報だな
「…休憩時間、終了です」
10分の経過を確認した比叡が休憩終了を宣言する、それと同時に立ち上がった俺は
「…はい、提督さん」
「はいよー」
また引き回されるのだった
「リズムは体で覚えてください、ちゃんと覚えないとあとで辛いですよ?」
「わかってる…っ!」
「運足はこっちから先に右足を出す、良いですね?」
鹿島に散々引き回され
大和には様々な問題を出され
比叡はマナーやルールを細かく聞かされる
………過労死するよ
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