戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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sacrifice

「第一次攻撃隊、発艦開始!」

「無駄よ、艤装展開、対空戦よ

直掩機を出しなさい!」

 

展開されたそれぞれの航空隊は

互いの中間点で激突し、見事に戦闘に入る

 

そしてその動きは拮抗する

 

 

「早い!」

「いつもと機体が違う…いえ」

 

「そう、私が展開したのは爆撃機じゃない、戦闘機よ!」

 

普段のセオリーである対艦爆撃による先制打、それを敢えて外してまで

戦闘機による対空制圧攻撃

機動性に勝る戦闘機は鈍重な爆撃機を狙うつもりで出てきた直掩機を圧倒する高機動を見せ

想定とのギャップで錯覚を起こしたのだ

 

「一気に削り切ってあげる!」

「そう簡単には…行きません」

 

気炎を上げた瑞鶴と、応じる姉さん

だいぶ加賀の性格が強まっているが

本人はその侵食に気付いているのだろうか

 

「第二次攻撃の要を認む、

第二次攻撃隊を発艦急いで!」

「敵、第一次攻撃隊の撤退を確認、追撃戦ね、追い立てます」

 

二人の声が重なると同時に

戦場にさらなる機影が出現、

航空戦は激しさを増していく

 

そう、この魂の中でなら、物質的制限に囚われず、意志のある限りにおいて

無限に攻撃を続けられるのだ

故に数は増える一方となり、消耗も嵩む

 

「第6次攻撃、再開よ!」「甲板を狙って、敵の機能破壊を最優先」

放たれる矢の数は増え

やがて認識の限界を超える

 

「まずっ!」

「落ちなさい」

 

瑞鶴の甲板を狙って、爆弾が投射され

しかし、空中で無為に爆発する

 

「俺もいるって事、忘れないでくれよな?」

 

いくら数が雲霞ノ如くに増えようと

攻撃態勢に入るものは数少ない

それを捉えるだけならば簡単だ

 

そして

「機体にまで、隔意は影響しない!」

「っ!」

 

そう、俺の攻撃が阻まれるのは、あくまで姉さんに対する敵意であり

航空機にまではその影響は波及しない

 

それはつまり

「航空戦になら援護の余地がある」

「やはり、頭が回る…だったら」

 

続いて虚空から取り出されたのは

戦艦の主砲

 

「直接砲撃すれば良いだけ、大丈夫、死にはしないわ」

「それ食らったら死ぬよね?」

 

「やらせないっ!」

 

瑞鶴がカバーに入り、姉さんの砲を狙う

「隙ありよ!」

「そんなもの、どこにあるのかしら?」

 

姉さんの主砲を狙った爆撃は

見事に成功し…そして

なんの成果も上げられなかった

 

そう、その砲は

「フェイク?!」

 

「そう、最初から最後まで真っ正直に突き進むなんて、馬鹿のすることよ?」

 

最初からハリボテの偽物だったのだ

 

「本命は、そっち」

 

背後から放たれた砲撃は、瑞鶴を直撃し

その魂を著しく傷つけた

 

「瑞鶴!」

「甘い!」

 

しかし、瑞鶴とて魂の中で無数の戦闘を繰り返してきた猛者である

即座に態勢を立て直し

不利となったフィールドから飛行して離脱、空中に上がって高度の利を取り

 

「突撃!」

 

状況を巻き返すべく、秘蔵の一撃を解き放った

 

「青龍!白虎!玄武!」

 

矢に記された柄は普通の艦載機のものと違う、その矢に宿るはたった三機の艦載機

 

ただし、規格外の魂をもつ深海鶴棲姫の力をそのままに持っている瑞鶴が

全力で魂を込めた、最強の三機だ

 

名を四神から取った三機は

その名に恥じない働きを以て応じた

 

「凄まじい速度…噴式ですか」

「違うわ!ただ強いだけの熟練機よ!」

 

縦横無尽に戦場を駆け、雲霞の如くに群がる敵を次々に落としていく

 

機体そのものはただの九七式艦攻であるにも関わらず、零戦52型どころか紫電や烈風にも劣らないほどの動きで飛び回り

正確極まる攻撃で敵機を撃ち落としていく

 

まさにエースオブエース

もしも撃墜証を描くとしたら翼どころか機体全体を桜色に染めても足りないだろう

岩井隊長でも乗っているのかと聞きたくなるほどの動きだ

 

「……………っ!」

 

瑞鶴は目を閉じ、すべての動きを停止して艦載機たちの制御に注力している

あんな挙動をさせる代償は

やはりただでは済まないらしい

 

「提督さん!今のうちにっ!」

「了解っ!」

 

瑞鶴の支援が続いているうちに

俺が姉さんを攻略する

そうすれば勝てるのだ

 

「無駄よ!貴方の心の壁が私を守るわ!」

「たとえ己の壁を破らなかろうと、俺達は一歩を踏み出して、こういうんだよ

『だとしても』っ!」

 

轟音と共に、伸ばした腕が弾かれる

吹き飛ばされながら、なおも姿勢を取り

急加速して、再トライ

 

「この手の届くまで!」

 

弾かれ、光の壁の位置を把握する

そして再トライ

 

「何度でも!」

 

航空機隊は瑞鶴が抑えてくれた

俺にはできない働きだ

 

ならば、俺がやるべきは直接攻撃

 

「真っ直ぐに!」

 

見えない壁に取り付き、それを叩き壊さんばかりに拳を突き込む

「全力でえぇぇぇぇっ!」

 

騒音が鳴り響き、

拳と壁との間に電光が走る

 

「いけない…そら!やめなさい!」

「止めるものか…やめて…たまるかぁぁっ!」

 

焼けていく腕、魂に傷が増えていく

このままでは千切れるかもしれない

その程度は構うほどではない

 

「違う!私のためじゃない!貴方のためなの!それ以上進んだら

貴方の魂が壊れてしまう!」

 

壁の向こうから悲鳴じみた声が上がる

「うぉぉぁっ!」

 

壁に近づくほどに密度を増す雷光が

ついに白い塊になって右腕を焼き尽くす

だが、ここで止まってはいられない!

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……
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