戦いたくなんてなかったんや   作:魚介(改)貧弱卿

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after war

「私は確かに武装を使っているのを見たぞ!」

 

「はい、それは事実、しかしながら

私は艤装技師でもあります、出現した深海棲艦の艤装を分解して別の武器に再構築するくらいはできます、敵が持ち込んだ材料を奪った、ただそれだけのことです」

 

「ならばなぜ私たちに配布しなかった!」

「はい、それだけの用意ができなかったからです、敵の鋼材を奪おうと

扱えるパーツには限りがあります、それに数は増えても雑兵ばかりではエネルギーが足りないですから、全く使えないガラクタを量産することになります、でしたら、使える武器を少数生産する方が合理的と判断しました」

 

絶賛どこかの馬鹿が言い出した一言のせいで俺が糾弾されているわけだが

……もう帰っていいかな

 

「敵の武器が使えるなら数を作れてしかるべきじゃないのかね!あんなに敵がいたんだ

それこそ10や20では効かない数が!」

 

「はい、いいえ准将

先ほども申し上げました通り、敵の艤装パーツは個体によって異なり、それらの部品を強奪することに成功しても噛み合わせや使用するエネルギーなどの諸問題がありますので、多量には生産できませんでした

さらに申し上げますと、流石に薬莢もなしに弾薬の補給はできませんので、全員に配布することは叶いません」

 

よし、今のところ押し切れてる

合理性と正論で殴るってのはやっぱり強いなぁ…(白目)

 

その後もガリガリと精神を削る様な言い合いを繰り返し、もう時間もネタも尽きてきたあたりでようやく質問が終わった

 

「…ふぅ………」

 

「何タメイキなんてついてるデース」

「疲れたからだよ…全くもう…」

 

不毛な説明会に時間をかけて

ついには夜が明けてしまった辛みを取り敢えず適当に発散するべく、ため息を垂れ流していると

金剛が寄ってきた

 

「こっちだって面倒なことになってるネ」

 

「ん?どーいうこと?」

「……」

 

金剛が無言で視線を向けた先を追うと

ドレス姿の艦娘達の一団がいた

 

「…あぁ…」

 

なんかこっち見てるんだよ…

ほらあっちいきな

あんたらの提督さんがいるんだからさ

 

「………………」

 

「めっちゃ見られてる」

 

「そりゃあそうデショウ

テートクがカッコいいからデス

それが認められるのはありがたい事デスが、問題はあの子達が異動願いとか出した時デース」

 

「………あぁ……」

 

異動先が創海鎮守府(ウチ)の願書が大量に積まれてしまうわけだ

 

「そりゃあ確かに問題だな」

 

「あのキラキラした目、熱い視線

テートクに擦り寄る雌猫は抹殺…滅亡…滅亡迅雷.net に、接続…」

「おい、やめろや」

 

アークに感化されかけていた金剛の頭を軽く叩いて、変色していた電探を元の色に戻す

 

「取り敢えず現場検証とかは無理そうだから、責任遡及と原因の解明が先になるのかね

……帰るぞ、金剛

 

おーい!みんな!帰るぞーっ!」

 

久々に大声を出して、離れていた創海鎮守府の艦娘達を招集する

 

途端に集まってきた艦娘達

飛び込んできた時津風(憲兵用軍装mode)を抱きとめて、金剛に預け

愛宕に手を取られて、霞が反対の手を掴む

 

「さ、行きましょ?クズ提督」

「お、……はぁ……」

 

お前その呼び方変えない?と言いかけたものの、どうせ変えるわけがないので諦める

 

「まぁいい」

 

突然時津風を預けられた金剛が不服そうな顔をしているので

霞から繋ぎ先を変えようかと思ったが、どうも霞は手を離すつもりはない様だ

 

「さっきまで役得してたし、金剛さんはしばらくはお預けね」

「えーっ…それは無いデース…」

 

悲しそうな声だが、俺にはわかる

あれは単純にふざけているときの声だ

 

「あ、私私!最近あんまり提督とお話ししてなかったんですよ!」

「はいはい、手は譲ってあげないわよ?」

「私も同じよぅ」

 

明石が飛び出してきたが、ブロックされて消沈

 

みんなワイワイしながら扶桑が持ってきたトラックと明石のK BOXに分乗していく

本当に二チームで来たんだな

 

海から艤装で直行した高速、高難度ルートの愛宕艦隊、陸地を車で来た低速、低難度ルートの長門艦隊と分かれていたらしく

どうも車では定員オーバーが目立つ様だ

 

そもそも荷台に人員ごと艤装を押し込むという非道な行為をやらかしているので解決してあげたいところだが

 

「来る時ですら定員限界オーバーしてましたからねー」

「じゃあ仕方ないか…」

 

愛宕達に海から帰れ

というのはちょっと違うしな

 

「…よし、良い方法があるぜ」

「なんです?」

 

「里見君にレンタカー持ってきてもらう」

「…1時間かかりますよ?

それに、いま深夜2時です」

 

あ、こりゃ無理か…うぅん

「じゃあ、こういうのはどうかな」

 

突然、後ろから声がかけられた

「自分は柱島第三を割り当てられている川村大佐です、はじめまして

…いや、さっきまでも居ましたけど

さて、実は自分、車で来ているんですが

熊野と二人だけなんです、お送りしますよ」

 

「えっ?…しかし、それは」

「良いんです、柱島泊地は遠いので、今日は内地の宿舎に泊まるんです

ちゃんと周辺の事情説明は終えていますから、時間的にも大丈夫ですよ」

 

その笑顔は…なんとなく不自然で

凄まじい視線を向けてくる熊野が彼の背中に手を掛けているあたりから、異様な気迫を感じた

 

「………では、お言葉に甘えて」

「やった!やりましたわ!お手柄よ提督っ」

 

………

 

その一瞬で、その場にいた全員が悟った

川村氏、熊野の尻に敷かれてるんだな

600話記念番外編は

  • 過去編軍学校
  • 過去編深海勢
  • 裏山とかの話を
  • テンプレ転生者(ヘイト)
  • ストーリーを進めよう
  • 戦争が終わった後の話を!
  • しぐ……しぐ……

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